新型コロナウイルス入院患者、4日で退院可能に
厚生労働省は、重症化リスクが低い新型コロナウイルス入院患者については4日間で退院できるとの目安を示しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
厚生労働省が発表した内容とは?
今回、厚生労働省が発表した内容について教えてください。
中路先生
厚生労働省が示した新型コロナウイルス入院患者に関する新たな目安では、入院日を0日目として4日目以降に酸素投与が必要な中等症2以上の悪化が認められない場合は重症化の恐れが低くなったとみなし、自宅や宿泊施設での療養、後方支援を行う病院への転院を、自治体に積極的に検討するよう推奨しています。
退院は最終的には医師が重症化リスクに基づき判断するため、呼吸困難や肺炎の症状がある中等症1も退院対象になる可能性があります。重症化しやすい高齢者への適用に関しては、慎重に検討する必要があるという考えが示されています。人工呼吸器などを必要としない新型コロナウイルス患者は原則、発症から10日間経過後に退院できますが、厚生労働省は重症化する可能性が低いと医師が判断した場合は、基準経過日数前に自宅療養などへ変更することは認めていました。
今回は短縮できる判断の目安を示したという形になります。
厚生労働省が目安を示した背景は?
厚生労働省が目安を示した背景にはどのようなことがあるのでしょうか?
中路先生
今回、厚生労働省が目安を示した背景には、国立病院機構のデータで、全国67病院で1月の入院患者1321人のうち、4日間の入院期間を過ぎた後に中等症2以上に悪化したのは0.9%の12人にとどまったという知見があります。比較的症状が軽い人は自宅療養などに切り替えて病床逼迫を防ぐとともに、高齢者や症状が急変した人が確実に入院できるようにする狙いもあるとみられ、実際に患者の搬送先がすぐに決まらない救急搬送困難事案が2月7日から13日までの1週間の間に全国で5740件あり、5週連続で過去最多を更新しましています。このうち新型コロナウイルスの感染が疑われるケースは、全体の4割近くにあたる2067件だったということです。
厚生労働省が示した目安の受け止めは?
今回、厚生労働省が示した目安の受け止めを教えてください。
中路先生
現在、オミクロン株の感染の拡大に伴って重症患者が増加してきており、「新型コロナウイルスの入院患者において重症化するリスクが低い場合は4日間で退院できる」との判断は、限りあるコロナ病床を重症化リスクの高い人に優先的に使用できるようにする意味で許容されると考えられます。ただし、高齢者の場合は時間をおいて病状が悪化する可能性もあるため、慎重な判断が必要と考えられます。
まとめ
厚生労働省が重症化リスクの低い新型コロナウイルス入院患者については4日間で退院できるとの目安を示したことが今回のニュースでわかりました。病床逼迫を防ぐための対策は、今後も続いていきそうです。