新型コロナを受けオンライン診療の導入可能基準が見直しへ
自宅にいながらスマホやタブレットの画面越しに医師の診察を受けられる遠隔診療。
これまでは、遠隔診療を受けられる基準が厳しく、一部の人だけが利用できました。今回、新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、遠隔診療の導入基準が見直されたため、変更内容を確認しておくことが大切です。
そこで、遠隔診療の導入可能基準の見直し内容について日本内科学会所属の認定内科医、中島由美先生にお話しをお伺いしました。
そもそも遠隔診療とは?
そもそも遠隔診療とは、どのような診療なのでしょうか。
中島先生
遠隔診療とは、スマホやタブレットなどによるビデオ通話を通じて診察をすることです。電波が届く場所であれば、自宅や外出先、出張先などからも遠隔診療を受けられます。受付や会計の待ち時間や通院時間を削減できるため、患者のストレスを抑えられることがメリットです。ただし遠隔診療では、風邪やアルコール中毒のような急性の症状に対する診療と、睡眠薬を含む向精神病薬の処方はできません。主に慢性的な病気の経過観察や医学的なアドバイス、指導などが対象です。
遠隔診療の導入条件が変更に
医療機関が遠隔診療を導入するための条件が、どのように変更されたのかお伺いいたします。
中島先生
遠隔診療が可能な医療機関の要件である「おおむね30分以内に対面診察可能な体制を有すること」が削除されました。ただし、改定後も遠隔診療は目安としておおむね30分以内に通院や訪問が可能な患者を想定しているとの見解のため、遠方から長時間かけて通院するケースでも遠隔診療を受けられるようになったわけではありません。
今回の見直しによって、おおむね30分以内に対面診療可能な状態にできない日がある場合でも、夜間や休日でも受診できる他の医療機関を患者に伝えておけば、遠隔診療を導入できるようになりました。つまり、夜間や休日においておおむね30分以内に対面診療可能な体制を有していない医療機関も遠隔診療を行えるようになったのです。※
※厚生労働省「令和2年度診療報酬改定の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000605491.pdf
遠隔診療の見直しによって得られるメリットは?
今回の遠隔診療の見直しによって、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
中島先生
遠隔診療を導入できる医療機関、および対象の病気が増えたため、遠隔診療を受けられる人が増えました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、なるべく人との接触を避けることが求められています。遠隔診療は、人と一切接触することなく医師の診察を受けられるため、感染を防げることがメリットです。
まとめ
今回の見直しによって、遠隔診療の普及が進むことが期待できます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐために、遠隔診療を可能な限り利用することが大切です。また、遠隔診療は通院や待ち時間のストレスを軽減できるため、新型コロナウイルス感染症の終息後も上手く活用することにより、再発防止などに役立てられそうです。今は、少しでも人との接触を避けて、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑えましょう。