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日常会話が少ないと「認知症」リスク増加、一人暮らしの男性は特に注意 研究で明らかに

 公開日:2025/09/11

国立がん研究センターの研究員らは、「日常会話の頻度が少ない人ほど、認知症リスクが高まる可能性がある」との調査結果を発表しました。特に、一人暮らしの男性でその傾向が顕著にみられました。今回の研究内容や認知症予防のヒントについて、青山医師に伺いました。

青山 二郎

監修医師
青山 二郎(医師)

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東京医科歯科大学医学部(現・東京科学大学)卒業。横浜市立みなと赤十字病院、東京医科歯科大学附属病院(現・東京科学大学病院)、国立病院機構災害医療センター、武蔵野赤十字病院などで脳神経外科医として経験を積む。日本脳神経外科学会指導医、日本脳卒中学会指導医、日本脳神経外傷学会指導医、日本脳神経血管内治療学会専門医。

認知症と会話頻度に関する研究内容とは?

国立がん研究センターの研究員らが発表した内容を教えてください。

青山 二郎 医師青山先生

国立がん研究センターの研究員らは、日常会話の頻度と認知症のリスクの関連を評価した大規模な前向き調査を日本でおこないました。対象となったのは、2000〜2003年に50〜79歳で日常会話の頻度を自己申告した住民であり、その後2006〜2016年にかけて介護保険の認定記録を用いて認知症発症の有無を追跡しました。解析には生活習慣や病歴などを調整したCox比例ハザードモデルが用いられました。 結果として、3万5488人のうち3334人が認知症と診断されました。会話頻度が高い人ほど認知症リスクが低く、特に「毎日多数の人と会話する群」は、「ほぼ毎日会話する群」と比較してハザード比が0.80と有意に低下していました。 一方で「週1〜4回」や「月1回未満」など、会話が少ない人は認知症リスクが高い傾向を示し、月1回未満では2倍以上のリスク上昇が認められました。さらに、居住形態による影響を分析したところ、一人暮らしの男性では会話頻度にかかわらず認知症リスクが高く、頻度が少ない場合には特に顕著でした。なお、一人暮らしの女性ではそのような傾向は認められませんでした。

認知症になりやすい口癖や行動、性格の特徴

認知症になりやすい口癖や行動、性格の特徴について教えてください。

青山 二郎 医師青山先生

認知症になりやすい人には、性格や口癖、生活習慣などにいくつか共通の特徴がみられます。 例えば「どうせできない」「もうだめだ」「昔はよかった」といった否定的な口癖が多い人は、抑うつ的な傾向やネガティブ思考に陥りやすく、ストレスを抱え込みやすいとされています。また、「イライラしやすく怒りっぽい性格」や、「批判・皮肉を多く口にする性格」は、周囲から避けられて社会的に孤立しやすく、結果として脳への刺激が減り認知症のリスクを高めます。さらに、「神経質で心配性な人」は不安を抱えやすく、慢性的なストレスが脳機能の低下を招く要因となります。 これらの口癖や行動はもともとの性格に由来する場合もあれば、認知症の前兆として出ることもあります。日常の言動には注意を払い、生活習慣を整えて人との交流を大切にすることで、認知症予防につなげていきましょう。

認知症と会話頻度に関する研究の受け止めと対策

今回の研究結果の受け止めと対策を教えてください

青山 二郎 医師青山先生

「会話の頻度や人との交流」は、認知症予防に大きく関わる可能性があると今回の研究で示されました。否定的な口癖や孤立しやすい性格傾向はリスクを高める可能性がありますが、生活習慣や環境によって改善できる点も多くあります。意識的に人と会話する機会を増やし、前向きな言葉を使うことが日常の小さな対策につながる可能性があります。

編集部まとめ

今回の研究から、日常会話の少なさや孤立した生活が認知症のリスクを高めることが示されました。さらに、否定的な口癖やイライラしやすい性格も、周囲との関わりを減らし脳への刺激不足につながります。日常に小さな交流や笑顔を取り入れて、認知症を遠ざける生活を心がけましょう。

この記事の監修医師