パーキンソン病の介護はなぜ大変?介護のポイントや注意点をわかりやすく解説

パーキンソン病の介護は、症状の進行や個々の状態によっては、大変になる場合があります。患者さんの体調に合わせたサポートが求められるため、介護者自身の負担も大きくなりがちです。
本記事ではパーキンソン病の介護はなぜ大変なのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- パーキンソン病とはどのような病気なのか
- パーキンソン病の服薬管理のポイント
- パーキンソン病の患者さんが食事の際に注意すべきこと
パーキンソン病の介護はなぜ大変なのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
パーキンソン病と介護の関係

パーキンソン病とはどのような病気ですか?
パーキンソン病は進行性の病気であり、症状が時間とともに悪化していきます。発症の原因は未解明ですが、加齢や遺伝的要因、環境要因が複雑に影響していると考えられており、特に高齢になるほど発症リスクがあります。
パーキンソン病には運動症状だけでなく、精神的な症状や自律神経系の異常、睡眠障害などの非運動症状も伴います。これらの症状は、患者さんの生活の質を大きく低下させる原因となり、介護が必要な場合もあります。
パーキンソン病治療法は、完治を目指す治療法はまだ確立されていません。そのため、症状を管理しながら、患者さんの生活を支えることが重要です。
パーキンソン病の進行で介護が必要になるのはなぜですか?
症状が進行する理由は、ドパミン不足によって筋肉の動きが制御できなくなることにあります。これにより、動作が遅くなり、筋肉のこわばりや硬直が生じるため、服の着脱や移動といった動作においてもサポートが必要になるのです。
また、身体を動かさないことが続くと、筋肉がますます硬くなり、動きづらさが増すため、早期の介助が重要です。
パーキンソン病|介護の大変さ

パーキンソン病の介護が大変といわれる理由を教えてください
その日の体調や症状に応じて、介護スケジュールや対応方法を柔軟に調整する必要があるため、介護者にはいつも判断力と対応力が求められます。さらに、病状を自覚しにくい患者さんもいるため、身体的なサポートに加えて、気持ちや感情に寄り添いながらコミュニケーションをとることも欠かせません。
症状の現れ方も人それぞれ異なるため、ケアの内容が一律ではなく、精神的・肉体的に負担がかかりやすい点も、介護が難しいといわれる理由のひとつです。
運動症状は介護にどのような影響を与えますか?
例えば、すくみ足があると、歩き出すときの一歩目がでにくくなります。その際は「1、2、1、2」と声を出しながら歩くようにしましょう。
また、歩幅が狭く早足になる小刻み歩行や、床に足をこすりつけるように歩くすり足歩行がみられる場合は、先ほどの声かけに加えて、しっかりと前を向いて背筋を伸ばし、腕を大きく振り足を上げるよう意識することが大切です。
そして、段差をなくす、カーペットなどを滑り止めで固定する、転倒時に怪我をしないよう環境を整えるなどの工夫も必要です。
服薬管理やオン・オフ現象の対応が大変な理由を教えてください
薬の効果が安定せず、時間帯によって効き目が変動する“オン・オフ現象”が現れることがあります。これにより、症状がコントロールできない時間帯が発生し、患者さんは不自由を感じることが増えるため、しっかりとした服薬管理が重要です。
外出や通院の介助は大変ですか?
精神的・肉体的な疲労は長期間にわたることもあり、介護者の生活や体調に影響を及ぼすこともあるため、家族や地域の支援、介助サービスの活用など、負担を分散させる工夫が重要です。
パーキンソン病|介護のポイントや注意点

パーキンソン病の服薬管理のポイントを教えてください
また、飲みにくい薬はかかりつけ医や薬剤師と相談のうえ、砕く・包む・水と一緒に飲むなど工夫するとよいでしょう。
自己判断で服薬を中断したり、時間をずらしたりすると身体の動きに影響し、転倒などの危険につながることもあるため、介護者は正しい服薬管理の重要性を理解し、サポートを行うことが大切です。
衣服を着替えるときのポイントを教えてください
伸縮性ややわらかさのある素材を選ぶと、身体の動きを妨げず着心地もよくなります。また、前開きや大きなボタン、ゆったりとしたサイズの服は着脱がしやすく、介助する側の負担も軽減されます。
食事の際に注意すべきことを教えてください
水分をこまめに補給し、必要に応じてとろみをつけるのもおすすめです。姿勢も重要で、上体をしっかり起こし顎を軽く引いた状態でゆっくり食べるようにします。
排泄や入浴のポイントを教えてください
入浴は筋肉や神経をほぐし、リラックス効果を得られるため、症状の緩和にもつながります。しかし、浴室は滑りやすく、事故のリスクがある場所でもあります。そのため、滑り止めマットや手すり、シャワーチェア、浴槽踏み台、バスボードなど、本人の状態に合った福祉用具を活用して安全に入浴できる環境を整えることが大切です。
転倒リスクを減らすためにできる工夫はありますか?
また、下半身の筋力を維持することも重要です。自宅でできる簡単な体操として、手すりや安定した椅子の近くで、つま先を上げ下げする、かかとを上げ下げする、椅子にゆっくり座ってから立つ、その場で足踏みをする、横に一歩ずつ移動するといった動きを取り入れましょう。
さらに、生活環境の安全対策も忘れてはいけません。床に物を置かず、電気コードは壁沿いにまとめるなど、転倒の要因を減らしましょう。段差や滑りやすい床がある場合は、住宅改修や介護リフォームを検討するのもおすすめです。
外出時には、つま先が上がった靴やマジックテープで調整できる靴を選び、必要に応じて杖などを活用して歩行を安定させましょう。これらの工夫を組み合わせることで、転倒リスクの軽減につながります。
編集部まとめ

ここまでパーキンソン病の介護はなぜ大変なのかについてお伝えしてきました。パーキンソン病の介護はなぜ大変なのかについての要点をまとめると以下のとおりです。
- パーキンソン病とは、脳の中脳黒質にあるドパミンを分泌する神経細胞が変性し、最終的に機能を失うことで発症する神経疾患のこと
- パーキンソン病の服薬管理のポイントは、決められた薬の量を決められた時間に服用することや、飲みにくい薬は、砕く・包む・水と一緒に飲むなど工夫すること
- パーキンソン病の患者さんが食事の際に注意すべきことは、誤嚥を防ぐ工夫が必要であること。小さめにカットし、煮込んでやわらかくなるように調理すれば、飲み込みやすくなる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




