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要介護4とは?状態の目安や施設入所を検討するタイミングを解説

 公開日:2026/04/07
要介護4とは?状態の目安や施設入所を検討するタイミングを解説

ご家族が要介護4と判定され、出口の見えない疲弊を感じている方もいるでしょう。要介護4は、日常生活のほぼすべてにおいて全面的な介助が必要な、介護負担の大きい状態です。昼夜を問わぬ介助が続く生活のなかで、「もう限界かもしれない」と感じることは、決して努力不足ではなく、誰にでも起こりえるサインです。
この記事では、要介護4の認定基準や生活状態の具体的な目安、利用できるサービス、そしてご家族の心身を守るために施設入所を検討すべきタイミングを解説します。

※この記事は2026年3月時点の制度に基づいています。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

“要介護4”とは

“要介護4”とは

要介護4とは、日常生活のあらゆる場面で誰かの手助けや、全面的な介助が欠かせない区分です。ご本人に「自分でやりたい」という意思があっても、身体機能の低下により、自力での動作が物理的に困難になる時期でもあります。
ここでは、要介護認定の仕組みや要介護4の具体的な基準、ほかの区分との違いを解説します。

要介護認定の仕組み

介護保険サービスを利用するためには、お住まいの市区町村の窓口で申請を行い、認定を受ける必要があります。認定調査員による訪問調査や、医師が作成する主治医意見書をもとに、コンピュータ判定(一次判定)が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会による審査(二次判定)を経て、最終的な判定が下されます。

要介護4の認定基準

要介護4の目安となる指標は、要介護認定等基準時間が90分以上110分未満、またはこれに相当する状態です。これは、“身の回りの世話や介護に、一日のなかでこれだけの時間が費やされている”という手間を数値化したものです。
具体的な状態の目安は以下のとおりです。

項目 具体的な状態の目安
生活全般 排泄や入浴、着替え、食事のすべてに全面的な介助が必要
移動 自力で立ち上がったり、歩いたりすることができず、常に支えや車いすが必要
姿勢保持 寝返りが自力で行えず、体位変換の介助が必要な場合がある
認知機能 認知機能の低下により、意思疎通が困難なケースが多くみられる

要介護4になると、介助者の身体的な負荷(力仕事)が増大します。特に移乗介助は腰や膝への負担が重いため、福祉用具などを活用し無理をしないことが大切です。

参照:『要介護認定はどのように行われるか』(厚生労働省)

要支援や要介護1〜5との違い

要介護度は、要支援から要介護まで7段階に分かれています。各区分の目安は以下のとおりです。

区分 基準時間の目安 状態の目安
要支援1 25分以上32分未満 日常生活はほぼ自立 家事などに一部支援が必要
要支援2 32分以上50分未満 立ち上がりなどが不安定で、支援の必要性が高い
要介護1 32分以上50分未満※ 日常生活に部分的な介助が必要で、状態が不安定
要介護2 50分以上70分未満 日常生活の多くで部分的な介助が必要
要介護3 70分以上90分未満 日常生活のほぼ全般で全面的な介助が必要
要介護4 90分以上110分未満 日常生活全般で全面的な介助が必要な重度の状態
要介護5 110分以上 介助なしには生活できない最重度の状態

要支援2と要介護1は同じ時間帯。認知機能や病状などで振り分けられます。

参照:『要介護認定はどのように行われるか』(厚生労働省)

要介護3との決定的な違いは、日常生活の全般において全面的に介助を必要とする時間がさらに増えることです。要介護3では一部自力でできる動作が残ることもありますが、要介護4では排泄や食事でも常に介助が必要で、見守りが欠かせなくなります。

要介護4の方の生活状態の目安

要介護4の方の生活状態の目安

身の回りの動作を一人で完結することが難しく、介助なしには安全が保てない状態です。具体的なサポート内容を解説します。

日常生活における介助の必要度

要介護4の方が日常生活において必要とする介助の目安は以下のとおりです。

項目 介助内容の目安
食事 食べ物を口に運ぶ動作や飲み込みの確認など、全行程で介助が必要
排泄 排泄の意思を伝えられないことも多く、おむつ交換や移乗に全面的な介助が必要
入浴 着替え、洗体、洗髪、浴槽への出入りなど、安全確保のための全面的な見守りや介助が必要
寝返り 自力で姿勢を変えられないため、床ずれを防ぐための体位変換が必要

要介護4は24時間体制で誰かの見守りや直接的な介助を必要とする重度の状態です。一つひとつの動作に時間がかかり介助者の身体的な疲労も蓄積しやすいため、家族だけで担うのは大きな負担です。

移動や排泄など生活動作のサポート

自力で立ち上がったり、数歩歩いたりなどの動作が難しくなります。
移動と排泄に関するサポートのポイントは以下のとおりです。

項目 サポートのポイント
移動の介助 ベッドから車いす、車いすから便座などの移乗の際に、身体を支える強い力が必要
介助者が腰を痛めやすく、身体的な限界を感じる要因になりえる
排泄の介助 失禁が増え、夜間も数時間おきにおむつの確認や交換が必要になることがある 介助者の睡眠不足に直結しやすく、精神的な余裕を奪う要因

ご本人の尊厳を守りつつ、介助者の体を守るためには、床走行式リフト(キャスター付きの昇降機)やスライディングボード(座ったまま滑らせて移乗する板)などの福祉用具を積極的に取り入れることが推奨されます。プロの力を借りて環境を整えることは、お互いの安全を守るために欠かせない選択です。

認知機能の低下がみられるケース

要介護4では、身体機能の低下だけでなく、認知機能の低下(認知症)を伴うケースが多くみられます。ご家族にとって、身体的な介助以上に精神的なストレスとなるのが、認知症に伴う“行動・心理症状”です。
具体的な症状の例は以下のとおりです。

症状 具体的な困りごとの例
徘徊や不穏 夜中に外へ出ようとしたり、大きな声を出したりすることがある
失認・失行 家族の顔や物の使い方がわからなくなり、身の回りのことができなくなる
不潔行為 排泄物を触ってしまうなどの行為がみられ、介助者の精神的なダメージが大きくなることがある

これらの症状は、不安や混乱から生じていることが多いため、否定せずに受け止める姿勢が求められます。
論理的に説明したり叱ったりすることは効果が薄く、かえって混乱を招く可能性があります。「今は不安なんだね」とご本人の感情に寄り添い、安心感を与える声かけを心がけることが大切です。共倒れを防ぐため、専門のサービスなどで物理的な距離を置く時間を作ることも大切です。

在宅介護は可能?

手厚いサービスとサポート体制があれば可能ですが、在宅が唯一の正解ではありません。
在宅を継続するための条件の目安は以下のとおりです。

項目 継続のための重要ポイント
サービスの活用 1日複数回の訪問介護や夜間対応型サービスを利用できる
介助者の健康 介護者の健康(腰痛や睡眠状態)が保たれている
レスパイト ショートステイなどを定期利用し、介護者が休息できている
住環境の整備 住宅改修や福祉用具の導入で、介助負担を軽減できている

住み慣れた家で過ごすことはご本人の幸福感につながりますが、介助者が倒れてしまっては元も子もありません。限界を超える前にケアマネジャーなどと相談し、柔軟に判断しましょう。

要介護4で利用できる主な介護サービス

要介護4で利用できる主な介護サービス

要介護4の区分支給限度基準額は、30,938単位(1単位10円換算の目安:約309,380円)に設定されています。この範囲内であれば、所得に応じた1〜3割の自己負担で、さまざまな支援を組み合わせて受けることができます。

参照:
『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』(厚生労働省)
『介護報酬ハンドブック』(シルバー産業新聞社)

訪問介護(ホームヘルプ)

身体介助(入浴、排泄、食事など)や生活援助をプロに依頼します。要介護4では介助に人手や時間を要するため、訪問回数や人数の調整など、生活を支える不可欠なサービスです。
住み慣れた自宅で暮らし続けるためには、プロの技術を適切に組み込むことが不可欠です。

通所介護(デイサービス)

施設に通い入浴や食事の提供などを受けるサービスです。適したデイサービスの利用で社会参加の機会を作り、同時にご家族が日中の数時間を自分のために使える“レスパイト(休息)”の役割も果たします。

ショートステイ(短期入所生活介護)

施設に数日宿泊します。介護者が休むためや夜間の睡眠確保のための定期利用も推奨されています。ショートステイを上手に組むことが、長期的な在宅介護を成功させる秘訣です。

訪問看護や訪問リハビリ

医療的ニーズが高まる要介護4には、看護師による健康管理や専門職によるリハビリが有効です。特に誤嚥を防ぐ口腔ケアや食事リハビリは、食べる楽しみを維持するために欠かせません。

要介護4で入居を検討できる介護施設

要介護4で入居を検討できる介護施設

在宅での生活を安全に続けることが難しくなった場合、あるいはご家族の健康を守るために、施設への入所を検討することは前向きな選択肢です。要介護4の方が検討できる主な施設を解説します。

特別養護老人ホーム

原則要介護3以上を対象とした公的施設です。24時間の手厚いケアが受けられ、終身利用できる安心感があります。民間施設より費用が抑えられるため人気ですが、要介護4の方は優先順位が高くなる傾向にあります。

介護付き有料老人ホーム

民間運営で、食事や清掃、介助等のサービスを提供します。個室の広さや設備を選べるのが特徴です。特養より費用は高い傾向にありますが、待機期間が短く「今すぐに入所させたい」という切実なニーズに応えやすい選択肢です。

介護老人保健施設

病院退院後などに、リハビリや医療ケアを受け在宅復帰を目指す施設です。原則3ヶ月程度の利用ですが、体力を戻して家に戻りたい方や、特養の空きを待つ間の一時的な入所先として選ばれることもあります。

家族が要介護4になったときに考えたいこと

家族が要介護4になったときに考えたいこと

家族が要介護4という重い状態になったとき、目の前の介助に追われて将来の計画を立てる余裕をなくしてしまいがちです。しかし、制度やタイミングを整理しておくことが、共倒れを防ぐ道です。

認定区分変更手続きの流れ

もし、現在の要介護3などの状態から急激に悪化し、介助の負担が明らかに増えたと感じる場合は、区分変更申請が可能です。
手続きの流れは以下のとおりです。

ステップ 手続きの内容
1. 申請 お住まいの地域の介護保険窓口で申請書を提出
2. 訪問調査 調査員が自宅を訪れ、ご本人の状態を確認
3. 意見書準備 市区町村から主治医へ意見書の作成が依頼される
4. 判定 最新の状態に基づき、新しい要介護度が決定される

区分が上がることで支給限度額が増えサービスを拡充できるため、在宅負担の軽減に直結します。ケアマネジャーにこまめに報告しましょう。

要介護4の区分支給限度額と自己負担額の目安

要介護4の1ヶ月あたりの区分支給限度基準額は、30,938単位です。1単位10円とした場合、約309,380円までのサービスを介護保険で利用できます。
自己負担額(1割負担の場合)の目安は以下のとおりです。

  • 支給限度基準額:309,380円
  • 自己負担(1割)の上限:30,938円

地域単価(東京23区などは高い)や、所得による負担割合(2〜3割)により、実際の支払額は変わります。また、限度額内であっても、介護保険の対象外となるおむつ代や理美容代などは自費です。予算とケアプランのバランスをケアマネジャーと相談し、調整しましょう。

参照:『令和6年度介護報酬改定の主な事項について』(厚生労働省)

在宅介護を続ける場合のポイント

要介護4の方を在宅で看続けるには、完璧な介護を目指さないことが重要です。
負担を減らすためのポイントは以下のとおりです。

対策 具体的なポイント
福祉用具 床走行式リフト(昇降機)やスライディングボード(移乗用の補助板)、特殊寝台など、介助の負担を物理的に減らす
ルーティン化 月に数日はショートステイを利用するなど、休息のための時間をあらかじめ確保する
多機能型サービス 通い・泊まり・訪問を一つの事業所で柔軟に組み合わせられるサービスを検討する

介助者が笑顔でいられることが、ご本人の安心感にもつながります。

施設入所を検討するタイミング

施設入所を検討し始めるべき客観的なタイミングには、以下のようなものがあります。

  • 夜間の介助が常態化し、介護者が睡眠不足で体調を崩したとき
  • 移乗介助などの力仕事で、介護者の腰痛や関節痛が悪化したとき
  • 医師から自宅での医療処置が困難であると判断されたとき
  • 介護者が「もうこれ以上は優しくできない」と感じたとき

特に4つ目の心の限界は深刻なサインです。日々の介助に追われていると、ご自身でも気付きにくいものです。深夜対応を実質一人で担っている方も少なくありません。「これ以上は優しくできない」と感じることは、精一杯がんばり抜いた証しであり、SOSです。共倒れを防ぎ、安全と尊厳を守るために、プロの手に委ねることを前向きに検討しましょう。

介護で困ったときの相談先

主な相談先と期待できるサポートは以下のとおりです。

相談先 役割と期待できるサポート
地域包括支援センター 地域の高齢福祉の司令塔 あらゆる悩みの窓口
担当ケアマネジャー 経済的な不安や、施設移行のタイミングに関しても相談に乗ってくれる
認知症家族の会 同じ悩みを抱える方々との交流 孤独感を和らげ知恵を得る機会

無理だと思ったらすぐに相談しましょう。

まとめ

まとめ

要介護4は、日常生活のほぼすべてにおいて全面的な介助を必要とする、ご本人にとってもご家族にとっても負担の大きな段階です。しかし、サービスをフル活用し、福祉用具を整えることで、在宅生活を安全に維持することは可能です
一方で、ご家族の心身の健康が損なわれそうなときは、施設入所を一つの前向きな選択肢として真剣に検討する時期でもあります。自分だけで抱え込まず、専門家の力を借りながら、ご家族全員が穏やかに過ごせる形を見つけていきましょう。

この記事の監修社会福祉士