

山口先生
限局性強皮症と診断された当時を振り返って、どんな症状があったか教えていただけますか?
竹山さん
31〜32年ほど前の話にはなりますが、20代前半の頃にサウナで額に黒ずみやへこみのような変化があるのに気づきました。
山口先生
その後はどう対応したのですか?
竹山さん
当初は気にしていませんでしたが、徐々に変化が気になり、近所の皮膚科を受診しました。その結果、詳しい検査が必要とのことで、大学病院への紹介を受け、限局性強皮症と診断されました。
山口先生
痛みはありませんでしたか?
竹山さん
ありませんでした。
山口先生
多くの場合、明確な自覚症状がない中で、鏡を見て皮膚の異変に気づき発見されるケースが多いとされています。強皮症と診断を受けてどう感じましたか?
竹山さん
難病であり、皮膚にとどまらず内臓にも影響し、場合によっては命に関わる可能性があると説明を受け、大きな衝撃を受けました。
山口先生
それは全身性強皮症(全身性硬化症)のことだと思われます。強皮症は大きく二つの病気に分かれます。混同されやすく、当時は認知度も低かったため、少し誤解されていたかもしれませんね。
竹山さん
改めて詳しく教えていただきたいです。
山口先生
強皮症と名前が付く病気には、現在は「全身性硬化症」とも呼ばれている全身性強皮症と限局性強皮症があり、それぞれ性質の異なる疾患です。
竹山さん
異なる疾患なのですね。
山口先生
はい。難病(難治性)である点や皮膚の硬化、自己免疫の関与といった共通点はありますが、全身性硬化症は肺や腎臓、消化器などの内臓にも影響が及びやすく、指先から皮膚が硬くなる特徴を持つ国の指定難病です。
竹山さん
限局性強皮症は指定難病ですか?
山口先生
指定難病とは、難病の中でも「難病の患者に対する医療費等に関する法律(難病法)」に定められた医療費助成の対象となる病気のことを指しますが、限局性強皮症は、現時点では指定難病ではありません。
竹山さん
「難病」という印象が強くて、指定難病だと思い込んでいました。
山口先生
限局性強皮症の症状は主として皮膚に生じますが、表層にとどまらず、皮下組織や腱、筋肉、骨、さらには脳にまで影響が及ぶ可能性もあります。また、限局性強皮症は5つ程の病型に分類できますが、代表的には、皮膚病変が斑状(楕円形)に現れるタイプと線状に現れるタイプがあります。線状強皮症は、四肢のほか前頭部から額に現れることがあり、剣で切られたようなきず(創)に見えることから、剣創状(けんそうじょう)強皮症とも呼ばれています。
竹山さん
私も一緒ですね。斑状と線状の皮膚病変が同時に起きる人もいるのでしょうか?
山口先生
はい。斑状強皮症と線状強皮症が混在する混合型や、数か所に多発する汎発型もあります。
竹山さん
私は20代で線状強皮症を発症しましたが、将来的に別の病型を発症する可能性はありますか?
山口先生
可能性は否定できません。
竹山さん
女性に多い傾向がある疾患だということは事実ですか?
山口先生
概ね1対2〜4で女性に多いとされています。発症年齢は幅広く、主に小児期(2〜15歳ごろ)と成人期(40〜50歳ごろ)にピークがみられる二峰性の傾向があります。小児は線状強皮症、成人では斑状強皮症が多いとされていますが、その理由も明らかになっていません。
竹山さん
限局性強皮症は、どれくらいの患者さんがいるのでしょうか?
山口先生
明確な患者数のデータは限られておりますが、日本の小児のデータでは、年間発症率として小児人口100万人あたり、2-3人と報告されています。
竹山さん
決して多くはありませんね。原因については分かっているのでしょうか?
山口先生
原因はまだ十分に解明されていません。ただ、自己免疫の関与に加え、外傷や感染などの外的刺激が発症の一因になると考えられています。
竹山さん
外的刺激を原因として症状が現れるのですね。
山口先生
はい。限局性強皮症では、患者さんの1〜2割程度に打撲や事故など何らかの外的刺激があったと答えるケースがあります。
竹山さん
20代の頃は、仕事がうまくいかない状況や将来への強い不安から感情をうまく整理できず、思わずアパートの柱に額を打ち付けてしまうことがありました。それが発症のきっかけになった可能性も否定できないということですか?
山口先生
証明は難しいですが、否定はできませんね。
竹山さん
知りませんでした。親から子へ遺伝することはありますか?
山口先生
明確な遺伝性は確認されていませんが、自己免疫疾患の家族歴が多いことは知られています。症状の進行にどれくらいかかりましたか?
竹山さん
額の傷は2〜3年で急速に進行し、今と同じ形になったと思います。約10年前に行った精密検査の結果では、進行は停止していると説明を受けました。
山口先生
約50%の人は、3〜5年で病気の活動性がなくなると報告されています。
竹山さん
できるだけ早期に治療を始めることが重要でしょうか?
山口先生
はい。とくに頭から顔面にかけての限局性強皮症は、瘢痕(はんこん)性脱毛(毛を作る細胞が破壊されることで起こる脱毛。一度抜けると治療しても再び発毛することはない)を伴うことがあります。また、脳病変や眼症状、骨の変形、歯列の異常を合併することもあり注意が必要です。このような症状を防ぐためにも、早期に皮膚科や膠原病内科などの専門医を受診し、治療を開始することが重要だと思います。
竹山さん
早期に治療を始めることが大切ですね。
山口先生
特に小児では、病変が関節をまたいで生じることで、関節が曲がらなくなることや成長障害(手足の萎縮や変形、四肢長の左右差など)をきたすこともあります。そのような影響を防ぐためにも、早期から治療することが大切ですね。

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