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台湾で新型コロナ急増中…変異株「NB.1.8.1」が感染拡大、マスク・ワクチン再徹底を

 更新日:2025/06/13

2025年5月27日、台湾の衛生福利部疾病管制署は、第21週(5月18〜24日)の新型コロナウイルスの外来・救急患者数について、公式ウェブサイトを通じて発表しました。台湾政府は、感染拡大を防ぐためにワクチン接種やマスク着用などの注意喚起をおこなっています。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

台湾の衛生福利部疾病管制署が発表した内容とは?

台湾の衛生福利部疾病管制署が発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

台湾の衛生福利部疾病管制署は、連休に伴う人の移動や集まりによって新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されることから、国民に対し引き続き防疫対策の徹底を呼びかけました。最新の統計では、第21週(5月18〜24日)の外来・救急患者数が約4万人を超え、前年同期を大きく上回りました。主流の変異株は「NB.1.8.1」とされています。

現在、台湾ではワクチン接種が活発化しており、5月19〜25日の接種者数は前週の約2.4倍に増加しました。台湾政府は十分なワクチンと抗ウイルス薬を備蓄しており、高リスクグループには接種が強く勧められています。医療機関に入る際や公共交通機関の利用時、屋内で人が密集する場所では、特に高齢者や基礎疾患のある人を中心にマスクの着用が推奨されています。また、発熱や咳などの呼吸器症状がある場合は外出を控え、自宅で安静に過ごすよう求められています。

新型コロナウイルスの感染状況とは?

アジア各地で新型コロナウイルスが広がっていますが、感染状況を教えてください。また、日本でも再び流行する可能性はありますか?

本多 洋介 医師本多先生

アジア各地では新型コロナウイルスの感染が再び広がっており、各国で注意が呼びかけられています。日本での流行は落ち着いているものの、引き続き感染者の報告は続いています。2025年20週(5月12〜18日)には全国で3694人の感染が報告され、人口10万人あたりでは0.96人という数値でした。翌週は、人口10万人あたり0.84人とやや減少したものの、完全に収束したとは言い切れない状況です。

人の移動が増える季節には、再び流行する可能性もあるため、今後の感染状況には注意が必要です。体調に異変を感じた際は外出を控え、必要に応じて医療機関を受診するなど、自分と周囲の人を守る行動を心がけましょう。

台湾の衛生福利部疾病管制署が発表した内容への受け止めは?

台湾の衛生福利部疾病管制署が発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

このようなニュースを聞くと、不安に感じる人もいらっしゃるかと思いますが、内科医の立場から伝えたいのは「過度に心配する必要はありませんが、基本的な対策は今後も大切にしていきましょう」ということです。

現在の新型コロナウイルス(NB.1.8.1株)は、重症化リスクの高い人(高齢者・基礎疾患のある方)にとって引き続き警戒が必要ですが、ワクチンや抗ウイルス薬の備えがあることや、多くの人がこれまでに免疫を獲得していることから、社会全体としては大きく慌てる状況ではありません。感染を防ぐには、以下の基本的な対応を継続することが効果的です。

  • 人が多く集まる場所では必要に応じてマスクを活用する
  • 発熱や咳などの症状がある場合は無理せず自宅で安静にする
  • 高齢者や持病を持つ人はワクチンの接種について主治医と相談する
  • 石けんでの手洗いやアルコール手指消毒を習慣づける

これらは新型コロナウイルスだけでなく、ほかの感染症予防にもつながる大切な習慣です。今後も、海外の感染動向やウイルスの変異状況には注意が必要ですが、私たちができることは「正しい情報をもとに、冷静に、できる対策を続けること」です。

編集部まとめ

連休や旅行などで人の移動が増えると、感染症は広がりやすくなります。台湾では外来患者が急増し、マスク着用やワクチン接種が再び強く推奨されています。日本でも感染者数は少しずつ報告されており、流行の波が再来する可能性も否定できません。日常生活では、体調が悪いときには無理をせず休む、医療機関や混雑した場所ではマスクを着用するなど、基本的な対策を忘れずに行動しましょう。

この記事の監修医師