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介護における悩み|便失禁の原因は?対処法についても解説します

 公開日:2026/01/17
介護における悩み|便失禁の原因は?対処法についても解説します

便失禁は、介護において直面する課題の一つです。加齢や病気などによって便をコントロールする力が弱まると、本人の身体的、精神的な負担が大きくなるだけでなく、介護を担う家族や支援者にも対応の難しさが生じます。

本記事では、介護における便失禁について以下の点を中心に紹介します。

  • 便失禁の概要
  • 便失禁の種類
  • 介護における便失禁の対処法と対策

介護の現場やご家庭での便失禁対応に悩む方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

便失禁の概要

便失禁の概要

便失禁の原因を教えてください

便失禁は、便を自身の意思でコントロールできずに漏れてしまう状態を指します。原因は一つではなく、身体的、神経的、生活環境的な要因が複合的に関係しています。主な原因として、まず肛門括約筋の機能低下が挙げられます。加齢や出産、肛門の手術、外傷などによって筋肉が傷ついたり弱まったりすると、便を締める力が保てなくなります。

次に神経障害です。脳卒中や脊髄損傷、糖尿病などが原因で神経伝達がうまくいかず、便意を感じにくくなったり、我慢する機能が働かなくなったりすることがあります。また、慢性的な下痢や便秘によって腸内の働きが乱れ、排便のコントロールが難しくなることもあります。

さらに、加齢による骨盤底筋群の衰えや、認知症などによる判断力の低下も影響します。このように、便失禁は筋肉や神経、便の状態などさまざまな要因が重なって起こるため、原因を特定し、それぞれに合った対応を行うことが大切です。

便失禁に伴う症状はありますか?

便失禁に伴う症状は、単なる排泄の問題にとどまらず、身体や心の両面に影響を及ぼします。身体的には、便が肛門の周囲に付着することで皮膚が刺激され、赤みやかゆみ、痛みを感じることがあります。

少量の便が長時間付着していると皮膚炎やただれを起こしやすく、かぶれや感染を引き起こす場合もあります。また、便を出し切れない残便感や、頻繁に便意を感じる便意切迫感などの違和感が続くこともあります。これらが下痢や軟便を伴うと、症状がさらに強まる傾向があります。

精神面では、便漏れへの不安や恥ずかしさから外出を控えたり、人との交流を避けたりすることがあり、生活の質(QOL)の低下やストレスの蓄積につながります。こうした症状を放置すると悪化する場合もあるため、早めに病院で相談し、正しいケアを受けましょう。

便失禁の種類

便失禁の種類

漏出性便失禁について教えてください

漏出性便失禁とは、便意を自覚しないまま少量の便が自然に漏れてしまう状態を指します。主な原因は、肛門を締める働きをもつ肛門括約筋や骨盤底筋の機能低下です。加齢や出産、肛門周囲の手術や外傷などによって筋肉や神経が弱まり、便を保持する力が低下します。

また、慢性的な便秘により直腸に硬い便が詰まっている場合、その隙間から液状の便が漏れ出る溢流性便失禁もあります。これは便塞栓による二次的な症状です。
さらに、脳卒中や糖尿病などで神経が損傷すると、便意を感じ取る機能が鈍くなり、排便のコントロールが難しくなることもあります。下着の汚れや臭いで気付くので、軽度でも放置すると悪化するおそれがあります。

切迫性便失禁について教えてください

切迫性便失禁は、強い便意を感じた際にトイレまで我慢できず漏れてしまうタイプの便失禁です。直腸に便がたまると肛門括約筋が収縮し、漏れを防ぐ仕組みがありますが、この機能がうまく働かないことで発生します。

主な原因は、加齢による筋力の低下、慢性的な下痢、炎症性腸疾患、ストレス性の腸機能異常などです。特に高齢の方は、骨盤底筋の衰えや反応の遅れが影響して、便意を感じてから行動するまでに時間がかかることが多いとされています。

また、緊張や不安によって腸の動きが活発になり、急激な便意が起こることもあります。治療では、腸内環境を整える食事改善や、排便リズムの安定化、骨盤底筋トレーニングなどが有効とされています。

混合性便失禁について教えてください

混合性便失禁とは、切迫性と漏出性の両方の特徴をあわせ持つタイプです。便意を感じてトイレに行く前に漏れてしまうこともあれば、便意を自覚せず下着が汚れている場合もあります。原因は、肛門括約筋の損傷や神経障害、骨盤底筋の衰えなど複数の要素が関係します。

女性の場合、出産による骨盤底の筋肉や神経の損傷がきっかけとなり、その後の加齢で症状が進行するケースが少なくありません。また、便秘や下痢など腸内環境の乱れも悪化の要因です

混合性便失禁は症状の現れ方が複雑で、自己判断では原因を特定しにくいため、消化器内科や肛門科の医師などによる診断が必要です。治療では、食事や排便習慣の見直し、運動療法、薬物療法を組み合わせて総合的に改善を目指します。

介護における便失禁の対処法と対策

介護における便失禁の対処法と対策

トイレの周辺環境はどのように整えればよいですか?

便失禁への対応では、トイレ環境の整備が欠かせません。移動しやすく安全な動線を確保することで、排泄の不安の軽減につながります。
例えば、トイレまでの経路にある段差をなくし、転倒防止のために手すりや滑りにくいマットの設置がおすすめです。夜間の排泄時には、足元を照らす常夜灯を使うとよいでしょう。

また、便座の高さが合っていないと姿勢が安定せず、排便がうまくいかないことがあります。体格に合わせて補助便座や足台を用い、自然な前傾姿勢を保てるようにしましょう

ペーパーやおしりふき、着替えは手の届く位置にまとめ、慌てず動作できる環境を整えることも大切です。さらに、トイレを常に清潔に保ち、臭いや汚れを防ぐことで、心理的な抵抗感を減らしやすくなります。

日常生活で工夫できることを教えてください

便失禁の予防や軽減には、日々の生活習慣を整えることが重要です。まず、排便リズムを安定させるために、毎日同じ時間にトイレへ行く習慣をつけましょう。特に、朝食後は腸の動きが活発になるため、排便に適したタイミングです。

食事面では、食物繊維を含む野菜や穀物、豆類を意識的に摂取し、水分をしっかり取ることで便通が安定します。反対に、脂質や刺激の強い食品を摂りすぎると下痢を起こすことがあるため注意が必要です。

衣服は、トイレに行く際に素早く脱ぎ着できるものを選び、ベルトや複雑なボタンを避けるとよいでしょう。また、便失禁用の吸水パッドや防水シーツを活用すれば、外出や就寝時の不安の軽減につながります。こうした工夫を積み重ねることで、快適で自立した生活を保ちやすくなります。

便失禁を改善させる運動はありますか?

便失禁の改善を目指すうえで、骨盤底筋を鍛える運動は効果が期待できます。骨盤底筋は、直腸や膀胱など骨盤内の臓器を支える筋肉で、便を我慢する力に関わる重要な部分です。加齢や出産によって筋力が低下すると、肛門を閉じる力が弱まり、便漏れが起こりやすくなります。

代表的な方法は骨盤底筋体操(ケーゲル体操)で、肛門を締めるように力を入れ、5〜10秒程度キープしてからゆっくり緩めます。これを1日数回繰り返すことで、筋肉の働きの改善につながります。
骨盤底筋体操は、寝たまま、座ったまま、立ったままなど、姿勢を選ばず実践できるのもメリットです。

加えて、ウォーキングや軽いストレッチで下半身の血流を促すことも大切です。無理をせず、医療スタッフや理学療法士の指導を受けながら継続することが改善の近道となるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで、介護における便失禁について解説してきました。
要点を整理すると、以下のとおりです。

  • 便失禁は、加齢や疾患、筋力・神経の低下など複数の要因が関係して起こる
  • 漏出性や切迫性、混合性などタイプによって症状や対応方法が異なる
  • トイレ環境の整備、生活習慣の見直し、骨盤底筋の運動が改善の基本となる

便失禁は恥ずかしいことではなく、知識と対策によって改善が期待できる症状です。本人だけでなく介護を担う方にとって、本記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師