「デルタ株」の感染予防効果はファイザー製よりもモデルナ製が有効!?
アメリカの研究チームは、アメリカのファイザー製ワクチンよりもモデルナ製ワクチンの方が新型コロナウイルスのデルタ株に対する感染予防効果が高い可能性を示す研究結果を発表しました。今回の発表について中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
今回の発表の詳細は?
今回の研究の内容と発表の詳細について、詳しく教えてください。
中島先生
現在、主にファイザー製とモデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチンの接種が行われています。近年発見されたデルタ株は、従来の新型コロナウイルスと比べて感染力が高いといわれており、ワクチンの効果について、研究が進められてきました。
今回、アメリカの医療機関「メイヨー・クリニック」を初めとする複数のチームは、ミネソタ州の新型コロナワクチンの接種者と非接種者の約7万7000人のデータを解析。新型コロナウイルスの感染者のうち、7割がデルタ株に感染した7月時点において、新型コロナワクチンの感染予防効果はファイザー製が42%であるのに対し、モデルナ製は76%と高い結果となりました。
デルタ株の感染がほぼ確認されなかった2021年初頭における感染予防効果は、ファイザー製が76%であるのに対し、モデルナ製は86%と、デルタ株が登場してから感染予防効果が低下していることがわかります。感染予防効果の低下度合いについては、ファイザー製よりもモデルナ製の方が小さい結果となりました。
重症化を防ぐ効果も低い?
デルタ株に対する感染予防効果が従来株と比べて低いことがわかりました。それでは、重症化を防ぐ効果も低いのでしょうか。
中島先生
ファイザー製およびモデルナ製の新型コロナワクチンの重症化を防ぐ効果については、従来株よりもデルタ株の方が低いものの、小幅の低下に留まっています。そのため、「デルタ株に対して効果がないからワクチンを接種する意味がない」、「モデルナ製を接種すべき」という結論には達していません。
長崎大熱帯医学研究所長(ウイルス学)の森田公一氏は、「ワクチンの効果にはさまざまな要因が複雑に絡み合うため、今回の結果だけで2社のワクチンの効果を比較することは難しい。一方で、ワクチンの有効性の追跡データは、3回目の接種の必要性を検討する上で重要な情報だ」としています。
まとめ
今回の研究結果により、デルタ株に対する効果はファイザー製よりもモデルナ製の方が高い可能性があることがわかりました。ただ、ワクチンの効果が決める要因は複数存在するため、今回の研究結果だけでは判断できません。引き続きデルタ株の動向に注目すると共に、ワクチンの効果について追加研究が行われることに期待しましょう。