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「熱中症対策アンケート」から見えた意外な盲点とは 「水分補給」「冷房利用」だけでは不十分?

 公開日:2025/09/21

全国の20~70代男女540人を対象に実施された熱中症対策アンケートでは、「水分補給」「冷房利用」は広くおこなわれている一方で、「帽子や日傘の使用」「塩分補給」は少数派でした。医師の大坂貴史先生によれば、最も重要なのは「高温多湿な環境を避けること」。暑さを避けられない場面では「こまめな水分摂取」「塩分補給」を意識しつつ、警戒アラートを活用した行動変容も必要とのことです。アンケート結果を見ながら、詳しく解説していただきました。

大坂 貴史

監修医師
大坂 貴史(医師)

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京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

Q1.普段、熱中症対策として行っていることは何ですか?

Q1.普段、熱中症対策として行っていることは何ですか? 調査対象者:全国20~70代の男女540人 2025年7月メディカルドック調べ

編集部編集部

アンケートでは、水分補給や冷房利用は多くの方がおこなっている一方、帽子・日傘の使用や塩分補給は少ない傾向でした。こまめな水分補給のみで熱中症を防ぐことはできるのでしょうか?

大坂 貴史先生大坂先生

熱中症予防で最も大切なのは「高温多湿な環境を避けること」です。とにかくそれにつきます。逆に言えば、高温多湿でない環境では熱中症にはなりません。ですので、涼しい環境にいること、暑い環境を避けられないのであればできるだけ体を冷やすこと、その上でどうしても暑い環境にいる時間があるのであれば、脱水症予防に水分摂取が重要になってきます。水分をいくら取っていても暑い環境にいる時間が長ければ熱中症になってしまうので気をつけましょう。

塩分補給ですが、高血圧症の人は取りすぎることで過剰摂取になる可能性があり、過剰摂取には気をつけましょう。また、天気予報の一部として「熱中症警戒アラート」もチェックしていただき、リスクが高い日には十分な対策をしていただきたいです。

Q2.夏場、外出する際に水分補給のため飲み物を持ち歩きますか?

Q2.夏場、外出する際に水分補給のため飲み物を持ち歩きますか? 調査対象者:全国20~70代の男女540人 2025年7月メディカルドック調べ

編集部編集部

4人に1人が「水分をあまり持ち歩かない」「全く持ち歩かない」という結果でした。水分補給を怠ることでどのような危険がありますか?また、外出時の水分補給は、どのタイミング・頻度で行うのが理想でしょうか?

大坂 貴史先生大坂先生

先ほどのお話の通り、暑い環境にどうしてもいないといけない場合は脱水症の予防のために水分摂取が必要です。この水分摂取で大切なのは「のどの乾きを感じていなくてもこまめに水分を摂取をすること」ですので、どこかでまとめて水分を取ると言うよりは、「水分を取ることを習慣とすること」が大切です。そのためにも是非水分は持ち歩いてほしいです。

Q3.熱中症警戒アラートや注意報が発表された場合、行動を変化させますか?

Q3.熱中症警戒アラートや注意報が発表された場合、行動を変化させますか? 調査対象者:全国20~70代の男女540人 2025年7月メディカルドック調べ

編集部編集部

熱中症警戒アラート発表後も行動を変えない人が半数以上いる結果となりました。医療現場として懸念されるリスクは何でしょうか?

大坂 貴史先生大坂先生

熱中症警戒アラートとは熱中症の危険性に対する「気づき」を促すものとして、府県予報区等内において、いずれかの暑さ指数情報提供地点における、翌日・当日の日最高暑さ指数(WBGT)が33(予測値)に達する場合に発表されます。

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい気温 湿度 輻射熱の、3つを取り入れた温度の指標で、28を超えると熱中症患者が急増すると言われています。熱中症警戒アラートが発表された地域では室内等のエアコンなどにより涼しい環境にて過ごし、こまめな休憩や水分補給・塩分補給が推奨されている他、高齢者、乳幼児等の方は熱中症にかかりやすいので注意して、周囲の方も声かけが必要です。また、涼しい環境以外では、運動等を中止する方が良いです。

これらの情報を十分知らずに外に出れば熱中症のリスクが高くなることが予想されますね。外出することは避けられなくても、日傘や冷却グッズなどの対策が必要です。

Q4.熱中症警戒アラートや注意報が発表された場合、どのように行動を変化させますか?

Q4.熱中症警戒アラートや注意報が発表された場合、どのように行動を変化させますか? 調査対象者:全国20~70代の男女540人 2025年7月メディカルドック調べ

編集部編集部

アンケートでは外出を控える・水分を取るなどの行動が多い一方、服装の調整や冷房の使用は少なめでした。この差についてどう分析されますか?

大坂 貴史先生大坂先生

そもそも外出を控えられないか考えたり、室内ではしっかりエアコンを使ったりということは暑さを避ける意味で最も大切です。

そして、どうしても外に出ないと行けない人は、衣服の工夫や体調管理をすることで熱中症を予防できるということは意外と知られていないみたいですので、ぜひ天気予報で雨が降りそうだから傘を持っていくように、熱中症アラートを見て日傘を持ったり冷却グッズを使用していただきたいです。

編集部まとめ

今回のアンケート結果から、多くの人が水分補給や冷房を活用しているものの、帽子・日傘や塩分補給は見過ごされがちであることがわかりました。大坂先生は「熱中症予防の基本は高温多湿を避けること」と強調し、警戒アラートの日には特に注意が必要だと指摘します。暑い日の外出では、冷房・日傘・衣服・携帯水など複合的な対策をおこなうようにしましょう。

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