「経口補水液」を“水分補給”目的で飲まないで 消費者庁が警鐘、リスク・飲むべきタイミングを医師が解説

消費者庁は、経口補水液の誤った使い方が健康リスクにつながる恐れがあるとして、正しい使用方法を呼びかけています。消費者庁が発表した内容に加えて、経口補水液を飲むべきタイミングや健康時に飲むリスクを医師の眞鍋先生に解説していただきました。

監修医師:
眞鍋 憲正(医師)
消費者庁が発表した内容とは?
消費者庁が発表した経口補水液に関する内容を教えてください。
消費者庁では、経口補水液の正しい使い方について、広く呼びかけています。優れた特性を持つ経口補水液ですが、健康な人が日常的に飲むものではないため、消費者庁では使用に際して注意するよう呼びかけています。 経口補水液は「特別用途食品」に分類されており、国の制度に基づいて、主に病者向けに利用されることを目的としています。自己判断での経口補水液の使用は避け、必要な場合には医師や薬剤師、管理栄養士などの専門家に相談することが重要です。また、熱中症対策に有効とされる経口補水液もありますが、全ての商品がそれに該当するわけではありません。 消費者庁は、製品パッケージをよく確認し、用途や用法を守って正しく使用するよう重ねて注意を促しています。
経口補水液を飲むタイミングとは?
経口補水液はどんなタイミングで飲むのがいいのでしょうか? また、健康な人が飲むとどのようなリスクがありますか?
経口補水液は、脱水症状がみられるときに飲むのが適しています。例えば、感染性腸炎や風邪による下痢・嘔吐・発熱が原因で水分が失われた場合や、高齢者の経口摂取量の不足、過度の発汗による脱水、さらには脱水を伴う熱中症などの場面で活用が推奨されています。また、脱水の回復後も、水分と電解質の補給や維持のために役立つことがあります。ただし、経口補水液が必要かどうかは、自分で判断せずに、必ず医師や管理栄養士、薬剤師に相談してください。健康な人が経口補水液を日常的に飲んだり、大量に摂取したりすると、ナトリウムなどの成分により血圧や心臓に負荷がかかる恐れがあります。熱中症対策に用いる場合でも、製品によって適応が異なるので、パッケージをよく確認し、正しく使用しましょう。
消費者庁が発表した内容への受け止めは?
消費者庁が発表した内容への受け止めを教えてください。
経口補水液は“予防”として飲むのではなく、あくまで軽度の自宅で看護できる脱水症を“治す”ための飲み物です。熱中症による脱水予防の飲料としては、通常の水やお茶などで十分です。 1回の摂取量は少量でいいのでこまめに、回数をたくさんにして水分を摂取し、そもそも脱水症に陥らないように気をつけましょう。また、重度の熱中症となると倦怠感や嘔吐により自分での飲料の摂取が難しくなります。そうなってしまった場合は、無理に飲料を与えず、すみやかに医療機関を受診するようにしましょう。
編集部まとめ
経口補水液は、下痢・嘔吐・高熱などの体調不良時や、脱水を伴う熱中症などに使用されますが、健康な人が日常的に飲むのは推奨できないとのことでした。商品によって成分や用途も異なるため、パッケージを確認し、自己判断せず医師や薬剤師に相談することが大切です。私たちの生活でも、必要なときに正しく選び、使う意識を持ちましょう。



