定期的に歯のクリーニングを行うメリット・得られる効果とは?

公開日:2021/01/07

こんにちは。日本歯周病学会歯周病専門医・歯学博士の武内崇博と申します。みなさんは定期的に歯科を受診していますか? 虫歯歯周病は自覚症状が出ることが少なく、発見されたときには重症化していることは少なくありません。歯磨きも毎日欠かさず三回磨く方であっても完璧に行うことは困難であり、専門的なクリーニングが必要不可欠です。我が国は、欧州諸国に比較するといまだに定期的な歯科受診率は低く、“歯が痛い”、“詰め物が取れた”など、何か症状が出てから歯科にかけこむ方がほとんどです。今回は定期的に歯科受診をすること、特にクリーニングをすることのメリットについてまとめてみたいと思います。

武内 崇博

執筆歯科医師
武内 崇博(日本歯周病学会専門医)

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歯科医師、歯学博士。東京歯科大学歯周病学講座講師(非常勤)。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顕微鏡歯科学会の各会所属。

口腔内の二大疾患を予防しよう

口腔内に生じる主な疾患は“虫歯”“歯周病”です。いずれも細菌感染によりおこり、抜歯の原因となる大変恐ろしい病気です。口腔内の細菌は歯の表面だけでなく、舌や頬などの口腔内の粘膜や鼻腔・咽頭など様々な場所に700種類を超え、独自の生態系をもって棲み着いています。清掃が行き届いていない口腔内では、1兆を超える細菌が存在するとされています。恐ろしい話ですね。虫歯も歯周病も原因細菌は異なりますが特定されています。それぞれ異なるメカニズムをもって発症していきます。

虫歯

虫歯のよく起こる部位として挙げられるのが歯の溝歯と歯の接している部位歯と歯茎の境目の三箇所とされています。いずれも歯ブラシによる清掃が難しい部位で、かつ外見上見つけるのが難しい場所です。虫歯が大きくなると歯の内部にある神経に炎症が起こり、初めて“痛み”として症状が現れるのです。“虫歯=痛い”という考え方は間違いではないですが、痛みが生じたときには虫歯の度合いとしてはかなり進行していると認識しておくと良いでしょう。不可逆性歯髄炎(神経を取らない限りは鎮静できない炎症)になると根管治療を行うこととなり、治療回数は飛躍的に増えますし、歯を削る量も増えます。そうならないためにも日々のケアと専門的清掃、チェックが必要不可欠です。

歯周病

歯周病歯周組織と呼ばれる歯を支える組織(歯肉:歯茎、セメント質:歯の根を覆う組織、歯根膜:歯と骨をつなぐ靭帯、歯槽骨:歯を支える上下の顎の骨)に起こる炎症性疾患です。歯と歯茎の間にある歯肉溝・歯周ポケットとよばれる溝に存在するプラーク(歯垢)中の細菌と、生体の防御機能とのバランスが崩れることにより発症・進行します。細菌が歯周組織を構成する細胞に作用し、歯周組織の破壊を引き起こすと考えられています。重度に進行した場合、手の施しようがなく全ての歯を抜かなければならないケースも稀にあります。歯周ポケット内の細菌をいかにコントロールできるかが歯周病予防・治療の肝といえるでしょう。

歯のクリーニングとは?

歯のクリーニングには様々な種類がありますが、一般的に歯科医院にて行われているクリーニングを説明していこうと思います。

歯のクリーニングとは歯面に付着するプラーク・歯石・着色を除去することです。専門用語ではスケーリングルートプレーニングPMTC(Professional Mechanical Tooth Claening)と呼ばれるものを総称してクリーニングとしていることが多いようです。スケーラーと呼ばれる器具を用いたプラーク歯石の除去、回転するブラシと歯磨剤を用いて歯面に沈着するプラーク着色ステインの除去、歯周ポケット深部の歯の根に沈着する歯石を除去するルートプレーニング、超微粒子撥水パウダーと水と圧搾空気を吹き付けることにより歯面を清掃する方法など様々なクリーニングが存在します。それに加え、衛生士を中心とした日々のブラッシング法の指導などが一般的に行われるクリーニングではないでしょうか。

ホワイトニングとクリーニングを混同される方が多いですが、ホワイトニングとは特殊な薬剤を用いて歯の色そのものを変えるもののことをいい、目的が異なります。

歯のクリーニングを受けるメリットと効果

虫歯や歯周病のメカニズム、クリーニングの種類について簡単に説明させてもらいました。それではクリーニングを受けるメリットについてまとめていきます。

虫歯の予防・早期発見になる

前述の通り、虫歯の原因は細菌です。虫歯ができやすい部位は、言い換えれば自身での清掃が困難な部位であり、自身のケアが足りていない部分を補足的にクリーニングするだけで虫歯ができる確率は飛躍的に下がります。またさらに全歯面をくまなくクリーニングしていると、レントゲンに写らない部位の虫歯や、詰め物・被せ物の不適合な部位を発見することができます。

歯周病の予防・早期発見になる

歯周病も原因は歯周ポケット内の細菌です。奥歯の最遠心部(一番奥の面)や歯と歯茎の境界、歯と歯の間などは磨き残しが多く見られる部位であるとともに、歯周病の好発部位といえます。また歯石自体には病原性はありませんが、歯石の表面は粗造になっており、細菌が付着しやすくなります。プラークが石灰化し、歯石になると自身で除去することは困難であり、専門的に除去してもらう必要があります。

口臭の予防になる

口臭の原因はいくつかに分類されていますが、口腔内細菌自体が臭い物質を発することにより起こる病的口臭があります。物理的に口腔内細菌を除去することで口臭を緩和することができます。

歯本来の白さを取り戻すことができる

たばこのヤニやコーヒー・紅茶などのステインは歯面に沈着し、本来の歯の白さを失わせます。しかし歯そのものの色を変化させるわけでなく、表面に沈着しているので清掃により除去することができます。除去後さらに白い歯をご希望される場合はホワイトニングをやってみてもいいかもしれません。

歯のクリーニングはどれくらいの頻度で行えば良い?

では、歯のクリーニングはどれぐらいの頻度で通えばいいのでしょうか。一般的には3ヶ月に一度のクリーニングが好ましいとされています。それは様々な研究結果に基づいており、科学的に証明されています。しかし、セルフケアが上手な方や虫歯・歯周病リスクの低い方は6ヶ月に一度など頻度を落としても問題ないと考えられています。一方で、虫歯・歯周病リスクの高い方やセルフケアの苦手な方は、1-2ヶ月に一度はクリーニングに通っていた方が安心です。つまり適切な頻度は”人や状況により異なる”、が正解と言えましょう。歯科医師や歯科衛生士が口腔内の状態を診て適切な間隔を指示してくれるはずです。定期的に通うことはなかなか大変かとは思いますが、健康なお口を目指すうえで必要不可欠ですので、なるべく通うようにしましょう。

まとめ

今回は歯のクリーニングを受けるメリットをまとめてみましたがいかがでしょうか。歯磨きはとても難しく、ご自身だけでプラークコントロールを行うには限界があり、毎日しっかりみがいているつもりでも、人それぞれには癖があり磨き残しは必ず存在します。特に奥歯や歯と歯の間などはみなさん苦手としていることが多いような印象を受けます。プラークの付着が一日でも続くと歯肉炎が発症するという報告もありますし、一度歯科医院を受診してご自身のプラークコントロールの状況を診てもらってはどうでしょうか。そして定期的にプロフェッショナルケアを受け、いくつになっても入れ歯やインプラントに頼ることなく、ご自身の歯でお食事ができるお口の環境を目指してみませんか?