親の介護をしたくない理由は?事前の準備や抱え込む前にできる対処法も解説
公開日:2026/04/19

親の介護の現実に直面し、戸惑いや拒否感を抱くのは決して珍しいことではありません。自身の生活や仕事を守りながら、どのように向き合うべきか悩む方は増えています。
この記事では、介護をしたくないと感じる心理的な背景や、法的な義務の範囲を整理しました。あわせて、負担を減らすための具体的な準備や、公的サービスの活用方法も詳しく解説します。
無理のない距離感を保つための指針として参考にしていきましょう。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
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【経歴】
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
親の介護を"したくない"と感じてしまう理由

親の介護をしたくないと感じてしまう理由を教えてください。
自分の人生を優先したい気持ちや、経済的な不安が主な要因です。介護は心身に大きな負担がかかるため、自由が制限されることに抵抗を感じるのは自然なことです。また、過去に親との確執がある場合、献身的に尽くすことに強い葛藤を覚えるケースも少なくありません。現代は核家族化の影響もあり、周囲の協力が得にくい環境が孤独感を強めています。こうした複雑な感情は、個人の資質だけでなく社会構造の変化も反映しています。今の生活を維持したいと願うのは、人間として当然の欲求でしょう。育児や仕事との両立に限界を感じ、精神的な余裕がなくなる状況も大きな障壁です。
親との関係がよくない場合でも介護義務はありますか?
民法では、直系血族は互いに扶養する義務があると定められています。たとえ過去に不仲でも、法的な責任が完全に消滅するわけではありません。ただし、この義務は自身の生活を犠牲にしてまで直接身の回りの世話を強制するものではありません。負担可能な範囲で金銭的な援助を行うなどの対応が現実的です。どうしても本人が直接関われない状況であれば、福祉サービスを介した間接的な支援を選択しましょう。精神的な距離を保ちつつ、法的な枠組みのなかで可能な手立てを講じることが重要です。扶養義務の範囲を正しく理解すれば、過度な心理的負担から自分自身を解放できるでしょう。
親の介護を放棄することのリスクを教えてください。
まったく関与せずに放置すると、保護責任者遺棄罪などの刑罰に問われる恐れがあります。特に同居している場合や、親が自力で生活できない状態を知りながら無視し続けるのは避けるべきです。また、親の年金を不適切に管理していると疑われるなど、親族間での訴訟問題を招く可能性も否定できません。適切な公的機関への相談を怠ることで、事態が深刻化する局面も予想されます。周囲からの孤立を招き、社会的な信用を失うリスクも考慮しなければなりません。重大なトラブルを防ぐためにも、窓口へ相談した履歴を残し、専門家へ現状を報告しておくことが自分の身を守る手段です。必要な連絡体制だけは維持するよう努めておきましょう。
親の介護|事前にできる準備方法

親の介護に対して事前にできる準備方法を教えてください。
まずは親がどのような老後を望んでいるか、早めに意思を確認するのが大切です。住み慣れた自宅を希望するのか、施設への入所を許容するのかで準備の内容が異なってきます。あわせて介護保険制度の仕組みを把握し、利用できるサービスを学んでおきましょう。将来、本人の判断能力が低下したときに備え、任意後見制度や家族信託の手続きを検討するのも有効な手段です。これらは財産管理を円滑にするだけでなく、本人の意向を尊重した支援を継続する助けとなりえます。親の銀行口座や保険内容を整理し、資産の状況を把握しておくことも欠かせません。情報の整理を少しずつ進めることで、緊急時の迅速な判断が可能となるでしょう。
介護のための費用を準備できない場合はどうしたらよいでしょうか?
親自身の預貯金や年金額を正確に把握し、その範囲で賄えるプランを優先的に検討します。資金が不足する際は、自治体の減免制度や高額介護サービス費の支給申請を行うのが一般的です。世帯分離で利用負担額が軽減される仕組みも存在します。生活保護の受給を検討するのも一つの選択肢であり、困窮した際の正当な権利です。ケアマネジャーや役所の窓口で事情を話し、経済的な負担を抑える方法を模索しましょう。一人で抱え込まず、専門家の知恵を借りる姿勢が解決のポイントです。リバースモーゲージなどの不動産活用や、介護休業給付金の利用も視野に入れる必要があります。複数の対処方法を用意すれば、心の平穏を保つ一助となるでしょう。
親や兄弟と事前に話し合っておくべきことを教えてください。
誰が中心となって動くのか、役割分担を明確に決めておくことが重要です。特定の誰かに負担が偏ると、将来的な親族間の不和を招きかねません。特に金銭面の負担割合や、親の資産をどう管理するかは書面に残すことが求められます。また、延命治療の有無や葬儀の希望など、重要な意思決定も元気なうちに共有しておきましょう。価値観のズレをあらかじめ解消しておけば、緊急時にも冷静な対応が可能です。遠方に住む兄弟がいる場合は、非常時の駆けつけ体制や、帰省の頻度も合意を形成しましょう。感情論を避け、具体的な数字や役割を軸に話し合うことで、家族全体で支える体制が整います。
地域包括支援センターなど公的機関にいつ相談すべきですか?
生活に支障がない段階であっても、一度足を運んでおくのが望ましいでしょう。親の足腰が弱ってきた、物忘れが目立つようになったなどの些細な変化が相談の好機です。早めに地域包括支援センターと接点を持つことで地域の支援ネットワークに登録され、異変がある際に迅速な対応を受けられます。介護が必要になってから慌てて探すよりも、事前に担当者とお顔を合わせるほうが心理的なハードルも下がります。情報の収集を目的として、早めに訪問することが大切です。窓口では、今後どのような兆候に注意すべきかなどの指針も得られます。自分一人で抱え込む前に、プロの伴走者を見つけておくことが将来の安定に直結します。
親の介護|抱え込む前にできること

親の介護を抱え込む前にできることはありますか?
まずはケアマネジャーに現状を報告し、ケアプランの見直しを依頼しましょう。デイサービスの回数を増やしたり、ショートステイを定期的に利用したりして、自分の時間を確保しましょう。家族間では手伝ってと曖昧に頼むのではなく、買い出しや書類手続きなど、具体的なタスクを割り振るのがコツです。外部の専門職や親族と負担を分散させることで、心身の健康を維持しやすいでしょう。自分だけで完結させようとせず、周囲に頼る仕組みの構築が、継続可能な支援において大切です。ヘルパーによる家事代行や、配食サービスの活用も検討に値します。限界が来る前に負担を手放す決断をして、外部のリソースを活用しましょう。
親の介護をしたくないときはどこに相談をすればよいですか?
地域包括支援センターが身近で頼りになる窓口です。ここでは保健師や社会福祉士などの専門家が、個別の事情に合わせて適切なアドバイスを提示してくれます。もし親との関係性に深く悩んでいるなら、カウンセラーや家族相談を専門とする団体を頼るのも有効です。誰かに不満や不安を打ち明けるだけでも、冷静に状況を見つめ直すきっかけが得られます。自治体の福祉課でも、利用可能な行政サービスを案内してもらえるため、まずは連絡しやすい場所からコンタクトを図りましょう。電話相談窓口やオンラインのコミュニティなども活用し、孤立しない環境を作ることが大切です。第三者の客観的な意見を取り入れると、問題解決の糸口が見つかりやすいでしょう。
介護サービスを活用するメリットは何ですか?
プロの技術によるケアを受けることで、親の生活の質が向上し、事故を未然に防げます。家庭内では難しいリハビリや入浴介助も、施設であれば適切に実施可能です。また、介護者が休養を取る時間を創出でき、共倒れになる危険性を大幅に減らせます。第三者の介入で、親子間特有の感情的な対立が緩和される効果も期待できるでしょう。社会との接点が維持されるため、親の認知機能の低下を緩やかにする一助でもあります。外部の力を借りることは、双方の穏やかな生活を守るための賢明な選択です。専門家の視点が入ることで状況を客観的に評価でき、適切な軌道修正が可能です。自分の人生を継続するための有効な手段となるでしょう。
編集部まとめ

介護への拒否感を抱くのは、決して冷淡なことではありません。すべての世話を子が担う必要はなく、公的な支援を賢く利用するのが大切です。
まずは自分の生活を守ることを優先して考え、早期に専門機関へつながっておきましょう。扶養の義務は、自らの手で直接介護を行うことだけを指すわけではありません。
紹介した対処法を参考に、少しずつ外部へ頼る仕組みを整えるのが得策です。周囲の力を借りながら、無理のない距離感で親と向き合える環境を構築しましょう。
公的な制度や民間サービスを組み合わせることで、心身の健康を保つことが可能です。まずは近くの窓口に相談の電話をかける一歩から始めることが、負担を減らす第一歩です。
参考文献


