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新型コロナ「第11波」夏休み・お盆にピークか “止まらない感染拡大”に対する国の対応は?

 公開日:2024/07/26

新型コロナウイルスの感染者の増加が続いています。厚生労働省が発表した統計によると、1定点あたりの感染者数は前週の1.39倍に増加しており、10週連続で増え続けています。この内容について、小幡医師に伺いました。

小幡 史明

監修医師
小幡 史明(医師)

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自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

新型コロナウイルスの感染状況は?

新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にありますが、現在の状況について教えてください。

小幡 史明 医師小幡先生

2024年7月8日~7月14日までの1週間に、全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数は、前週より1万5198人増えて5万5072人となりました。また、1医療機関あたりの平均患者数は11.18人で、前週の1.39倍となりました。10週連続で前週より増加しており、注意が必要な状況です。都道府県別に1定点あたりの患者数を分析すると、鹿児島県が31.75人と最も多くなっています。次に多くなったのが佐賀県で29.46人、次いで宮崎県で29.34人、沖縄県で28.57人、熊本県で26.33人となっており、45の都府県で前週より増加しています。

感染拡大の背景として指摘されるのが、オミクロン株の一系統JN.1から派生した「KP.3」の出現です。KP.3株については、東京大学医科学研究所システムウイルス学分野の研究グループがウイルス学的特性を明らかにしており、学術誌「The Lancet Infectious Diseases」で研究成果が公開されています。研究グループによると、KP.3株は親系統株であるJN.1株と比べて、自然感染やワクチン接種によって得られた中和抗体に対して高い逃避能を持つことがわかっています。また、JN.1株よりも高い実効再生産数を持つ、つまり特定の状況下において、1人の感染者が生み出す二次感染者数の平均が高いことも明らかになっています。

KP.3株がどれほど流行しているかについて、東京都の新型コロナウイルス感染症情報によると、2024年5月の時点でKP.3株が70.4%となっており、6月中旬には、KP.3株の割合は81.1%となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大に対する国の動きは?

新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、国はどのように対応しているのでしょうか?

小幡 史明 医師小幡先生

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚生労働省は2024年7月22日に専門家会合を開いています。この会合には、感染症や医療などの専門家8人が参加しています。会合に出席した専門家たちからは、新型コロナウイルスの今後の感染が8~9月にかけてピークを迎える可能性や、解熱剤などの薬剤不足、九州や沖縄などの地域で入院調整が難しくなっていることなどが報告されたとのことです。

こうした現状を踏まえて専門家から国に対して「換気や手洗いの徹底、マスクの着用などの基本的な対策を改めて呼びかける必要がある」などの意見が出されました。会合に出席した武見厚生労働大臣は「この先の感染動向を見据えながら、この夏の熱中症、そして新型コロナウイルス拡大に対して万全の体制を組んでいきたい」とコメントしています。また、会合に出席した国立感染症研究所の脇田隆字所長は「オミクロン株系統のKP.3が主流となり、これまでに感染した人やワクチンを接種した人も感染する可能性がある。そのほかの感染症も広がりやすい時期なので、改めて基本的な感染対策をとってもらいたい」と報道陣に話しています。

新型コロナウイルスの感染状況への受け止めは?

新型コロナウイルスの感染状況への受け止めを教えてください。

小幡 史明 医師小幡先生

これまでに何度も繰り返されてきた通り、流行拡大の波がやってきました。今回の波は広がりやすいことが特徴で、過去いずれの波よりも急速に感染者数が増加しており、医療のひっ迫が予想されます。重症化率も低くなったとはいえゼロではないため、感染者数の増加に伴って集中治療患者数も増加しています。過去のように予定手術の中止や救急のたらい回しなどが発生する可能性もあるので、今以上の感染が起こらないよう感染対策により一層気をつける必要があります。

まとめ

新型コロナウイルスの感染者が増加を続けています。厚生労働省が発表した統計によると、1定点あたりの感染者数は前週の1.39倍に増加しており、10週連続で増え続けています。この夏の感染者のピークが8~9月の可能性があることも具体的に示されており、今後も注視する必要があります。

この記事の監修医師