

范姜先生
現在の体調はいかがですか?
梅宮さん
今は抗がん剤治療、手術、放射線治療も終わりちょうど2週間がたちました。放射線治療を終えて2週間でつらさのピークを迎えると説明を受けていたので、それを超えて今は回復に向かっているところですね。
范姜先生
本当にお疲れ様でした。乳がんは発見が遅れる人も多いのですが、梅宮さんはどのようにして発見されましたか?
梅宮さん
多くの人はしこりで乳がんに気づくと思うのですが、私は入浴中に右胸が左胸よりも小さくなっていることで気づきました。
范姜先生
その際はどう対応されましたか?
梅宮さん
年齢的に51歳だったので、最初は私なりの更年期障害だと思いました。しかし、自分の目で見て明らかに異常だったので、すぐに病院に行きました。
范姜先生
すぐに病院に行くという決断ができる人は少ないので、すばらしいと思います。しこりを自覚していても怖くてなかなか病院に行けず悩んでいる人も多いですね。すぐに病院へ行くことを決断できた理由は何だと思いますか?
梅宮さん
父の影響が大きいと思います。父も36歳で肺がんを発症し、81歳で他界するまで何か異常があればすぐに病院に行っていたので、私もその習慣がつきました。放っておくほうが怖くて、すぐ答えを知りたい性格も影響していると思います。
范姜先生
梅宮さんは定期的に人間ドックなどの検査は受けていましたか?
梅宮さん
はい。コロナ期間中を除いて毎年受けていました。乳がんが見つかったのは、コロナ収束後に受けた人間ドックの10ヵ月後で、その際にはマンモグラフィ検査も受けていました。
范姜先生
乳がんが判明し、どのように感じましたか?
梅宮さん
人間ドックで乳がんが見つからなかったことも、タイミングの問題だと自然に受け止めることができました。
范姜先生
発見時のがんの状態はいかがでしたか?
梅宮さん
発見時は既にステージ3Aでした。がんを公表した際に世間からは人間ドックで見つからなかったことに対して批判があっても、私は検査には限界があると受け止めていました。毎年検査を受けていても見つからないケースは多いのでしょうか?
范姜先生
多いですね。マンモグラフィ検査だけでは診断精度が約60%と低く、乳腺が密な人(高濃度乳腺の人)はしこりも見つかりにくいことがあります。超音波検査を併用することで診断精度が約92%に上がるため超音波検査も定期的に受けることが重要ですね。
梅宮さん
しこりで乳がんが見つかるケースは多いのでしょうか?
范姜先生
乳がんは検診で見つかることが多く、しこりで気づく人は少数だと感じます。最も多い自覚症状はしこりですが、乳頭から血の混じった分泌物(血性乳頭分泌)もよく見られます。
梅宮さん
早期に乳がんを発見するうえでのチェックポイントを教えてください。
范姜先生
普段から鏡の前で胸の左右差をチェックし、しこりがないか触って確認することが大切です。痛みがある時は、反対側と比べると違いが分かりやすくなります。がんのしこりは硬く動きにくく、皮膚がひきつれて赤くなることもあるので、そうした変化にも注意しましょう。
梅宮さん
日ごろから自分の胸の状態を知っておくことが大切ですね。
范姜先生
そうですね。乳頭を強くつまんで、赤や茶色の分泌物が出た場合はすぐに病院を受診するようにしましょう。
梅宮さん
乳がんにはいくつか種類があり、私のがんは発見しにくい浸潤性小葉がんであることも説明を受けました。
范姜先生
乳がんは非浸潤がんと浸潤がんに分かれ、さらにルミナール型などのタイプに分類されます。ルミナール型は乳がんの70〜80%を占め、女性ホルモンを餌にして成長するのが特徴です。ほかにHER2型やトリプルネガティブ型もあります。
梅宮さん
梅宮家は父や父の兄弟、祖父もがんだったので、自分もがんになるのではないかと思っていました。家族歴はがんの発症に関係あるのでしょうか?
范姜先生
乳がんにはBRCAという遺伝子が関わっているので、影響は大きいと思いますね。梅宮さんのご家族で乳がんの人はいらっしゃいますか?
梅宮さん
父方の叔母も乳がんでしたが、母方にがんの家族はいません。私もBRCA検査は陰性でした。
范姜先生
梅宮さんはルミナール型の乳がんだと思います。ルミナール型の乳がんはBRCA遺伝子の変異が比較的少なく、BRCA遺伝子変異が多いのはトリプルネガティブ型だと言われています。タバコも乳がんの危険因子の一つですが、梅宮さんはいかがですか?
梅宮さん
若い頃にタバコを吸っていたことがありましたが、がんが見つかった時は既にやめていました。それでも医師からは過去に吸っていた影響は体に残ることを聞きました。
范姜先生
お酒は飲みますか?
梅宮さん
お酒はもともと飲まず、お茶のほうがよっぽど美味しいと感じます。遺伝や生活習慣以外に何か原因はありますか?
范姜先生
乳がんは身長の高い女性のほうがなりやすいと考えられています。
梅宮さん
身長が伸びると、がんも一緒に成長してしまうのですか?
范姜先生
身長が高いと骨も長くなります。エストロゲンは骨にも作用していますので、身長が高いとエストロゲンの影響を受けやすくなり、乳がんのリスクが高まると考えられています。
梅宮さん
乳がんにはエストロゲンが悪影響を与えることも知り驚きました。更年期障害ではエストロゲンを補充する治療があることも知っていたので、意外だと感じました。
范姜先生
エストロゲンは乳がんには悪影響がありますが、体全体には良い働きもあるので解釈が難しいですね。
梅宮さん
遺伝や生活習慣だけでなく、そういった影響があることは知っておいたほうがいいですね。

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