スギ花粉の本格的飛散開始~2020年花粉症の傾向は?
春になると花粉症が悩みの種だ…という方は少なくありません。日本では、4人に1人が「スギ・ヒノキ花粉」による花粉症であるとのこと。
そこで今回は、2020年の花粉症はどのような傾向があるのか詳しく解説します。
監修医師:
成田 亜希子 医師
目次 -INDEX-
スギ花粉の本格的飛散開始! 今年の花粉症はどうなる?
環境省によれば、日本では3割の方が花粉症を罹患。そのうち9割以上は冬の終わりから春にかけて大量に飛散する「スギ花粉」や「ヒノキ花粉」によるものとのことです。スギやヒノキの花粉は風に乗って広範囲に飛散されるため、ブタクサなど他の植物による花粉症より被害は大きくなります。
成田先生
花粉症は、重症化すると日常生活が困難になるほど辛い症状が生じることも少なくありません。このため、気象庁などはスギやヒノキ花粉の飛散状況を公表し、注意喚起を呼び掛けています。
現時点での今シーズンの花粉飛散状況や注意点
例年より早い飛散開始
日本気象協会の公表によれば、今シーズンは1月下旬~2月下旬にかけて西日本・東日本ともに花粉の飛散が始まったとのことです。今年は暖冬だったことも影響し、例年より2週間ほど早い開始となっています。一方で、飛散する花粉量は例年に比べて少なく、多くの地域で4~7割程度にとどまることが予想されています。
成田先生
もちろん個人差もありますが、例年よりも重症な花粉症に苦しむ方は少ないとの予測も……。しかし、思いのほか飛散時期が早かったため、予め抗アレルギー薬の内服を続けて花粉症発症を予防する、といった対策ができなかったというケースもあります。
各地の花粉飛散ピーク時期は?
日本気象協会によると、日本各地の花粉飛散ピークの予想時期は次の通りです。(2020年2月13日発表)
- 福岡:2月下旬~3月上旬
- 大阪:2月下旬~3月中旬
- 東京:2月下旬~3月下旬
- 仙台:3月上旬~3月下旬
なお、今後の気象状況によってピーク時期が変動することがあります。花粉飛散情報はこの時期になるとニュースや天気予報などで知ることができます。毎年春に花粉症になる方は花粉飛散情報をこまめにチェックするようにしましょう。
※参照:日本気象協会 2020年 春の花粉飛散予測(第4報)
https://tenki.jp/pollen/expectation/
花粉飛散ピークに向けての花粉症対策
成田先生
花粉症の症状は、慢性的な眠気やダルさなどを引き起こすこともあるため、正しい治療を行うことが大切です。治療の主体は抗アレルギー薬などを用いた薬物療法ですが、近年では花粉症の症状が現れる前…理想的には花粉飛散開始の1~2週間前から治療を開始するべきと考えられています。
今シーズンはすでに花粉が飛び始めてから1か月ほど経っています。まだ治療を開始していない方はできるだけ早く耳鼻科で相談して治療を開始しましょう。
また、日常生活の中では次のような点に注意しましょう。
- 外出時は眼鏡やマスクを着用する
- こまめにうがいをする
- 毛羽立ちにくい化学繊維の衣類を選ぶ
- 帰宅後はできるだけ早く着替え、可能ならシャワーを浴びる
- 窓を開けっぱなしにしない
- 洗濯物は外干ししない
重症花粉症の方に…
どんな治療をしても花粉症の症状が良くならず、日常生活に大きな支障を及ぼす重度な花粉症。確かな治療法がなく、ひたすら症状に耐えていた…という方も多いでしょう。
そのような重症花粉症の方に対して、これまで気管支喘息などにしか使用することができなかったゾレア®と呼ばれる薬が使用できるようになりました。ゾレア®はアレルギー反応を引き起こす抗体自体の働きを抑える作用を持つ薬です。非常に高額ですが、効果は高く、重症花粉症を快方に導くことが期待されています。
成田先生
これまで治療を続けても、一日の中でくしゃみ発作が11回以上ある、11回以上鼻をかむ、鼻詰まりがひどく口呼吸をする時間がかなりある、といった症状がある方はゾレア®の使用について医師に相談してみるとよいでしょう。
ある日突然発症することも…
花粉症はある日突然発症する病気です。これまで花粉症の症状が一切なかった方でも、突然つらい症状に襲われることも少なくないのです。
花粉症は鼻水やくしゃみなど風邪と似たような症状が現れやすいため、突然発症すると風邪と誤解して市販の風邪薬を飲み続ける方もいます。しかし、これはNG。花粉症は花粉に対するアレルギー反応によって引き起こされるものなので、風邪薬を飲んでも良くなりません。
成田先生
風邪と花粉症は、症状で見分けることが可能です。花粉症特有の症状は下記の通りです。
- サラサラとした鼻水
- 発熱やダルさがない
- 外出時など特定の状況・時で症状が良くなったり悪くなったりする
冬から春にかけてこのような症状が続くときは花粉症の可能性大です。早めに治療を開始するほど重症化のリスクは低くなりますので、気になる症状があるときは耳鼻科を受診しましょう。