新型コロナ、熱中症との判別困難で救急搬送遅れる懸念も
新型コロナウイルスへの警戒が続くなか、夏に増える熱中症との判別に苦慮することで、さまざまなトラブルが予想されています。ここでは、夏に起こり得る新型コロナにまつわる問題について中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
夏に起こり得る新型コロナの問題とは?
新型コロナウイルスへの警戒が続くなか、このまま夏を迎えるとどのような問題が起こり得るのでしょうか。
中島先生
夏と言えば、熱中症が増える季節です。熱中症では、高熱や身体のだるさなどが主な症状ですが、これは新型コロナの症状と共通しています。そのため、熱中症なのに新型コロナウイルスへの感染が疑われ、救急搬送先がすぐに見つからない事態が懸念されるのです。
6月は、まだまだ夏本番とは言えませんが、すでに6月1日からの1週間で熱中症による救急搬送は1194件となっています。昨年では、7月29日からの1週間で1万8615件にものぼるため、今年も同程度の件数に達することが予測されます。
新型コロナウイルス感染症と熱中症を判別しづらい理由は?
新型コロナと熱中症を判別しづらい理由について、詳しく教えください。
中島先生
新型コロナと熱中症の症状を以下にまとめました。
新型コロナウイルス感染症の主な症状
・高熱
・だるさ
・せきなどの呼吸器症状
熱中症の主な症状
・高熱
・だるさ
・筋肉痛
・吐き気
・皮膚の赤みや乾燥
このように、共通点は高熱とだるさのみです。しかし、新型コロナに感染した人が熱中症にかかる可能性もあるため、高熱やだるさの症状を訴えた時点で新型コロナを疑う必要があります。
夏を迎えるにあたり自分でできる対策はありますか?
新型コロナが落ち着かないまま夏を迎えるにあたり、何かできる対策はありますか?
中島先生
感染症対策と熱中症対策の両方が必要です。熱中症は、次のように対策しましょう。
・涼しい服装
・日陰を利用する
・日傘や帽子を使う
・こまめに水分と塩分を補給する
また、熱中症は気温や湿度が高い環境で起こります。急に熱くなった日や風が弱い日などに注意しましょう。また、高齢者や乳幼児、肥満の方、糖尿病や精神疾患、低栄養状態、インフルエンザや下痢、二日酔いや寝不足なども熱中症にかかりやすくなるので注意が必要です。
まとめ
新型コロナウイルスへの警戒が続くなか、熱中症によって救急搬送されることになれば、搬送先の医療機関が見つからず処置が遅れる可能性があります。新型コロナへの警戒の有無にかかわらず、こまめな水分補給や高温多湿の環境を避けるなど、熱中症対策が必要です。すでに、6月時点で週1000人以上も熱中症で救急搬送されているため、十分に警戒しましょう。