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「握力が弱いと早死にする」研究で明らかに “長生きできない”可能性がある握力の基準とは

 公開日:2024/11/21

アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループは、「アメリカに住む50代以上の人の握力を測定した結果、握力の弱い人は何らかの原因で早期に死亡するリスクが高くなる」という研究結果を発表しました。この内容について眞鍋医師に伺いました。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

今回紹介する研究報告は、アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループによるもので、研究成果は学術誌「The Journal of Strength and Conditioning Research」に掲載されています。

研究グループは、2006〜2018年に実施された「健康と退職に関する調査」の対象者の中から、50歳以上の1万4178人を対象に研究をおこないました。対象者の死亡日は全米死亡索引で確認されたということです。

この研究では、握力が弱いとされる定義を男女別に示しています。男性は「①35.5kg未満」「②体重1kgあたり0.45kg未満」「③BMIの単位(1kg/m2)あたり1.05kg未満」で、女性は「①20kg未満」「②体重1kgあたり0.337kg未満」「③BMIの単位(1kg/m2)あたり0.79kg未満」という場合に握力が弱いとされました。

早期死亡との関連を調べたところ、握力の弱さが①の場合はハザード比が1.45、②の場合はハザード比が1.33、③の場合はハザード比が1.39という結果が出ました。また、①〜③の該当数が増えるごとにハザード比は上昇していました。具体的には、1項目該当するとハザード比は1.37に、2項目該当すると1.47、3項目すべて該当すると1.69という結果が出ました。

研究グループは、今回得られた知見について「握力の絶対値と身体サイズで調整した筋力容量の複合指標によって決定される筋力の弱さは、死亡までの時間を予測する上で信頼性の高い指標となる。スポーツ医学や健康の専門家が加齢に伴う筋力の重要性を議論する上で、役立つ可能性がある」と論文で言及しています。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

これまでも完全ではありませんが、握力と全身の筋力の関連性を示した研究はあり、筋力の低下から「身体機能の低下」「心血管疾患といった慢性疾患の発病率」「全死亡率」などの指標と関係していることが知られていました。しかし、これまでの研究では、例えば肥満で体型が大きい人は自然と握力がある程度強くなってしまい、こうしたスクリーニングから漏れてしまう可能性がありました。そこで今回の研究では、握力の指標を特に細分化して、さらに全身の体型で調節することにより、握力と全身の筋力の関連をより綿密に予測しやすくし、精度を高めたものになります。この方法よって「死亡までの時間を予測する上で信頼性の高い指標となった」と結論づけています。

今回の研究結果は、今後どのように活用できそうか?

今回の研究結果は、今後どのようなことに活用できるものでしょうか?

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

握力は簡単かつ、コストがかからずに測れるので、臨床的に検査がしやすいというのが特徴です。こうした研究により、医療機関で握力を測るだけで、今後の疾患や死亡率の予測できるようになり、特に高齢者の健康問題の始まりをいち早く察知できるようになるのではないでしょうか。そうすることで、疾患が重篤化する前に防ぐことが可能になると思われます。

編集部まとめ

アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループは、「アメリカに住む50代以上の人の握力を測定した結果、握力の弱い人は何らかの原因で早期に死亡するリスクが高くなる」という研究結果を発表しました。早期死亡のリスクを抑えるためにも、筋力の維持には注意した方が良さそうです。

この記事の監修医師