豆の健康効果がスゴい! 「2型糖尿病」患者の血糖値・血圧を改善する働きが研究で判明

カナダ・トロント大学の研究チームは、低GI食の一部として豆類を積極的に摂取することで、2型糖尿病患者の血糖コントロールや心血管リスクの改善につながる可能性があることを明らかにしました。研究では、実際に豆類を毎日食事に取り入れたグループで、HbA1cや血圧に有意な改善がみられたことを報告しています。この研究結果について、本多医師に詳しく話を伺いました。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
研究グループが発表した内容とは?
トロント大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
本多先生
トロント大学の研究員らは、2型糖尿病の患者121名を対象に、豆類が血糖コントロールと心血管リスクに与える影響を検証するランダム化比較試験を実施しました。参加者は、豆類を1日1カップ以上摂取する「低GI(グリセミック指数)豆類食」群と、全粒小麦製品を摂取する「高小麦繊維食」群に分けられ、12週間の介入がおこなわれました。主要評価項目はHbA1c(ヘモグロビンA1c)値の変化、副次評価項目としてCHD(冠動脈性心疾患)リスクスコアが設定されました。
結果として、低GI豆類食群ではHbA1cが0.5%低下し、高小麦繊維食群の0.3%低下と比較して有意に優れていました(差は0.2%、P<.001)。また、CHDリスクスコアも豆類食群でより大きく低下し(−0.8%、P=.003)、これは主に収縮期血圧の低下(−4.5mmHg、P<.001)によるものでした。CHDリスクスコアは、今後10年間に冠動脈疾患を発症する可能性を示す指標です。年齢、LDL・HDLコレステロール値、血圧、糖尿病の有無、喫煙の有無の6項目から算出され、Framingham研究に基づいています。
以上の結果から、低GI食の一部として豆類を取り入れることが、2型糖尿病患者における血糖コントロールと心血管リスクの改善に寄与することが示唆されました。
研究内容への受け止めは?
トロント大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
本多先生
本研究は、2型糖尿病患者の血糖コントロールと心血管リスクの改善に、豆類を中心とした低GI食が有効であることを示した重要な報告です。特に、HbA1cや収縮期血圧の改善は臨床的意義が大きく、日々の食事の選択が治療の一環となることを改めて実感させられます。ただし、豆類だけに偏るのではなく、野菜や魚、全粒穀物なども取り入れたバランスの良い食事を心がけることが大切です。そして、重要なことは継続していくことです。食事は毎日するものなので、一時的に気をつけても、食生活が元に戻ればその効果は失われてしまいます。継続可能な食習慣を作っていくことが、糖尿病における食事療法の鍵となります。
今後どのように活用できそうか?
今回紹介していただいた研究結果はどのようなことに活用できるものでしょうか?
本多先生
この研究結果は、2型糖尿病患者さんへの具体的な食事指導に非常に有用であると言えるでしょう。特に、低GI食の実践例として豆類の摂取が血糖コントロールや心血管リスクの低下に有効であることを示しており、患者さんに「どのような食品を選べばいいのか」を説明する際の具体的な根拠になります。ただし、このような話を聞くと、豆類しか食べなくなるような極端な人もいるので、「バランスの良い食事が重要」ということをしっかり伝えなければなりません。今回の研究はサプリメントなどではなく、身近にある食品が日常の食習慣改善に活用できる貴重なデータと言えるでしょう。
編集部まとめ
豆類は、血糖値の上昇をゆるやかにする「低GI食品」の代表格です。今回の研究では、豆類を毎日の食事に取り入れることで、血糖コントロールや血圧の改善につながることが示されました。糖尿病予防や健康管理において、特別なサプリメントに頼らず、手軽に取り入れられる食品として、日々の献立に豆類を加える工夫が、私たちの暮らしにも役立つヒントになりそうです。