【NEWS】白血病新薬「キムリア」保険適用 約3349万円(医師コメント4件)

公開日:2019/05/21  更新日:2019/09/30

中央社会保険医療協議会は5月15日、白血病などの新薬「キムリア」を22日から医療保険に適用することを決めた。

この新薬は、「CAR-T細胞療法」とよばれる最新のがん免疫療法として知られている。これは、がん細胞に攻撃する力を高める為にがん患者の体内から免疫細胞を取り出し、人工操作をした上で体内に戻す治療である。投与は1回のみで、臨床試験では高い効果があると報告され期待は大きい。ただ、1回当たりの薬の価格は約3349万円となっており、国内で保険が適用されている薬で最も高額である。高額療養費制度により、年収約370万~約770万円の場合で自己負担は約41万円に抑えることができるが、医療財政への影響を懸念する声も上がっている。

医師のコメント

  • 田嶋 美裕(内科医)

近年、がん領域を中心に、高額な医薬品の保険収載が増えてきています。新薬によって命が助かる患者さんが増えることは喜ばしいと思いますが、国民皆保険制度の中で行う医療ということを考えると、今後は行える医療や使える薬剤に制限が出るか、そうでなければ保険料が高騰するのではないかと危惧されます。

  • 巷岡 彩子(産婦人科医)

キムリアはCAR-T細胞を使ったがん免疫治療薬で、患者さん本人から採取した免疫細胞(T細胞)を遺伝子操作して体内に戻す事で、がん細胞を攻撃する治療です。

こうした治療は、遺伝子組み替えなどを含み、開発、製造にコストがかかること、対象患者が少なく利益に結びつきにくく、高額になりやすいという問題があります。

今回保険適用されましたが、記事にもある通り、日本の医療財政を考えると不安な部分があるのが正直なところです。
治療の可能性があるのに、費用面から選択出来ないというのも医療者、患者さんの立場からは辛いですが、保険医療は、限られた財源の中から分け合うという原則があります。自己負担分を増額する、薬価の是正を求めていくなどして保険負担分を減らしていく必要があるかと考えます。

  • 山内 彩(歯科医)
    デンタルオフィス新宿

このたび日本でも保険適応となった白血病治療薬キムリアは患者の免疫細胞を取り出し、その免疫細胞にがん細胞に対する攻撃力を高めるために特殊な遺伝子を導入した後、患者の体に移植するという製品です。非常に画期的ですが、全てのタイプの免疫細胞、白血病に効くわけではありません。1度で治る人もいれば、効かない人もいます。その場合、高額な負担金はどう財政が賄うか、成功報酬制にすべきではないかなど課題は残ります。検査費用、特殊技術をもつ人材の確保などにも更に費用はかかる為、慎重に議論していく必要があります。

  • 眞鍋 憲正(整形外科医・スポーツ医学担当)

キムリアが高額になってしまうのは免疫細胞を取り出して、遺伝子操作を行い、体内に戻すという手間とコストがかかってしまうところ、また量産が難しいところにあります。記事にもあるように高額療養費制度の適応による医療財政負担への懸念がされてますが、実際は若年者や難治性患者に対象患者を絞っており、影響はそれほど大きくなさそうであるとの見方がされています。