【新型コロナワクチン】接種対象5~11歳を正式承認
厚生労働省は、5~11歳までの子どもを新型コロナウイルスワクチンの接種対象に加えることを正式に承認しました。このニュースについて中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
5~11歳へのワクチン接種巡る経緯は?
今回、厚生労働省が5~11歳までの子どもへのワクチン接種を正式に承認しましたが、承認に至るまでの経緯を教えてください。
中路先生
2022年1月21日、厚生労働省は5~11歳へのワクチン接種を正式に承認しました。5~11歳へのワクチン接種を巡っては、昨年11月にアメリカのファイザー社が厚生労働省に対して承認を申請していました。厚生労働省は昨年12月に専門部会を開き、新型コロナウイルスワクチンの5~11歳向け接種について、来年3月以降の開始を想定していることを明らかにしており、この翌日には自治体向けの説明会も開催していました。
1月20日に専門家による部会で検討した結果、ワクチンの有効性や安全性が確認できたとして、今月21日の正式な承認に至りました。厚生労働省は5~11歳への接種を今年3月以降に開始し、医療機関での個別接種や自治体による集団接種の中でおこなう方針です。
5~11歳へのワクチンの効果は?
今回新たに対象になった5~11歳に対して、ワクチンの効果はどれくらいあるのでしょうか?
中路先生
ファイザー社がFDA(アメリカ食品医薬品局)に提出した資料によると、今回の臨床試験には5~11歳の2268人が参加しました。12歳以上が使う量の3分の1の量を2回、3週間空けて接種したグループでは3人が新型コロナウイルスを発症しましたが、同じ間隔で偽薬を接種したグループでは16人が発症したということです。有効性は90.7%でした。また、ワクチンを接種して感染した子どもたちは症状も軽く済み、深刻な副反応も起きなかったそうです。
5~11歳がワクチン接種する時に留意する点は?
5~11歳がワクチン接種する際、どのようなことに留意する必要があるのでしょうか?
中路先生
5~11歳の子どもは、ある程度ワクチンに対する理解があると考えられます。ただし、わかりやすい言葉やイラストを用いた子どもの目線でのインフォームドコンセントが大切です。大人でさえ十分な説明されずに「いきなり採血をしましょう」と言われると拒否的になる人もいるので、子どもはなおさら感じるでしょう。また、親がいたずらに心配な態度をとると、子どもは親の態度に敏感なため、感情のコントロールが困難となる可能性もあります。親・子どもの両方のワクチンに対する十分な理解がカギとなるでしょう。
まとめ
厚生労働省が5~11歳までの子どもを新型コロナウイルスワクチンの接種対象に加えることを正式に承認したことがわかりました。新型コロナウイルスワクチンの接種は妊婦をのぞくすべての対象者の努力義務とされていますが、5~11歳の子どもの接種で保護者の努力義務とするかどうかを今月26日の専門家による分科会で検討する予定です。