1. Medical DOCTOP
  2. NEWS
  3. 不妊治療薬「フェマーラ」の適正使用を周知

不妊治療薬「フェマーラ」の適正使用を周知

公開日:2022/04/21

4月から不妊治療での使用が保険適用となった「フェマーラ」について、製薬会社ノバルティスファーマは日本産科婦人科学会の公式サイト上で、適正使用と有害事象の報告について周知依頼をおこないました。このニュースについて前田医師に伺いました。

前田 裕斗 医師

監修医師
前田 裕斗 医師

プロフィールをもっと見る
東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

ノバルティスファーマが出した周知依頼の内容とは?

ノバルティスファーマ社が日本産科婦人科学会に掲載した周知依頼の内容について教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

この周知依頼は、2022年3月30日に日本産科婦人科学会のHPに掲載されたものです。フェマーラは、元々は閉経後の乳がんの治療薬として国内で承認されていましたが、4月から「多囊胞性卵巣症候群(PCOS)における排卵誘発」「原因不明不妊における排卵誘発」に対しても保険適用になりました。これらの適応について薬事承認は得られていないため、添付文書上に記載はされていません。フェマーラは卵巣のエストロゲン合成酵素のアロマターゼを阻害して、エストロゲンを減少させるアロマターゼ阻害薬で、卵胞の発育を促進します。周知依頼の中では、添付文書やインタビューフォームをしっかり把握して、不妊治療の知識と経験がある医師のもとで使用する、予測されるリスクなどの説明をしっかりした上で投与するなどの適正使用について書かれています。また、フェマーラは動物実験で胎児毒性や催奇形性が報告されていますが、公表されている論文では、不妊治療を目的として投与した際の催奇形性リスクは、ほかの卵巣調節刺激薬や自然妊娠におけるリスクを超えるものではないことが示唆されています。しかしながら市販後安全性報告は情報が限られているとして、同薬投与後の患者から、もし出生した児に先天異常が認められた際にはノバルティスファーマに報告するように求めています。

今回の周知依頼の受け止めは?

ノバルティスファーマ社による周知依頼への受け止めを教えてください。

前田 裕斗 医師前田先生

今回の周知は、春から不妊治療に使われる薬の保険適用拡大がおこなわれた一方で、特定の目的に用いるための薬事承認が済んでいないというズレからおこなわれたものです。フェマーラは前述の通り動物実験で胎児に奇形を生じたという報告があるため、現在も添付文書には「妊婦または妊娠している可能性のある女性に投与することは禁忌」と記載があります。そのため、この文書を見た治療中の女性やパートナーが驚かないように周知を出したという背景が考えられます。フェマーラ自体は海外では排卵誘発剤としてよく用いられる薬の1つで使用経験も蓄積されているため、実際は安全に使用できる薬と考えていいでしょう。

新たな不妊治療薬が保険適用される中で気をつけるべき点は?

新たな不妊治療薬が保険適用される中で、どのような点について気をつければいいのでしょうか?

前田 裕斗 医師前田先生

各薬や治療法について自分達で調べること、そして必ず不明な点については自分達だけで悩まず医師に確認を取ることが重要です。不妊治療は一生を決める大事な治療ですから、ご本人、そしてパートナーと治療について、提供する医療スタッフから説明を受け、理解し、治療を受ける側も医療チームの一員として参加する気持ちを持つことでうまく治療が進むのではないでしょうか。

まとめ

4月から不妊治療での使用が保険適用となったフェマーラについて、ノバルティスファーマ社は日本産科婦人科学会の公式サイト上で、適正使用と有害事象の報告について周知依頼をおこなったことが今回のニュースでわかりました。不妊治療の患者側もしっかりとリスクなど情報把握することが重要と言えそうです。