「市販薬でも命に関わる危険性」…厚労省が警鐘を鳴らす『オーバードーズ』の深刻な実態
公開日:2026/05/07

薬を決められた量以上に大量服用する「OD(オーバードーズ)」。これについて、厚生労働省は「命に関わる危険な行為」と注意を呼びかけています。2024年に全国の依存症専門医療機関を対象におこなった調査では、市販薬に関連する294症例が報告され、患者さんは10〜30代の若い世代が中心で、女性が7割以上を占めていました。この内容について伊藤先生に伺いました。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
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医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
厚生労働省が注意を呼びかけた内容とは?
編集部
厚生労働省が注意を呼びかけた内容について教えてください。
伊藤先生
厚生労働省は、市販薬などを決められた量より多く飲む「OD(オーバードーズ)」について注意を呼びかけています。市販薬は違法ではないため安全と思われがちですが、医薬品は少量でも体に強い作用を及ぼすことがあります。多量に服用すると、肝臓に大きな負担がかかったり、命に関わったりするおそれがあります。特に市販薬には複数の成分が含まれていることが多いため、中毒を起こした際に、原因の特定や治療が難しくなる場合があります。
厚生労働省医薬局医薬安全対策課は、指定濫用防止医薬品の指定について検討するにあたり、全国の依存症専門医療機関86施設を対象に調査を実施しました。その結果、2024年4〜5月に治療を受けた患者さんのうち、市販薬との関連が深いと考えられる294症例が29施設より報告されました。患者さんの平均年齢は29.1歳で10〜30代が多く、女性が全体の7割以上を占めていました。主に乱用されていた成分は、せき止めなどに含まれるジヒドロコデインやデキストロメトルファンでした。
厚生労働省医薬局医薬安全対策課は、指定濫用防止医薬品の指定について検討するにあたり、全国の依存症専門医療機関86施設を対象に調査を実施しました。その結果、2024年4〜5月に治療を受けた患者さんのうち、市販薬との関連が深いと考えられる294症例が29施設より報告されました。患者さんの平均年齢は29.1歳で10〜30代が多く、女性が全体の7割以上を占めていました。主に乱用されていた成分は、せき止めなどに含まれるジヒドロコデインやデキストロメトルファンでした。
OD(オーバードーズ)とは?
編集部
ODとはどのような行為でしょうか。なぜやってしまうのでしょうか?
伊藤先生
ODとは、医薬品を決められた量より多く飲んでしまう「オーバードーズ」のことです。最近では、かぜ薬やせき止め薬などを、本来の症状を抑える目的ではなく、つらい感覚や気持ちを変えるために大量服用する行為を指してODと呼ぶこともあります。危険だと分かっていても、つらい気持ちからODを繰り返してしまう場合、自分だけでつらさを抱え込むのは苦しいことです。身近な人に自分の気持ちを話しにくいときは、専門の相談窓口を頼る方法もあります。相談窓口は無理にやめさせるためではなく、話を聞き、助けになるためにあるものです。苦しんでいる人は一人で抱え込まず、誰かに相談してみましょう。
厚労省の調査結果への受け止めは?
編集部
厚労省の調査結果と呼びかけへの見解を教えてください。
伊藤先生
今回の調査結果は、市販薬のODが若年世代を中心に広がっていることを示しており、重く受け止める必要があります。市販薬は入手しやすいため危険性が見えにくい一方、過量服用すると意識障害、けいれん、不整脈、呼吸抑制、肝障害など、命に関わる状態を招くことがあります。
また、ODの背景には、不安や抑うつ、孤独、家庭・学校・職場でのストレスなどが隠れていることも少なくありません。大切なのは、本人を責めるのではなく、「なぜ大量に飲まざるをえなかったのか」に目を向け、早めに医療機関や相談窓口につなげることです。
また、ODの背景には、不安や抑うつ、孤独、家庭・学校・職場でのストレスなどが隠れていることも少なくありません。大切なのは、本人を責めるのではなく、「なぜ大量に飲まざるをえなかったのか」に目を向け、早めに医療機関や相談窓口につなげることです。
編集部まとめ
ODには「違法ではない市販薬だから大丈夫」と思い込むことで、危険性が見えにくくなる問題が潜んでいます。ODすることでつらさを和らげたい気持ちの背景には、心の負担や孤独が隠れていることもあります。自分を責めず、早めに誰かへ助けを求めることが大切です。薬は正しく使い、心や体がつらいときほど一人で抱え込まず、身近な人や専門家に相談しましょう。
