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「1日3杯のコーヒー」で血糖値の改善・動脈硬化も予防、代謝UPホルモンが増加 研究で確認

 更新日:2025/07/17

徳島大学の研究グループは、コーヒーをよく飲む正常体重の人は、代謝を助けるホルモン「HMWアディポネクチン」の濃度が高くなる可能性を報告しました。血糖値の改善や動脈硬化予防にもつながるこのホルモンに注目が集まっています。今回の研究内容をふまえ、コーヒーの健康効果や適量、飲み過ぎによるリスクについて、眞鍋医師に詳しく伺いました。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

研究グループが発表した内容とは?

徳島大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

徳島大学大学院医歯薬学研究部の石津将助教と渡辺毅助教らは、正常体重の日本人がコーヒーをよく飲むことで、HMWアディポネクチンという代謝を助けるホルモンの血中濃度が高まる可能性があるとする研究結果を発表しました。HMWアディポネクチンはインスリンの働きを助け、血糖値の改善や動脈硬化の予防に関係するとされています。研究では、徳島県の35〜69歳の成人606人を対象に、コーヒーの摂取量と血清HMWアディポネクチンの関係を調べました。

研究の結果、1日3杯以上のコーヒーを飲む正常体重の人では、特にHMWアディポネクチンの増加傾向がみられました。一方で、肥満の人では同様の効果が確認されませんでした。また、コーヒーの種類別の分析では、フィルターやインスタントコーヒーの摂取が正常体重者のホルモン増加と関連していることも判明しました。研究チームは、体質に応じた健康習慣の重要性を強調しています。

コーヒーの健康効果とは 1日の適量は? 飲み過ぎるとどうなる?

コーヒーには、どのような健康効果があるのでしょうか? また、1日の適量や飲み過ぎるとどうなるかについても教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

コーヒーには、糖尿病や子宮体がん、肝臓がん、さらには心疾患や呼吸器疾患による死亡リスクの低下など、様々な健康効果があるとされています。特に、1日3〜4杯程度の摂取でその効果が高まると報告されています。ただし、飲み過ぎには注意が必要です。コーヒーに含まれるカフェインは、胃の不調や不眠、さらには強い疲労感や依存症状の原因になることがあります。海外では、健康な成人のカフェイン摂取目安を1日400mgとする国もあります。夜遅くの摂取は控えることに加え、カフェインに敏感な人はカフェインレスも上手に活用して、無理のない範囲で取り入れていきましょう。

研究内容への受け止めは?

徳島大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

この研究は、コーヒーをよく飲む正常体重の人は、血液中のHMWアディポネクチンという体に良い働きをするホルモンの量が多いことを明らかにしたものです。HMWアディポネクチンは、血糖値や脂肪の代謝を助けるとされており、将来の糖尿病や生活習慣病の予防につながる可能性があるという点で、非常に興味深い結果です。

ただし、この研究は「ある時点の状態」を調べた観察研究(横断研究)であり、「コーヒーを飲んだからHMWアディポネクチンが増えた」と断言できるものではありません。また、コーヒーの飲み方や種類も自己申告なので、情報の正確さにばらつきがある可能性もあります。今後、時間を追って変化を調べる研究や、コーヒーの種類ごとの効果を詳しく調べることが望まれます。

編集部まとめ

コーヒーは血糖値の改善や動脈硬化予防に役立つホルモンの分泌を助ける可能性があり、1日3〜4杯程度が健康効果を得やすいとされています。ただし、飲みすぎは胃の不調や睡眠の質の低下、カフェイン依存などのリスクを招くこともあります。そのため、体調や体質に合わせて適量を守り、朝〜夕方の時間帯を中心に楽しむのがコツです。コーヒーを賢く生活に取り入れて、無理のない健康習慣を心がけましょう。

この記事の監修医師