【新型コロナワクチン】5~11歳への接種を開始
新型コロナワクチンの5~11歳向けの接種が先月から一部自治体で始まっています。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
5~11歳へのワクチン接種について
5~11歳へのワクチン接種は、どのような形でおこなわれるのか教えてください。
中路先生
5~11歳へのワクチン接種は、早い自治体では先月から始まっています。対象となる人数は700万~800万人ほどで言われていて、12歳以上を対象にしたワクチンに比べると1回に接種する有効成分の量は3分の1と少なく、3週間の間隔で2回接種を受けることになります。学校での集団接種は推奨されていないため、自治体による集団接種か小児科のクリニックなどでの個別接種とする方針が立てられています。ワクチンはファイザー製を使用することになり、自治体判断で基礎疾患があるなど重症化リスクの高い子どもが優先されます。費用は臨時接種に位置付けられているため公費で無料になります。現時点では、予防接種法に基づく接種の努力義務は保護者に課されていません。
5~11歳へのワクチンの効果は?
5~11歳に対するワクチンの効果について教えてください。
中路先生
ファイザー社がFDA(アメリカ食品医薬品局)に提出した資料によると、今回の臨床試験には5~11歳の2268人が参加しました。12歳以上が使う量の3分の1の量を2回、3週間あけて接種したグループでは3人が新型コロナを発症しましたが、同じ間隔で偽薬を接種したグループでは16人が発症したそうで、有効性は90.7%でした。また、ワクチンを接種して感染した子どもたちは症状も軽く済み、深刻な副反応も起きなかったそうです。ただし、先月末にニューヨーク州の保健当局などの研究チームが公開した研究結果によると、ファイザー製ワクチンを接種した5~11歳はオミクロン株が主流となった去年12月中旬の時点で感染を防ぐ効果が68%でしたが、今年1月下旬では12%と大幅に低下していたということです。研究チームは、5~11歳で感染を防ぐ効果が大幅に低下した理由については接種するワクチンの成分の量が12歳以上の場合の3分の1と少ないことが影響している可能性があると指摘しています。
5~11歳がワクチン接種する際に留意する点は?
5~11歳がワクチン接種する際、どのようなことに留意する必要があるのでしょうか?
中路先生
5~11歳でワクチンの量を減らすと効果は減弱し、免疫の持続期間が短くなるのは当然と言えます。しかし、効果は減弱しても重症化を防ぐエビデンスはあり、感染による自然免疫で対応するよりはワクチン接種により免疫をつけた方が賢明と考えられます。理想的な接種量をどうするかは今後の検討課題ですが、日本の場合は海外との体格の差もあり、今後日本でのエビデンスの集積が必要と考えます。
まとめ
新型コロナワクチンの5~11歳向けの接種が先月から一部自治体で始まっていることが今回のニュースで明らかになりました。子どもへのワクチン接種をめぐっては不安に感じる保護者もいることから、最新の研究結果などの情報をしっかりと確認することが重要になりそうです。