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なぜ納豆は体に良いのか? 研究で新たに判明した「超硫黄分子」の意外な効果を医師が解説

 公開日:2026/02/19
新発見!納豆に潜む超硫黄分子とは

大阪公立大学大学院理学研究科の研究グループは、納豆菌による発酵によって、大豆に含まれる超硫黄分子の量や種類が増えることを明らかにしました。超硫黄分子は高い抗酸化作用を持ち、生活習慣病予防や老化防止への寄与が期待されている注目の成分です。本研究は、伝統的な発酵プロセスが機能性成分を劇的に進化させることを科学的に証明しました。今回はこの研究内容について、中路先生に伺いました。

※2026年2月取材。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

納豆菌が作り出す「未知の健康成分」の正体とは

編集部

大阪公立大学大学院理学研究科の研究グループらが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

今回紹介する研究報告は、大阪公立大学大学院理学研究科の研究グループらによるものです。この研究では、納豆中の超硫黄分子(過硫化物)の分子プロファイルを調査しました。

定量的な超硫黄分子プロファイリングの結果、納豆菌による発酵中に大豆の超硫黄分子含有量が増加することが明らかになりました。総硫黄含有量には有意な変化が見られなかったことから、微生物が既存の硫黄含有分子を超硫黄分子へと生体内変換している可能性が示唆されました。

本研究は、微生物発酵が植物中の超硫黄分子プロファイルを著しく変化させることを明らかにした初めての研究であり、納豆に豊富に存在する多様な超硫黄分子が、納豆の健康増進特性に寄与している可能性を示しています。

次世代の栄養素「超硫黄分子」とは? ニンニクやブロッコリーに秘められた力

編集部

今回の研究テーマに関連する超硫黄分子について教えてください。どんな食材に含まれていますか?

中路 幸之助先生中路先生

超硫黄分子は、私たちの身体の中で酵素的に産生される重要な物質です。この分子は、ミトコンドリアでのエネルギー産生や感染防御、免疫応答など、さまざまな生命現象において重要な機能を果たしています。

大阪公立大学大学院理学研究科の研究グループにより、超硫黄分子はタマネギやニンニクなどのネギ属だけでなく、ブロッコリーやコマツナなどのアブラナ属にも多く含まれていることが明らかになりました。これらの野菜には硫黄化合物が豊富に含まれており、健康維持に役立つ可能性があります。

日々の食事において、ネギ属やアブラナ属の野菜を積極的に取り入れることで、超硫黄分子を効率的に摂取し、健康的な身体づくりを目指しましょう。

「和食の知恵」を科学が証明。納豆がもたらす驚きの硫黄代謝

編集部

大阪公立大学大学院理学研究科の研究グループらが発表した内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

大阪公立大学の研究グループによる今回の報告は、「納豆」という身近な食品の中で、発酵過程において想像以上にダイナミックな硫黄代謝の変換が起こっていることを分子レベルで明らかにした点で、極めて興味深いです。発酵中に超硫黄分子が増加することが確認されたという今回の知見は、日本人が日常的に摂取する伝統的発酵食品が、機能性食品としても注目すべきものであることを裏付けています。

その一方で、「どの種類の過硫化物が、どの程度の量で摂取された際に、ヒトの健康へどのような作用を及ぼすのか」といった点については不明であり、今後さらなる研究による検証が求められます。 それでもなお、ネギ属やアブラナ属野菜に加え、納豆のような発酵食品からも多様な超硫黄分子を摂取できる可能性が示されたことは、日常の食習慣を考えるうえで非常に重要な発見といえます。

こうした知見は、「多様な野菜と発酵食品を組み合わせて食べる」という、従来推奨されてきた食スタイルを支持するものと考えます。

編集部まとめ

今回の研究は、私たちが日常的に口にしている発酵食品が、想像以上に複雑で科学的な変化を経て生まれていることを示しています。発酵は単なる保存や風味の向上にとどまらず、新たな機能性を生み出す可能性を秘めているのかもしれません。今後の研究の進展により、発酵食品の健康価値がより明確になり、食と健康の関係を考える新たな手がかりとなることが期待されます。

この記事の監修医師