奈良県立医科大学が発表! 高濃度の柿渋が新型コロナを不活化
奈良県立医科大学は、高純度の渋柿が新型コロナウイルスの不活化に成功したことを公表しました。これは、渋柿に含まれる柿タンニンによる作用であることがわかっています。今回は、柿渋の新型コロナウイルスに対する作用について中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
今回の報告の詳細は?
柿渋が新型コロナウイルスを不活化したとの報告について、詳細を教えください。
中島先生
奈良県立医科大学は、高純度の柿渋が新型コロナウイルスを不活化させたことを確認しました。「唾液と新型コロナウイルス」が入った試験管内に高濃度の柿タンニンを加え、軽く混ぜてから10分放置すると、感染力がある新型コロナウイルスが1万分の1以下に減少したのです。
一方、数分の1の濃度に希釈した柿タンニンでは、十分な効果を得られませんでした。このことから、新型コロナウイルスの不活化には、一定以上の濃度が必要なことがわかります。
柿タンニンが新型コロナウイルスを不活化する仕組みは?
柿タンニンは、新型コロナウイルスにどのように作用して不活化させるのでしょうか。
中島先生
柿タンニンによる新型コロナウイルスの不活化の仕組みは明らかになっていません。ただ、インフルエンザウイルスに関しては、細胞へと侵入する前に柿タンニンが侵入経路をふさぐことがわかっています。そのため、新型コロナウイルスも同様の仕組みで不活化すると推測されます。
柿を食べれば新型コロナウイルスを防げる?
柿を食べれば、柿タンニンによって新型コロナウイルスが不活化し、感染を防げるのでしょうか。
中島先生
今回の研究では、「高濃度に抽出した柿タンニン」を使用しています。一定以上の濃度がなければ不活化できないと判断されているため、柿を食べれば新型コロナウイルスの感染を防げるわけではありません。
ただし、柿タンニンを含む飴やチューインガムなどで口腔内のタンニンの濃度を保つことで、新型コロナウイルスの感染を予防できる可能性についての実験も行われる予定とのことです。
なお、奈良医大は、タンニンを用いた新型コロナウイルスの予防対策方法について、数年後の実用化は難しいとの見方を示しています。
まとめ
一定以上の濃度の柿タンニンが新型コロナウイルスを不活化させることがわかりました。いずれ、柿タンニンを用いた予防対策が確立する可能性もあるでしょう。ただし、柿を食べたからといって、新型コロナウイルスを予防できるわけではありません。これまで通り、手洗いうがい、換気など、基本的な感染対策を続けることが大切です。