新型コロナウイルスの新たなPCR検査手法を保険適用
2021年12月以降、新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあるなか、厚生労働省は新型コロナの新たなPCR検査手法を保険適用しました。このニュースについて工藤医師に伺いました。
監修医師:
工藤 孝文(医師)
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
厚生労働省が新たに保険適用したPCR検査手法とは?
今回、厚生労働省が新たに保険適用したPCR検査手法について教えてください。
工藤先生
今回の厚生労働省が示した保険適用した検査手法は、日本バイオファーマ社が開発した「J-Bio迅速PCRキットSARS-CoV-2」というものになります。
開発会社の説明によると、かかりつけ医や市中病院、PCR検査センター、大病院手術室、救命救急センターなどの多様な場所で動く検査室として用いることができると説明しています。開発会社は、「新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、現在の自宅待機の不安やPCR検査のたらい回し、検査結果の待ち時間などの問題を解決するだけでなく、かかりつけ医院や近所のクリニックで自ら結果を受け取り、指導を受けられる安心感を実現することが期待できる」とリリースで述べています。
これまでの検査体制の拡充は?
これまで、厚生労働省は検査体制の拡充についてどのような対応をしてきたのでしょうか?
工藤先生
新型コロナウイルスの検査体制については、今回のニュースのように新検査手法の保険適用が順次続けられています。また、検査にかかる医療機関のコスト増に配慮して、検査点数が包括されるDPC病院・特定機能病院においても検査費用を出来高請求可能とすることや、検査点数料が包括される療養病棟・地域包括ケア病棟、ICUなどのユニットや外来などでも検査費用を出来高請求可能とするといった医療機関の運営へのケアもおこなっています。
PCR検査については、医師の判断で無症状患者にも実施でき、発症9日までは唾液を検体とした検査が実施できます。また、抗原検査に関しては検査キットの充実によって全国の医療機関等での実施が可能となり、発症から9日までの患者では陰性の確定診断を可能とするなどとしています。
検査体制の拡充が持つ意味は?
こうした検査体制の拡充がもつ意義について教えてください。
工藤先生
症状のある人が早期に診断・治療できれば、感染拡大や医療状況のひっ迫を抑制できることは想像に難くないでしょう。とくに、多くの患者さんが入院するような病院でも検査のハードルが下がれば、感染リスクの高い患者さんが入退院する際や、お見舞いに来た人にも検査をおこない、院内の感染を予防するという考え方も出てくるかもしれません。
まとめ
新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあるなか、厚生労働省は新型コロナの新たなPCR検査手法を保険適用したことが今回のニュースでわかりました。新型コロナウイルス対策では早期発見が重要であるため、新たな検査手法の導入などで、より円滑に感染を確認できる体制を整えることが求められています。