オミクロン株感染でもワクチン接種完了で発症から10日で退院可能
厚生労働省は1月5日、オミクロン株であっても、新型コロナウイルスワクチン接種が完了した人については、発症日・検体採取日から10日経過した場合は退院を可能とすると各自治体への事務連絡で対応を明確化しました。このニュースについて工藤医師に伺います。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
厚生労働省の事務連絡の内容とは?
今回、厚生労働省が自治体に対しておこなった事務連絡では、どのような内容が記されていたのでしょうか?
工藤先生
厚生労働省は1月5日に各都道府県や各保健所設置市、特別区の担当部局に向けて「オミクロン株の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」という事務連絡を出しました。この中で厚生労働省は、国立感染症研究所等による国内の臨床データの分析において、オミクロン株であっても、ワクチン接種者については、発症日から10日経過以降、感染性を有するウイルスを排出している可能性は低いとされていることから、発症日または検体採取日から10日経過した場合は退院を可能とするなど、デルタ株のような従来の変異株と同様の取扱いとすることとしましたと記載されました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合は、自宅療養などの体制が整った自治体では「医師が入院の必要が無いと判断した無症状病の原体保有者や軽症者については、オミクロン株患者でも宿泊療養・自宅療養とすることとして差し支えありません」と書かれています。
これまでのオミクロン株感染者・濃厚接触者への対応は?
これまでオミクロン株の感染者について、どのような対応を取っていたのでしょうか?
工藤先生
オミクロン株患者については原則として入院措置が、濃厚接触者については原則として宿泊施設待機が求められています。これは感染拡大を防止するための、いわば隔離措置です。
しかし、オミクロン株は感染力が極めて強いことから、感染が急速に拡大する時にはコロナ病床や宿泊施設がひっ迫してしまう可能性が考えられます。そのため、厚生労働省は訪問診療などの医療提供体制が地域で整えられていることを条件に、例外的に感染急拡大時にはオミクロン株患者の自宅療養、濃厚接触者の自宅待機を自治体の判断で可能とする旨を示していました。こうした対応を今回の事務連絡では最新の知見に基づいて一部修正した形になっています。
今回の事務連絡の意義は?
新型コロナウイルスワクチン接種が完了した人については、発症日・検体採取日から10日経過した場合は退院を可能とすることを明確にするなどした今回の事務連絡の意義を教えてください。
工藤先生
これまで入退院に関して明確な基準がなかったところに、科学的根拠をもとにルールを作ったことで病床の効率を上げられるようになると思います。その結果、医療ひっ迫の緩和も可能になるのではないでしょうか。
まとめ
今回のニュースでオミクロン株であっても、新型コロナウイルスワクチン接種が完了した人については、発症日・検体採取日から10日経過した場合は退院を可能とすると厚生労働省が明確化したことがわかりました。新型コロナウイルスに関する最新の知見により今後もこうした事務連絡は出されると想定されるので、今後も引き続き注視する必要があります。