高血圧治療用アプリ「キュア・アップ」の承認申請
医療系スタートアップのCureApp(キュア・アップ)は、高血圧の治療に活用できるアプリの製造販売承認を5月に申請したことを発表しました。国内で治療用アプリの承認申請が行われたのは、同社が開発した禁煙治療用アプリに次いで2例目です。今回の発表について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
高血圧治療用アプリとは?
キュア・アップの高血圧治療用アプリは、どのような仕組みのアプリなのでしょうか。
中島先生
キュア・アップは、自治医科大学と共同開発された高血圧治療用スマートフォン向けアプリです。患者が記録する血圧や食事内容などを人工知能(AI)が解析し、血圧への影響を踏まえたアドバイスを表示します。すでに、複数の医療機関で試用され、効果を確認したと発表しています。
高血圧治療用アプリの効果は?
キュア・アップの高血圧治療用アプリの効果について詳しく教えてください。
中島先生
キュア・アップの高血圧治療用アプリは、20~64歳の軽度から中等度の高血圧患者390人を対象とした治験で効果が認められています。全ての治験対象者は、高血圧の薬を服用していません。その上で、「医師による生活改善の指導にアプリを使用したグループ」と「アプリを使用しないグループ」に分けて、効果を比較しました。
アプリを使用したグループは、使用したグループと比べて12週間後の収縮期気圧が平均2.4mmHg低下しました。これは、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが約11%低下したことに相当します。
高血圧治療用アプリを使うメリット
キュア・アップの高血圧治療用アプリを使うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
中島先生
高血圧の治療には、食事や運動などの生活習慣を改善することが欠かせません。高血圧の患者数は国内で4300万人いるとされていますが、その4分の3ほど患者は、血圧のコントロールができていないとの見解もあります。高血圧治療用アプリを使うことで、生活習慣の改善に対するモチベーションが高まれば、血圧のコントロールの質が高まると考えられます。
ちなみに同社が2020年12月に発売した禁煙治療用アプリは、関連学会のガイドラインに標準治療として記載された関係で、100以上もの医療機関が導入しました。
まとめ
今回製造販売承認を申請したキュア・アップの高血圧治療用アプリを使用することで、血圧コントロールのための生活習慣の改善が進みやすくなる可能性があります。アプリが承認・販売された場合は、医師と話し合いつつ高血圧治療用アプリの使用を検討してみてはいかがでしょうか。