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介護福祉施設とは?入所できる条件やサービス内容、ほかの介護施設との違いを解説

 公開日:2026/04/09
介護福祉施設とは?入所できる条件やサービス内容、ほかの介護施設との違いを解説

介護福祉施設は、常に介護が必要な高齢の方を支える公的な介護施設であり、日常生活の介護から健康管理、看取りケアまで幅広い支援を行っています。

一方で、老健や介護医療院、有料老人ホームなど、似たようにみえる施設も多く、それぞれ役割や対象者が異なります。

本記事では、介護福祉施設の基本的な仕組みから、入所できる条件、受けられるサービス内容、ほかの介護施設との違い、費用の目安、入所までの流れまで解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護福祉施設とはどのようなサービス?

介護福祉施設とはどのようなサービス?

介護保険制度には、自宅でサービスを受ける在宅サービスだけでなく、施設に入所して介護を受ける施設サービスもあります。
介護福祉施設の定義や役割、特別養護老人ホームとの関係を解説します。

介護福祉施設の定義

介護福祉施設は、要介護高齢者のための生活施設です。寝たきりや認知症などにより、常に介護が必要で自宅での生活が難しい方が入所し、生活しながら介護サービスを受けることができます。

施設では、入浴、排せつ、食事などの介護のほか、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話などが提供されます。

介護福祉施設の役割

介護福祉施設の役割は、常に介護が必要な高齢の方に対し、安心して生活できる場の提供です。自宅での生活が難しい場合でも、施設に入所すると必要な介護や生活支援を継続的に受けることができます。

また、家族の介護負担の軽減も役割の1つです。

特別養護老人ホーム(特養)との関係

介護福祉施設は、老人福祉法では「特別養護老人ホーム」と呼ばれています。

そのため、介護福祉施設と特別養護老人ホームは、同じ施設を指していると考えてよいでしょう。制度上の名称としては「介護老人福祉施設」、一般的な呼び方としては「特別養護老人ホーム」が使われる傾向があります。

また、定員29人以下の小規模施設は、地域密着型介護老人福祉施設、または地域密着型特別養護老人ホームといいます。

参照:
『介護老人福祉施設(参考資料)』(厚生労働省)
『介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)』(WAM NET)

介護福祉施設に入所できる対象者と条件

介護福祉施設に入所できる対象者と条件

介護福祉施設は、常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢の方を対象とした入所施設です。希望すれば誰でも入所できるわけではなく、要介護度や生活状況など一定の条件を満たす必要があります。

入所対象となる要介護度や生活環境、介護の必要性などが総合的に判断されるため、申し込みをしてもすぐに入所できるとは限りません。

介護福祉施設に入所できる対象者の要介護度や、入所が検討される状況、入所の難易度を解説します。

入所対象の要介護度

介護福祉施設の入所対象は、原則として要介護3以上の認定を受けた高齢の方です。要介護3以上では、食事や入浴、排せつなどの日常生活動作に継続的な介護が必要となるケースが多く、自宅での生活が難しくなる場合があります。

ただし、要介護1や要介護2でも、特例として入所が認められる場合があります。例えば、認知症による行動・心理症状が強く在宅生活が困難な場合や、家族による介護が難しい場合などです。

入所が検討される状況とは

介護福祉施設への入所は、常時介護が必要で在宅生活が困難になった場合に検討します。

  • 日常生活のほとんどに介助が必要になっている
  • 寝たきり状態で継続的な介護が必要
  • 認知症の進行により在宅での生活が難しい
  • 家族による介護が難しくなっている

例えば、以上のような状況が挙げられます。

入所の難易度

介護福祉施設は費用負担が抑えられる施設であり、入所希望者が多いため、すぐに入所できるとは限りません。

特に都市部では入所待機者が多く、入所までより多くの期間を要する傾向があります。要介護度や生活状況、介護の必要性などを総合的に判断し、優先度を決定する仕組みです。

入所を検討する場合は、早めに地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、情報を集めることが大切です。

参照:『介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)』(WAM NET)

介護福祉施設で受けられるサービス内容

介護福祉施設で受けられるサービス内容

介護福祉施設では、入所者が安心して生活できるよう、日常生活の介護を中心としたさまざまなサービスが提供されています。施設では専門スタッフが常駐しており、生活支援だけでなく健康管理や機能訓練なども行われます。

また、医療機関と連携しながら健康状態の管理を行うほか、生活の質を高めるためのレクリエーションやリハビリテーションなども提供されています。

介護福祉施設で受けられる主なサービス内容を解説します。

日常生活の介護サービス

介護福祉施設では、入所者の日常生活を支えるための介護サービスが提供されます。食事、入浴、排せつなどの日常生活上の介助が中心です。

利用者の身体状況や生活能力に合わせて、必要な介助を行いながら生活を支えます。

健康管理と医療機関との連携

介護福祉施設では、日常的な健康管理もサービスの1つです。体温や血圧などを確認するバイタルチェックを行い、入所者の健康状態を日々確認しています。

体調の変化が見られた場合には、医療機関と連携して適切な対応が行われます。

リハビリテーションやレクリエーション

介護福祉施設では、身体機能の維持や改善を目的とした機能訓練(リハビリテーション)が行われることがあります。歩行訓練や日常生活動作の訓練などを通じて、できるだけ自立した生活を維持できるよう支援します。

また、生活に楽しみや交流の機会を取り入れるため、レクリエーション活動も実施されています。体操やゲーム、季節の行事などを通じて、入所者同士の交流を促し、心身の活性化につなげることが目的です。

看取りケア

介護福祉施設では、人生の最終段階を迎えた入所者に対して看取りケアが行われる場合もあります。看取りケアは、医療機関や家族と連携しながら、できるだけ穏やかな最期を迎えられるよう支援する取り組みです。

入所者本人や家族の意向を尊重しながら、身体的・精神的な負担をできるだけ軽減し、安心して過ごせる環境を整えます。

参照:『介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)』(WAM NET)

介護福祉施設とほかの介護施設との違い

介護福祉施設とほかの介護施設との違い

高齢者向けの施設にはさまざまな種類があり、目的や提供されるサービス内容、入所対象などが異なります。介護福祉施設は、常時介護が必要な高齢の方が生活するための施設ですが、在宅復帰を目指す施設や医療的ケアを中心とする施設、住まいを目的とした施設などもあります。

介護福祉施設と介護老人保健施設(老健)、介護医療院、有料老人ホームの違いを解説します。

介護老人保健施設(老健)との違い

介護老人保健施設(老健)は、病院での治療を終えた後、在宅生活へ戻ることを目指す高齢の方を対象とした施設です。リハビリテーションを中心に、必要な医療や介護を提供し、利用者が可能な限り自立した生活を送れるよう支援します。

一方、介護福祉施設は在宅復帰を目的とする施設ではなく、常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢の方が長期間生活する施設です。老健は在宅復帰を目標とする「中間施設」としての役割を持つのに対し、介護福祉施設は生活の場として利用される施設です。

また、老健を利用できるのは要介護1〜5の認定を受けた方であり、要支援1・2の方は利用できません。

介護医療院との違い

介護医療院は、長期的な療養が必要な要介護者を対象とした施設です。2018年に創設された施設で、医療と介護の両方を必要とする高齢の方の受け皿として位置づけられています。

施設では、医師の医学的管理のもとで看護や介護、機能訓練、日常生活の支援などが提供されます。慢性的な疾患を抱える方や、日常的な医学管理が必要な重度の要介護者などが主な対象です。また、看取りやターミナルケアにも対応できます。

一方、介護福祉施設は生活施設としての性格が強く、日常生活の介護や生活支援を中心にサービスが提供されます。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは、高齢の方に対して住まいと生活支援サービスを提供する施設です。食事の提供や生活支援などを行う点では介護施設と似ていますが、介護福祉施設とは制度や運営形態が異なります。

有料老人ホームは、株式会社や社会福祉法人などさまざまな事業者が運営しており、入居は施設との契約によって決まります。多くの場合、マンションタイプの個室が用意されており、入居金や月額費用などの料金体系も施設ごとに異なります。

また、有料老人ホームはサービス内容によって「介護付」「住宅型」「健康型」の3つに分類されます。

有料老人ホームは住まいとしての性格が強い施設であるのに対し、介護福祉施設は介護保険制度に基づき、常に介護が必要な高齢の方が生活するための公的な介護施設です。

参照:
『介護老人保健施設(参考資料)』(厚生労働省)
『どんなサービスがあるの? - 介護老人保健施設(老健)』(厚生労働省)
『介護医療院』(WAM NET)
『有料老人ホーム』(WAM NET)

介護福祉施設の入所にかかる費用と自己負担額の目安

介護福祉施設の入所にかかる費用と自己負担額の目安

介護福祉施設を利用する場合、介護サービスにかかる費用のほかに、食費や居住費などの生活費が必要です。介護保険制度では、施設サービスの費用の一部を利用者が負担する仕組みになっており、所得状況に応じて自己負担割合が決まります。

介護福祉施設に入所する際に必要となる基本的な費用と、自己負担額の目安を解説します。

入所にかかる基本的な費用

介護福祉施設に入所する場合、主に次の費用がかかります。

  • 施設サービス費(介護保険のサービス利用料)
  • 居住費(部屋代や光熱費など)
  • 食費
  • 日常生活費(理美容代、日用品など)

施設サービス費は、要介護度や施設の形態、職員配置などによって異なります。また、居室の種類(個室や多床室など)によっても費用が変わる場合があります。

介護保険が適用されるため、利用者はサービス費の一定割合のみを自己負担する仕組みです。

自己負担額の目安

特別養護老人ホーム(入所定員30人以上)の場合、1割負担の利用者の施設サービス費の目安は次のとおりです。

従来型個室・多床室の場合(1日あたり)

  • 要介護1:573円
  • 要介護2:641円
  • 要介護3:712円
  • 要介護4:780円
  • 要介護5:847円

ユニット型個室の場合(1日あたり)

  • 要介護1:652円
  • 要介護2:720円
  • 要介護3:793円
  • 要介護4:862円
  • 要介護5:929円

ほかに食費、居住費、理美容代、日用品費などが別途必要です。また、施設の所在地やサービス提供体制、施設設備などによって利用料は異なるため、詳細な費用は市区町村の窓口や地域包括支援センター、ケアマネジャーなどに確認しましょう。

参照:『介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)』(WAM NET)

介護福祉施設|入所までの流れと家族が準備すべきこと

介護福祉施設|入所までの流れと家族が準備すべきこと

介護福祉施設に入所するためには手続きや準備が必要です。

介護福祉施設へ入所するまでの主な流れと、家族が準備しておきたいことを解説します。

入所申込みの方法

介護福祉施設への入所を希望する場合、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」を申請します。第1号被保険者(65歳以上)は介護保険被保険者証、第2号被保険者(40~64歳)は医療保険証が必要です。

申請後は、市区町村の職員などが自宅を訪問し、本人や家族から心身の状態の聞き取りを行う認定調査が実施されます。

また、市区町村の依頼により、主治医が医学的見地から心身の状態をまとめた主治医意見書を作成します。

調査結果をもとに介護認定審査会で審査・判定が行われ、非該当(自立)、要支援1・2または要介護1~5のいずれかの認定が決定されます。認定結果が通知される時期は、原則として申請から30日以内です。

要介護認定を受けた後、施設への入所を希望する場合は、希望する介護福祉施設に直接申し込みます。

入所の判定で重視されるポイント

介護福祉施設への入所は、申し込めばすぐに決まるわけではありません。施設では、本人の要介護度や生活状況、家庭での介護状況などを総合的に判断して入所の優先度を決定します。

特に、常時介護が必要で在宅生活が難しい状況かどうかが重要な判断材料です。例えば、日常生活のほとんどに介助が必要な場合や、認知症の進行により家庭での介護が困難な場合などは、入所の必要性が高いと判断される傾向があります。

また、家族による介護体制や在宅サービスの利用状況なども考慮されるため、家庭の状況を整理しておくことが大切です。

施設見学の重要性と確認事項

介護福祉施設を選ぶ際には、施設見学を行うことが重要です。実際に施設を訪問すると、生活環境やスタッフの対応、施設の雰囲気などを確認できます。

見学の際には、居室の設備や共用スペースの状況、介護体制、医療機関との連携体制などを確認しましょう。また、食事内容やレクリエーション活動、入所後の生活の流れなどもチェックしておくと、入所後の生活をイメージしやすくなります。

参照:『介護保険制度について』(厚生労働省)

まとめ

まとめ

介護福祉施設は、常に介護が必要で在宅生活が難しい高齢の方が入所し、介護や生活支援を受けながら暮らすための施設です。

入所対象は原則として要介護3以上の高齢の方ですが、要介護1・2であっても特例的に入所が認められる場合があります。施設では、食事、入浴、排せつなどの日常生活の介護に加え、健康管理、機能訓練、レクリエーション、看取りケアなど幅広い支援が行われます。

介護福祉施設は、本人が安心して生活を続けるための場であると同時に、家族の介護負担を軽減する役割も担っています。制度や特徴を正しく理解し、状況に合った施設を選びましょう。

この記事の監修社会福祉士