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学生時代にバスケ・バレー経験があると老後の骨密度が高くなる 順天堂大が発表

 公開日:2024/01/11
青年期のバスケ・バレー経験歴が高齢期の骨密度維持に関連か

順天堂大学の研究グループは、「思春期の運動実施種目と高齢期の骨密度との関連を調べた結果、思春期にバスケットボールやバレーボールをしていた人は、高齢期の骨密度が高くなる可能性を明らかにした」と発表しました。この内容について眞鍋医師に伺いました。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

研究グループが発表した内容とは?

今回、順天堂大学の研究グループが発表した内容について教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

順天堂大学の研究グループは、思春期の運動実施種目と高齢期の骨密度との関連を調べました。研究成果は学術誌「Frontiers in Physiology」に掲載されています。

研究グループは、東京都文京区在住の高齢者1596人を対象に観察研究を実施しました。その結果、中学・高校生期にバスケットボールをしていた男女で高齢期の大腿骨頸部の骨密度が高く、女性は腰椎の骨密度も高いことがわかりました。

研究グループは、今回明らかにした点について「競技レベルや運動量の多いアスリートなどでなく一般人であっても、数十年前の中学・高校生期の運動経験によって得られた骨利益が高齢期まで長期に渡って維持される可能性を示していることが興味深い点である」と指摘しています。また、「今回の研究成果は、中学・高校生期にバスケットボールやバレーボールといった骨に大きな刺激が加わるスポーツをおこなうことで、長期的に骨の健康をもたらし、思春期の運動実施が将来の健康につながる可能性を示唆しています」ともコメントしています。

今回の研究が実施された背景は?

今回の研究がおこなわれた背景について教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

骨量は20代でピークを迎え、その後は50歳頃まで維持し、加齢に伴って減少していきます。特に女性は閉経後に骨量が急激に減少して、70歳以上の日本人女性の約40%が「骨粗しょう症」を発症すると報告されています。骨粗しょう症を背景とする転倒・骨折は、要介護になる原因第2位となっているので対策が必要です。大人になってからの骨量の約40%が思春期における骨形成量によって決まってしまうので、思春期に最大限に骨量を高めておくことが高齢期の骨密度の維持、すなわち骨粗しょう症の予防に有効であると考えられています。

思春期にバスケットボールやバレーボールなどの骨に加わる刺激の大きい運動をしている人は、水泳やサイクリングなど骨に加わる刺激の少ない運動をしている人と比べて骨密度が高くなることは以前からわかっていました。しかし、日本において中学・高校生期の部活動とそこでの運動実施種目の違いが長期的に影響し、高齢期の骨密度とも関連するかはよくわかっていないという背景が今回の研究につながりました。

今回の発表内容への受け止めは?

順天堂大学の研究グループが発表した内容について、受け止めを教えてください。

眞鍋 憲正 医師眞鍋先生

今回の研究により、日本における中学・高校生期の部活動とそこでの運動実施種目の違いが高齢期の骨密度維持と関連することが示唆されましたが、運動強度、運動量、運動時間の詳細など、まだ不明な点が多く残されており、今後さらなる研究が必要です。しかし、将来の健康を守るために思春期から積極的に運動することは、骨の健康という観点からも重要であることが改めて確認ができたと言えるでしょう。

まとめ

順天堂大学の研究グループは、思春期の運動実施種目と高齢期の骨密度との関連を調べた結果、思春期にバスケットボールやバレーボールをしていた人は、高齢期の骨密度が高くなる可能性を明らかにしたと発表しました。骨粗しょう症の高齢者が転倒して骨折すると、筋肉が衰えてフレイルになることもあるので、今後の研究にも注目が集まりそうです。

この記事の監修医師