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「認知症」の約40%は予防できる可能性が? 改善可能なリスク要因を検証した結果を医師が解説

 公開日:2026/01/23

東海大学医学部の研究員らは、改善可能な14のリスク要因が「認知症」にどの程度関与するか、日本のデータをもとに調査しました。全体では38.9%がこれらの要因に関連するとされ、予防の余地がある可能性が示されています。特に難聴、身体活動不足、高LDLコレステロールの影響が大きいと報告されています。この結果について、勝木先生にお話を伺いました。

※2026年1月取材。

勝木 将人

監修医師
勝木 将人(医師)

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2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

研究グループが発表した内容とは?

編集部

東海大学医学部の研究員らが発表した内容を教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

今回紹介する研究報告は、東海大学医学部の和佐野浩一郎教授などのグループによるものです。この研究では、超高齢化が進む日本において、認知症予防に向けた修正可能な14のリスク要因がどの程度認知症に寄与しているかを、日本特有の有病率データを用いて定量化しました。全国調査やコホート研究から得られた最新の有病率データに、2024年ランセット委員会報告の相対リスクと地域性重みを組み合わせ、「PAF=人口寄与率」と「PIF=潜在的影響率」を算出し、各リスク要因が10%・20%低減した場合の全国有病率への影響を推定しました。

その結果、14要因の加重平均PAFは38.9%となり、日本の認知症は約10例中4例が予防可能である可能性が示されました。寄与が大きい要因は「難聴(6.7%)」「身体活動不足(6.0%)」「高LDLコレステロール(4.5%)」でした。全要因を10%削減できれば約20万8000例、20%削減できれば約40万7000例の認知症を将来的に予防できる可能性があり、今後は聴覚ケアや身体活動、脂質代謝の健康を優先した取り組みが重要だと解釈されています。

研究テーマになった“認知症”とは?

編集部

今回の研究テーマに関連する認知症について教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

認知症とは、さまざまな病気によって脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、記憶力や判断力などの認知機能が低下して、社会生活に支障が出る状態をいいます。日本では高齢化に伴い増加しており、2022年度の推計では、65歳以上の約12%が「認知症」、約16%が「MCI=軽度認知障害」とされ、合わせると高齢者の約30%が認知機能に関わる症状を抱えている計算になります。加齢によるもの忘れは体験の一部を忘れる一方、認知症では体験そのものを忘れることがあり、進行する点も特徴です。うつやせん妄、甲状腺機能低下症など認知症に似た状態もあるため、会話の辻褄が合わないなど気になる変化に気づいたら、早めに専門医や専門家へ相談しましょう。

研究内容への受け止めは?

編集部

東海大学医学部の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

勝木 将人先生勝木先生

本研究は、認知症のリスクに関わる要因のうち、日々の生活や医療で見直せるものが少なくないことを示しています。特に「聞こえにくさ」「運動不足」「LDLコレステロールを含む生活習慣病」は、早めに気づいて対策するほど、長い目でみた積み上げ効果が期待できます。

まず、会話が聞き取りにくい・テレビの音量が上がったと感じたら聴力検査を受け、必要に応じて補聴器や聴覚リハビリにつなげコミュニケーション維持ができるようにすること。運動は激しいものである必要はなく、歩く時間を増やすなど「続けられる形」を作ることが大切です。さらに健診でLDLや血圧、血糖が高めと言われた場合は、主治医と相談し、生活習慣の見直しと必要な治療で整えていきましょう。

認知症は進行すると元に戻すのが難しいことも多いため、症状が出てから慌てるのではなく、若い世代から“できること”を積み重ねる姿勢が重要です。将来のリスクを少しでも下げるために、家族ぐるみで健康につながる日常を続けることが近道だと思います。

編集部まとめ

東海大学医学部の研究グループは、日本のデータを用いて、認知症に関わる改善可能なリスク要因の影響を推定しました。結果として、認知症の約4割は予防の余地がある可能性が示されました。聞こえにくさの違和感を放置せず、体を動かす習慣と健康状態のチェックを意識しましょう。

この記事の監修医師