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【NEWS】 熱中症の猛威全国で、死亡に至る事故相次ぐ(医師コメント4件)

 更新日:2023/03/27

梅雨明けを迎えた首都圏1都3県では7月29日、熱中症とみられる搬送患者が274人に上った。都道府県別の内訳は、東京都121人▽埼玉県82人▽千葉県37人▽神奈川県34人となっている。また、総務省7月30日の発表によると、全国でも5664人の熱中症患者が、28日までの1週間で搬送されているという。
熱中症に関連して、11府県では11人の死亡が確認されている。大阪府では28日、遊園地で着ぐるみを着ていた男性が練習後に体調を崩し、搬送先の病院で死亡した。栃木県でも30日、農作業中の男性が熱中症とみられる症状により亡くなった。
気象庁の1カ月予報によると、厳しい暑さは8月いっぱいまで続く模様。気象庁は、7月下旬まで続いた梅雨寒により「暑さに体が慣れていない」と警戒を呼びかけている。ヒトの汗腺は急激な変化に対応しきれず、「汗をかきにくい体」のままでいることが予想されるからだ。
熱中症は日中の屋外に限らず、夜間の屋内でもかかるおそれがある。夏休みが始まった今、暑さを感じにくいとされる高齢者や子どもを中心に、より水分と塩分の補給を心がけたい。

医師のコメント

  • 山口 征大(総合診療内科医)

救急外来で勤務していると、熱中症の患者様が大変増えていることを実感します。軽症である場合が多いですが、中には重症で入院が必要となる方もいらっしゃいます。脱水は特に危険であり、脳梗塞や尿管結石症の原因にもなります。そのため水分を摂取することが必要ですが、水だけではなく、塩分の補給が重要です。塩分が含まれている、イオン飲料や経口補水液の利用でも構いませんので、日頃からこまめな水分補給を意識するようにしないといけません。

  • 松浦 恵(小児科医)
    東京医科歯科大学

暑さが本格的となる時期を迎え、残念ながら今年も熱中症による死亡者のニュースが続いています。小児では大人より暑さに弱く、照り返しの影響を受けやすいこと、子供自身の判断では体調変化に気づくのに遅れてしまいやすいことから、保護者のちょっとした油断から痛ましい事故に繋がる事例が絶えません。子供が喉が渇いたという自覚がでる頃には、すでにかなり水分が足りない兆候であることを再確認し、衣服の調整やこまめな休息が必要です。高温、運動時の水分補給の目安として、例えば学童では100-250mLを20分毎くらいの経口補水が目安とされており、正しい水分補給方法も意識すべきです。

  • 武井 智昭(小児科医・内科医)

日本では最高気温が以前より上昇しているため、熱中症の方は増えています。また、夜間熱中症という、エアコンなどをつけずに翌朝具合が悪くなる例も多く、この概念の啓発も必要です。

ヒトの身体で体温が上がったときにこれを調節する機能は発汗と皮膚の血流を調節し外気と熱交換をする主に2つの機能が重要な働きをします。しかし、この連日の暑さは外気温の高さだけでなく高い湿度も伴っており、これらによる熱の蒸散がうまくいかないことも熱中症増加のひとつといわれています。来年にはオリンピックも控えており、暑い日本では熱中症になる前の十分な対策が重要です。