【NEWS】日本産科婦人科学会、子宮頸がんワクチン定期接種再開へ向けた自治体の動きを「強く支持」表明(医師コメント3件) 更新日:2023/03/27 厚生労働省は8月末におこなわれた厚生科学審議会の場で、地方自治体によるHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)への取り組みを報告した。その内容は「HPVワクチンが定期接種に含まれることを周知する資料」についてのもので、97の地方自治体が接種対象者へ、168の地方自治体が希望者へ、すでに配布、送付済みだという。 HPVワクチンは2013年に定期接種化されたものの、「国民に十分な情報を提供できない」という理由から、「積極的な接種勧奨の差し控え」という状況が続いている。このため、同ワクチンの接種率は1%以下という現状だ。上記250以上の自治体は、こうした行き詰まりに独自の活路を求めたものと思われる。 日本産科婦人科学会は11月1日、こうした自治体の告知活動を強く支持すると表明した。また、公式サイトの中で、同ワクチン接種の有効性や、接種後に現れる「多様な症状」の詳細についても触れている。 国内で承認されているHPVワクチンには、対象となる感染源の型に応じて2価と4価の2種類があり、いずれも予防目的として用いられている。感染している細胞からHPVを排除する効果は望めないため、性交渉を経験する前の女性に接種することが最も有効とされている。日本産科婦人科学会の発表によると、2017年における子宮頸がんの死亡者(女性)は約2800人。うち4割以上が65歳未満の現役世代とのこと。 医師のコメント 山崎 ゆか(麻酔科医) 中部産婦人科 がんが、ワクチンで防ぐことができる。素晴らしいことなのに、日本では先進諸国と比べてもかなり低い接種率で、やたらと、間違った副作用の報道に振り回されている。悲しい事実だ。地方から、動き、身近なところからでも、接種率を上げていく努力が必要だ。地方の動きに対して、学会の反応もとても迅速で素晴らしいです。 武井 智昭(内科医・小児科医) 子宮頸がんワクチンは、副作用の面が強く懸念されていたが、若年でのがんの予防効果は80%程度と高い。副作用とされていた筋肉・神経症状は頻度としては低く、積極的に進めた方が良いかと思います 山口 征大(内科医) HPVワクチン問題は氷山の一角でしょう。他業界で言いますと、エステ市場の一部や、「これを毎日飲むだけで10kg痩せます」などの健康食品領域等において誤った情報でも、信じて利用し続けるユーザーセグメントは必ず存在します。医療情報に関しては扱うテーマが命ですから、正しく発信されなければならないと同時に誤った医療情報が発信されてはいけません。 この記事をシェアする