緊急避妊薬、薬局にて処方箋なしで購入可能に!
政府は10月7日、「緊急避妊薬」を医師の処方せんがなくても薬局で購入できるように制度を変更する方針を固めました。今回は、緊急避妊薬を薬局で容易に購入できるようになることについて、中島先生に詳しくお伺いします
監修医師:
中島 由美 医師
今回の発表の詳細は?
今回の発表について、詳しく教えください。
中島先生
「緊急避妊薬」は、性交後72時間内に服用することで、高確率で妊娠を防ぐ薬です。政府は、2021年には、緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにする方針です。
現在は、緊急避妊薬の購入には医師の処方箋が必要です。緊急避妊薬が薬局で購入可能になれば、さまざまな事情で医師の処方箋を受け取れない人も、望まない妊娠を防ぐために行動できるようになります。
医師の処方箋が必要であったことの問題点は?
緊急避妊薬の購入に医師の処方箋が必要であったことで、どのような問題が起きていたのでしょうか。
中島先生
処方箋の入手には、医師の診察を受ける必要があります。しかし、「産婦人科に行く=妊娠」といったイメージを持つ人から批判されたり、受診することに恥ずかしさを感じたりする理由から、受診が遅れるケースが少なくありません。
また、海外から緊急避妊薬の粗悪品を個人輸入して、避妊の失敗や健康被害にあう恐れもあります。薬局で緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても購入できるようになれば、このような問題が起こりにくくなるでしょう。
薬局で緊急避妊薬を購入できることの問題点は?
緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようになると、何か問題が起こる可能性はあるのでしょうか。
中島先生
緊急避妊薬を使用する目的は、「性暴力」や「避妊の失敗」による望まない妊娠を防ぐことです。薬局で緊急避妊薬の購入が可能になれば、妊娠を防ぐために早く行動できるようになるでしょう。
緊急避妊薬を気軽に購入できることで、「コンドームを使用する人の減少」や、「緊急避妊薬の使用の強要」などの問題が起こるとの意見もあります。しかし、すでに欧州やアジアなど世界86ヵ国では、医師の処方箋がなくても薬局で緊急避妊薬を購入できるうえに、それによって大きな問題が起きたとの報告はありません。とはいえ、感染症のリスクには十分気をつけなければいけません。
まとめ
現在は、医師の診察を受けて処方箋を入手しなければ、緊急避妊薬を購入できません。薬局で緊急避妊薬を購入できるようになれば、望まない妊娠を防ぎやすくなります。ただし、副作用が起きたときに医師に相談しやすい環境づくりも必要でしょう。今後も、緊急避妊薬についての政府の発表に注目したいところです。