新型コロナウイルス~無症状感染者は概ね9日間で陰性化
世界中で感染が拡大している新型コロナウイルス。終息の気配も見えず、今後も感染者・死者が増えていくことが予想されています。
新型コロナウイルスは2019年12月頃に中国武漢市で新たに発見されたウイルスです。どのような経緯で新たに発生したのか、ヒトに感染するようになったのか未だ不明な点が多々あります。また、感染するとどのような経過を辿るかについては、詳しい解明が進められているところですが、確かなエビデンスのある情報はないのが現状です。
そんな中、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での新型コロナウイルス無症状感染者と濃厚接触者128人を受け入れた藤田医科大学岡崎医療センター(愛知県岡崎市)が、無症状感染者の経過について報告しました。
監修医師:
成田 亜希子 医師
新型コロナウイルス無症状感染者の分析
同センターは「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗船者での無症状感染者96人と濃厚接触者32人を受け入れ、治療や経過観察にあたりました。
濃厚接触者のうち、8人は同センターに入院後に感染が確認され、感染者計104人に。他施設に移った感染者を除く90人に対して経過を分析しました。
無症状感染者は9日間で陰性化
成田先生
同センターでは、48時間間隔で咽頭拭い液を採取。連続して2回のPCR検査を実施し、感染が確認されてから陰性化(ウイルスが検出されなくなること)までの期間を分析しました。
その結果、陰性化までの期間の中央値は9日とのこと。また、9割が陰性化までに6日以上要したことが分かりました。
※参照:日本感染症学会「岡崎医療センターにおける SARS-CoV-2 無症状病原体保有者の PCR 陰性化状況」
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200313.pdf
陰性化から再び陽性? 陰性化に15日以上?
また、同センターの報告によれば、2割の方は1回目のPCR検査でウイルスが検出されなかったものの、2回目の検査で再度ウイルスが検出される現象が見られたとのことです。
また、2回連続で陰性が確認されるまでに15日以上要した人も12%に上ったことが明らかになりました。
成田先生
今回の分析では、感染が確認されているものの症状がない方が対象となっています。陰性化が確認されるまでの期間にはばらつきがあり、再び陽性となる方もいたとのこと。また、クルーズ船では696人の感染が確認され、そのうち無症状感染者は410人。感染者の58.9%が無症状であったとのことです。(※)
新型コロナウイルスは感染すると人工呼吸管理が必要になるなど重篤化したり、死に至ったりするケースもある一方、症状が現れない方も一定数いることが分かります。
現在、新型コロナウイルスは感染経路が確かでない市中感染も報告されています。無症状の方は感染に気付かずに日常生活を送り、知らず知らずの内に感染を拡大させてしまっている可能性も。「感染しているのに症状がでないことも多い」、「無症状感染者も一定期間はウイルスを保持し続ける」……。この事実も新型コロナウイルスが世界規模で拡がっている要因の一つと言えます。
(※)同センターの分析時点での数字
こんな方は重症化しやすいので要注意!
今後、日本国内でも新型コロナウイルスがさらに拡がっていく可能性があります。
公共交通機関、店舗、学校、職場……さまざまな場面で知らず知らずの内に感染してしまう可能性もゼロではありません。
成田先生
厚生労働省の見解によれば、新型コロナウイルス感染症は高齢の方、心血管疾患・糖尿病・悪性腫瘍・慢性呼吸器疾患などの基礎疾患がある方が重症化しやすいとのことです。
50代からは致死率も高くなり、中国のデータでは80歳以上の方の致死率は14.8%にも上ることも明らかになっています。
これらのリスク因子に当てはまる方は、十分な感染対策を行い、不要不急の外出を控えるようにしましょう。