新型コロナ検査の「セルフ検体採取」とは? メリット、デメリットを分析

公開日:2020/04/03

世界を震撼させている新型コロナウイルス。中国武漢市が発祥とされていますが、瞬く間に世界中に広がり、アメリカやヨーロッパではすでに中国を上回る感染者が出ています。
終息の気配が全く見えず、外出自粛要請や休校など日本を含めて世界では感染拡大を防ぐための対策が行われているのが現状です。

新型コロナウイルスの全貌はまだまだ解明されていない部分も多く、世界中で研究や調査が進められています。そんな中、アメリカでは自己採取した検体を用いた検査を認める方針であることが明らかになりました。

そこで今回は、自己検体採取による新型コロナウイルス検査のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

成田 亜希子 医師

監修医師
成田 亜希子 医師

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弘前大学医学部卒業後は、内科医として勤務。また、国立医療科学院でも研修を積み生活習慣病や感染症予防などの公衆衛生分野の知見を習得。日本内科学会、日本感染症学会、日本結核病学会、日本公衆衛生学会の各会員。

自己採取検体でも十分な精度の検査が可能?

現在、新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査は、鼻やのどの奥の分泌物を採取し、その中にウイルスのDNAが含まれていることを確認する「PCR検査」が行われています。
検査に必要な「分泌物」は綿棒を鼻やのどの奥に挿入し、粘膜にこすりつけるようにして採取しますが、この「分泌物」の採取は医師や看護師によって行われてきました。

しかし、この手法はエアロゾルを発生させる可能性が高く、医療従事者へ感染を拡げるリスクの一つとされています。

成田 亜希子 医師成田先生

そこで考え出されたのが、患者自らが鼻やのどの奥に綿棒を入れて「分泌液」を採取するという「自己採取」。この方法が浸透すれば医療従事者への感染リスクを大幅に減らすことができるはずです。
しかし、医学的知識のない患者が正しく「分泌液」を採取することができるのか……そこが争点になっていました。
そこでアメリカのユナイテッド・ヘルスグループはワシントン州のある治療施設で検査を受けた500名の患者を対象に調査。その結果、自己採取した検体を用いた検査と医療従事者によって採取された検体を用いた検査は同程度の精度があることが分かったのです。
この結果を受け、アメリカ食品医薬品局(FDA)は新型コロナウイルス検査の自己検体採取を認めるようガイドラインを改訂することを発表しました。
今後はアメリカだけでなく、日本を含めた世界中で自己採取検体による検査が浸透していく可能性もあります。

自己採取検体のメリットは?

上述したように、検体を自己採取することは医療従事者への感染リスクを低減させることにつながります。

成田 亜希子 医師成田先生

現在、世界各国で医療従事者が感染源となる院内感染も起きていますので、感染リスクを少しでも減らすことはとても大切なことです。
また、これまでは検査を行うため、検体採取を行う医療従事者を配置しなければなりませんでした。感染が拡大している国では、医療従事者の人員不足も大きな問題となっていますので、自己検体採取による検査は人員を確保するといった点でもメリットとなるでしょう。

自己検体採取によるデメリットは?

自己検体採取による検査は患者にとっても医療従事者にとっても簡便さが増すため、広く普及すれば検査希望者は今よりはるかに増加することが予想されます。そのため、物資が不足し、本当に検査が必要な重症患者に行き渡らなくなる可能性も……。その上、PCR検査を実施する機関数自体は変わらないため、キャパオーバーになることも考えられます。

成田 亜希子 医師成田先生

また、根本的な問題になりますが、鼻やのどの奥の分泌物を綿棒で採取するには痛みや不快感を伴いますので、採取に適した部位まで挿入できないケースもあるのではないでしょうか?