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「9価HPVワクチン」新たに“肛門がん・尖圭コンジローマ予防”を適応追加、男性接種も承認

 公開日:2025/09/04

MSD株式会社は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の9つの型に対応した「シルガード®9」について、男性への接種対象拡大と新たな適応追加の承認を発表しました。これにより、従来より幅広い型に対応できるワクチンが、男女問わず予防の選択肢となります。この内容について吉野医師にお話を伺いました。

吉野 友祐

監修医師
吉野 友祐(医師)

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広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。

今回の発表について

MSD株式会社が発表した内容を教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

MSD株式会社は、HPVの9つの型に対応した「シルガード®9水性懸濁筋注シリンジ(シルガード®9)」について、製造販売承認事項の一部変更承認を取得しました。これにより、肛門がんやその前駆病変、男性における尖圭コンジローマの予防が新たに適応に加わり、接種対象も9歳以上の男性に拡大されました。 HPVは性交渉を主な感染経路とする一般的なウイルスで、持続感染すると子宮頸がんや肛門がん、尖圭コンジローマを引き起こす可能性があります。MSD株式会社は今回の承認を契機に、日本でも男女問わず接種が広がり、公衆衛生の向上に寄与することを目指しています。

9価HPVワクチンの適応追加と接種が推奨される人

9価HPVワクチンの接種が推奨される人について教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

9価HPVワクチン「シルガード®9」は、これまで女性を中心に接種されてきました。今回の承認により、肛門がんやその前駆病変、男性における尖圭コンジローマの予防が新たに適応に加わり、接種対象も9歳以上の男性に拡大されました。 HPVは性交渉を通じて多くの人が感染するとされ、持続感染すると子宮頸がんや肛門がんなどの原因になります。定期的な検診が推奨されていない疾患に対しては、ワクチンが有効な予防手段です。そのため、「思春期前後からの男女」「将来的に性交渉を経験する可能性のある人」「がん予防を重視する人」は、特に接種が推奨されます。

ニュースの受け止め

MSD株式会社が発表した内容への受け止めを教えてください。また、9価HPVワクチンの適応が拡大されたことによる社会への影響は?

吉野 友祐 医師吉野先生

がんは多くの人にとって大きな負担となる疾患であり、予防できるワクチンの価値は高いものです。今回の適応拡大は、HPVの関連疾患の一次予防を男女で等しく進める重要な一歩です。 肛門がんや尖圭コンジローマは男性にも負担が大きく、特に男性同士で性交渉をする機会がある人ではリスクが高いことが知られています。9価ワクチンが男性にも使えるようになったことで、個人の防御に加え、パートナー間や社会全体での感染拡大を抑えられる可能性が広がりました。思春期から男女ともに接種が進めばHPVの循環が下がり、女性の子宮頸がん予防も強化されるなど、いわゆる集団免疫の効果が期待されます。 総じて、関連する疾患全体の受診・治療に伴う負担が軽くなり、医療・公衆衛生コストの長期的な抑制にもつながると考えられます。

編集部まとめ

今回の発表により、「シルガード®9」は男女ともに幅広いHPV関連疾患の予防に役立つワクチンとなりました。自分や家族のライフプランの中で、がん予防の選択肢としてワクチンを取り入れることが、日常生活における安心につながるでしょう。

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