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訪問介護とホームヘルパーの違いとは?制度や役割の違いや混同しやすいポイントを解説

 公開日:2026/03/19
訪問介護とホームヘルパーの違いとは?制度や役割の違いや混同しやすいポイントを解説

介護サービスのなかでも訪問介護とホームヘルパーの言葉は、似ているようで意味が異なるため混同されやすい用語です。訪問介護は介護保険制度に基づき、要介護認定を受けた方が自宅で日常生活を送るために受けられる公的サービスを指します。一方、ホームヘルパーはその訪問介護サービスを提供する介護職員を意味します。本記事は、訪問介護とホームヘルパーの役割や仕組みを整理し、それぞれの特徴と利用時に注意すべき点を解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

訪問介護とホームヘルパーの違い

訪問介護とホームヘルパーの違い

訪問介護は介護保険制度に基づく在宅支援サービスの名称であり、ホームヘルパーはそのサービスを実際に提供する介護職員を指します。両者の役割の正しい理解が大切です。

訪問介護は介護保険サービスにおける名称

訪問介護は、介護保険制度で定められている在宅介護サービスの正式な名称です。要介護認定を受けた方が、自宅で自立した生活を続けられるよう、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づき提供されます。厚生労働省の資料でも、訪問介護、訪問看護、通所介護などと並ぶ居宅サービスの一つとして位置づけられており、公的な介護保険給付の対象サービスなどが明記されています。また、サービスコード表や介護保険制度の概要資料でも、訪問介護はサービス名称として規定されています。

参照:
『介護保険制度の概要』(厚生労働省)
『介護サービスコード・名称一覧』(医療介護情報局)

ホームヘルパーは職種の呼び方

ホームヘルパーとは、利用者の自宅を訪問して身体介護や生活援助を行う介護職員の呼び方であり、サービス名ではなく職種の名称です。介護保険制度上は訪問介護員などと表現されることもありますが、日常的にはホームヘルパーの言葉が広く使われています。ホームヘルパーは、事業所に所属してケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、決められた時間内で入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を担います。また、利用者の心身の状態や生活状況の変化を観察し、必要に応じて事業所やケアマネジャーに情報を共有する役割も含まれます。このように、訪問介護のサービスを具体的に提供する方の呼称がホームヘルパー、と理解していただくとわかりやすいです。

参照:『訪問介護員/ホームヘルパー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)』(厚生労働省)

訪問介護とホームヘルパーが混同されやすい理由

まず言葉の使われ方の違いが挙げられます。訪問介護は介護保険制度で定められたサービス名なのに対し、ホームヘルパーはそのサービスを提供する介護職員の呼び方ですが、現場では訪問介護(ヘルパーを頼む)などと混ぜて表現されることが少なくないです。そのため、サービスと人(ヒト)を区別せず、どちらも同じ意味だと受け取られやすいです。

訪問介護のサービス内容

訪問介護のサービス内容

訪問介護では、利用者の方の自宅にホームヘルパーが訪問し、入浴・排泄・食事などの身体介護や、掃除・洗濯・調理・買い物などの日常生活の援助を行います。

訪問介護の制度上の位置付け

訪問介護は、介護保険制度で居宅サービスのなかの訪問サービスに分類される在宅介護サービスです。介護保険法第八条では、訪問介護は要介護認定を受けた方に対し、居宅で入浴・排泄・食事などの介護や日常生活上の援助の提供が目的としたサービスとして定義されています。また、厚生労働省が示す介護サービスの分類図でも、訪問介護は訪問看護・訪問リハビリテーションなどと並ぶ訪問系サービスの一つとして整理され、ケアマネジャーが作成するケアプランに位置付けられることによって介護保険給付の対象です。つまり、訪問介護は自宅で暮らし続けることを支えるための基盤的な在宅介護サービスとして、制度上、位置付けられています。

参照:
『介護保険制度の概要』(厚生労働省)
『第八条 この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護』(独立行政法人福祉医療機構)

訪問介護で提供される支援の範囲

大きく分けて身体介護、生活援助、通院・外出時の介助の3つに分類されます。身体介護では、入浴・排泄・食事・更衣・体位変換・移動介助など、直接身体に触れて行う日常生活動作の支援を行います。

生活援助では、掃除・洗濯・調理・買い物・薬の受け取りなど、利用者が自宅で暮らし続けるために必要な家事全般をサポートします。ただし、利用者本人の日常生活に直接関係しない家事(家族だけが使う部屋の掃除や広範な庭の手入れなど)は対象外とされています。

また、通院などの乗降介助として、病院やクリニックなどへの通院のときに自宅から車までの移動や乗り降りを支援するサービスも含まれる場合があります。このように、訪問介護は在宅生活を支えるための具体的な支援内容が制度上明確に定められている点が特徴です。

参照:
『各介護サービスについて』(厚生労働省)
『訪問介護とは』 (健康長寿ネット)

訪問介護の対象者

訪問介護の対象者は、原則として介護保険で要介護1以上の認定を受けた方です。要支援1・2の方は介護予防訪問介護(第1号訪問介護などを含む)として類似のサービスを利用できます。65歳以上の第1号被保険者、または40〜64歳の第2号被保険者で特定疾病により要介護・要支援認定を受けた方が対象となり、市区町村の認定結果に基づいてサービス利用の可否が決まります。また、訪問介護の利用には、ケアマネジャー(要介護)または地域包括支援センター(要支援)が作成するケアプランに位置付けられていることが必要です。このように、訪問介護の対象は「介護保険の被保険者で、一定の要介護度・要支援度が認定された在宅の高齢の方」と整理できます。

参照:
『訪問介護とは』 (健康長寿ネット)
『訪問型サービス(第1号訪問介護)とは 』(健康長寿ネット)

ホームヘルパーのサービス内容

ホームヘルパーのサービス内容

ホームヘルパーは利用者の方の自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などの身体介護と、掃除・洗濯・調理・買い物などの日常生活を支える生活援助を行います。

ホームヘルパーの一般的なサービス内容

ホームヘルパーは、利用者の方の自宅を訪問し、日常生活を支えるためのさまざまな介護を行います。具体的には、入浴・排泄・食事・更衣・体位変換・移乗・歩行介助など、直接身体に関わる身体介護のほか、掃除・洗濯・調理・買い物・ゴミ出し・薬の受け取りなどの生活援助を担います。また、通院や買い物など外出時の付き添い、玄関から車までの移動や乗り降りのサポートを行うこともあります。さらに、利用者の方の心身の状態や生活環境の変化に気付き、必要に応じて事業所やケアマネジャーへ情報を共有する役割も含まれます。

参照:『ホームヘルパー(訪問介護員)』(東京都品川区)

ホームヘルパーが働く施設やサービス

多くの場合、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)などに所属して働きます。利用者の方の実際の生活の場となるのは、自宅のほか、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢の方の住宅などの在宅系施設が含まれることもあります。これらの事業所の運営主体は、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、株式会社などさまざまで、地域の介護ニーズに応じて訪問系サービスを提供しています。

参照:
『訪問介護員/ホームヘルパー - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)』(厚生労働省)
『訪問介護員・ホームヘルパー(介護職員初任者研修修了者)』(独立行政法人福祉医療機構)

訪問介護サービスを受けるために必要な手続きと必要なもの

訪問介護サービスを受けるために必要な手続きと必要なもの

まず市区町村の窓口で要介護認定の申請を行い、介護度の認定とケアプランの作成を経て、訪問介護事業所と契約する必要があります。申請時には介護保険被保険者証(第2号被保険者は医療保険証)、本人確認書類などを準備し、利用開始時にはケアプラン、契約書、保険証類を提示します。

手続きの流れと方法

訪問介護サービスを受けるための手続きは、介護保険サービス全般の利用手順に沿って進みます。まず、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口地域包括支援センターに相談し、要介護(または要支援)認定の申請を行います。申請後、市町村の職員による認定調査と主治医意見書の作成が行われ、介護認定審査会で要介護度が判定されます。要介護1以上と判定された場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーに、要支援1・2の場合は地域包括支援センターにケアプラン作成を依頼します。ケアマネジャーと面談し、訪問介護を含む希望するサービス内容や回数を相談しながらケアプランを作成し、そのプランに基づき訪問介護事業所と契約を結ぶことで、実際のサービス利用が開始されます。この一連の流れを理解しておくと、スムーズに訪問介護サービスを導入しやすいです。

要介護・要支援の認定結果が非該当(自立)になった場合は、介護保険の訪問介護などの介護給付(予防給付)サービスは原則利用できません。まず市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談し、総合事業や地域支援事業など、その方の状態に応じた介護予防・生活支援サービスの利用の検討が重要です。

参照:
『介護予防・日常生活支援総合事業の 基本的な考え方』(厚生労働省)
『サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

手続きに必要なもの

大きく要介護認定の申請時サービス利用契約時に分けて考えるとわかりやすいです。まず、要介護・要支援認定の申請時には、介護保険要介護(要支援)認定申請書(市区町村窓口またはホームページから入手)や介護保険被保険者証(65歳以上の第1号被保険者)または医療保険被保険者証(40~64歳の第2号被保険者)、主治医の氏名・医療機関名など、主治医意見書の依頼に必要な情報、マイナンバー(個人番号)と本人確認書類(自治体によっては必要)です。

要介護認定後、訪問介護を利用する際には、ケアマネジャーや訪問介護事業所との契約時に、介護保険被保険者証・負担割合証の写しとケアプラン(居宅サービス計画)、訪問介護事業所との契約書、重要事項説明書、個人情報使用に関する同意書などが必要です。

参照:
『要介護認定の申請に必要なものは何ですか。』(船橋市公式ホームページ)
『サービス利用までの流れ | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」』(厚生労働省)

訪問介護サービスを受ける際の注意点

訪問介護サービスを受ける際の注意点

訪問介護サービスを受ける際は、利用回数や時間帯、できること・できないことをあらかじめ確認し、ケアプランと契約内容をよく理解したうえで疑問点を事前に相談しておくことが大切です。

医療行為は対応できない

訪問介護サービスでは、ホームヘルパーが行える支援の範囲が法律や制度によって明確に定められており、多くの医療行為には対応できません。医師や看護師しか行えない処置(注射、点滴、インスリン注射の単独実施、褥瘡処置、カテーテルの挿入・交換など)は、訪問介護では実施せず、訪問看護や医療機関の役割です。また、内服薬の管理も、ホームヘルパーが行えるのは基本的に服薬の声かけ、シートからの薬の取り出しの介助などに限られ、どの薬をいつ何錠飲むかを判断したり、医師の指示なく量やタイミングを変更したりはできません。

このため、持病があり医療的ケアが必要な場合は、訪問介護だけでなく、訪問看護や主治医と連携した支援体制を整えることが重要です。利用前には、訪問介護でできること・できないことを事業所やケアマネジャーに具体的に確認しておくと安心感が高まります。

参照:
『訪問介護員の医行為について』(東京都中野区)
『原則として医行為ではない行為 に関するガイドライン』(厚生労働省)

家族の洗濯や食事の準備はできない

訪問介護では、サービスの対象となるのはあくまで利用者本人であり、同居家族の日常家事の代行はできません。なので、家族のためだけの洗濯や食事の準備は、原則として訪問介護の生活援助の範囲外とされています。例えば、家族が着用した衣類のみをまとめて洗濯したり、家族全員分の夕食を作ったりすることを主目的としての依頼はできません。

一方で、利用者本人の洗濯物と一緒にご家族の衣類が少量混ざってしまう程度や、利用者と家族が同じ鍋料理を取り分けて食べるなど、利用者の食事準備の延長としてごく付随的に家族にも結果として提供される場合は、例外的に認められるケースもあります。この線引きは事業所や自治体の運用によっても異なるため、どこまでが利用者本人の援助として認められるかは、あらかじめケアマネジャーや訪問介護事業所と具体的に確認しておくことが大切です。

参照:『「同居家族がいる方への訪問介護(生活援助)」の提供について』(名古屋市健康福祉局高齢福祉部介護保険課長)

まとめ

まとめ

「訪問介護」が介護保険制度で定められた在宅介護サービスの名称であり、「ホームヘルパー」はそのサービスを提供する介護職員の呼び方です。制度上はサービスと職種の別の概念ですが、現場では訪問介護(ヘルパーを頼む)などと混在して使われ、混同されやすいのが実情です。両者の違いを押さえておくことで、ケアマネジャーとの相談や事業所選びの際に、自分や家族に必要な支援をより適切に検討しやすいです。

この記事の監修社会福祉士