不妊治療の開始初期の女性、半数以上に抑うつ症状!
国立成育医療研究センターが不妊治療の開始初期の女性を対象に精神状態に関する調査を行った結果、半数以上の女性に抑うつ症状があることがわかりました。今回は、不妊治療の開始初期と抑うつの関係について、中島先生に詳しくお伺いします。
監修医師:
中島 由美 医師
今回の発表の詳細は?
不妊治療初期の女性の半数以上に抑うつ症状がみられた件について、詳しく教えください。
中島先生
国立成育医療研究センターは、体外受精など高度不妊治療を始める段階、または始めて間もない初期段階の女性約500人を対象に、精神状態を調べる調査を行いました。その結果、54%の人に軽度以上の抑うつ症状が現れていることがわかりました。特に、20代で抑うつ症状がある人は78%にものぼり、年齢との関連が明らかになっています。
今回の調査結果を受け、研究グループは「不妊治療を受ける女性のメンタルヘルスの支援が必要であることがわかった」とコメントしています。
不妊治療の開始初期に抑うつになる理由は?
なぜ、不妊治療の開始初期に抑うつ症状が現れる方が多いのでしょうか。
中島先生
不妊治療と抑うつ症状の関係は、現時点では不明です。しかし、不妊症と診断されたことに悩んだり落ち込んだりする女性は少なくありません。気軽に人に相談できないからこそ、孤独を覚えてしまうようです。
また、今回の調査では20代の女性の抑うつ症状が現れた割合が多い結果となりましたが、35歳以上の女性の方が抑うつになりやすいとする研究や、年齢に有意な関連がないとする研究があります。
そのため、自分は30代以上であるから抑うつ症状が現れにくいなどと思い込まないよう注意が必要です。
抑うつ症状が現れたときの対処法は?
不妊治療の開始初期に抑うつ症状が現れたときは、どのように対処すればよいのでしょうか。
中島先生
抑うつ症状が現れた場合は、不妊治療を受けているクリニックに相談してください。クリニックに在籍している臨床心理士のカウンセリングを受けるか、メンタルクリニックの紹介を受けるとよいでしょう。抑うつ症状の原因となる孤独感を解消するために、同じ悩みを持つ方とコミュニケーションをとるのも1つの方法です。
まとめ
不妊治療の開始初期に抑うつ症状が現れる人が50%を超えることがわかりました。抑うつ症状の原因となる孤独感を少しでも和らげるために、夫婦で一緒に頑張る意識を持ったり、同じ悩みを抱える方に相談したりすることが大切です。抑うつ症状が悪化すると、不妊治療にも悪影響が及ぶ可能性があるため、早めに医師に相談することをおすすめします。
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