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介護保険の主治医意見書のもらい方|主治医がいないときの対処法も解説

 公開日:2026/02/24
介護保険の主治医意見書のもらい方|主治医がいないときの対処法も解説

ご家族の物忘れや不意の転倒をきっかけに介護保険の申請を検討し始めたものの、手続きの進め方や必要な書類に不安を感じている方もいるでしょう。介護保険の申請は一般的な通院とは異なる点もあり、具体的にどのような流れで進めればよいのか、主治医がいない場合はどうすべきかなど、わからないことも多いはずです。

この記事では、主治医意見書をもらう際の手順や、費用、医師がいないときの解決策を解説します。また、認定に与える影響やスムーズに作成してもらうためのポイント、注意点などもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

※この記事は2026年1月12日現在の制度に基づいています。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護保険における主治医意見書とは

介護保険における主治医意見書とは
介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。その審査において、ご本人の心身の状態を医学的な視点から証明する重要な書類が主治医意見書です。
ここでは、介護保険制度におけるこの書類の役割や目的を解説します。

主治医意見書の役割

主治医意見書の役割は、医師が医学的な根拠に基づいてご本人の状態を自治体の審査会へ伝えることです。ケアマネジャーや調査員が把握しきれない専門的な心身の情報が集約されます。

主治医は、日頃の診察を通して把握している以下の項目を整理して記載します。

  • 負傷や疾病の原因
  • 現在の具体的な症状
  • 日常生活での心身の制限
医師の視点で客観的な事実が記載されるため、適切な介護の重さを判断するための公平な基準として機能します。

主治医意見書が必要な理由

主治医意見書が必要な理由は、認定調査員による聞き取り調査だけでは正確な判断が難しいためです。その時々の体調やご本人の繕いによって、実際の状態が把握しきれないケースが少なくありません。
医学的な裏付けによって、以下のような要素を正確に評価します。

  • 認知機能の具体的な程度
  • チューブ管理などの専門的な医療処置の有無
  • リハビリテーションによる改善の見込み
専門家による医学的判断を審査に加えることで、ご本人に適した介護サービスの提供を可能にします。

主治医意見書と診断書の違い

主治医意見書と診断書は、用途や発行の手続きが大きく異なります。
主な違いを以下の表にまとめました。

項目 主治医意見書 診断書
目的 介護の必要性を判定するための材料 本人の状態を証明する
主な用途 要介護認定の審査 勤務先への証明や保険請求
提出先 市区町村(介護保険窓口) 提出を求めた機関や個人
様式 全国統一の専用フォーマット 医療機関ごとの任意フォーマット

一般的な診断書はご本人の希望で発行されるのに対し、意見書は介護保険法に基づき、市区町村の依頼によって作成される仕組みです。

介護保険の主治医意見書に記載される内容と要介護認定に与える影響

介護保険の主治医意見書に記載される内容と要介護認定に与える影響
主治医意見書には、医学的な見地からみたご本人の心身の状態が詳しく記されます。この内容が要介護認定の結果に反映されるため、どのような項目が記載されるのかを事前に把握しておきましょう。

主治医意見書に記載される内容

主治医意見書は全国共通の様式であり、主に以下の5つの項目で構成されています。

  • 傷病に関する意見
  • 特別な医療
  • 心身の状態に関する意見
  • 生活機能やサービス利用に関する意見
  • 特記すべき事項

傷病に関する意見では、原因となる病名や現在の症状、経過が記載されます。特別な医療の項目は、経管栄養や透析、点滴などの専門的な処置の有無を確認するためのものです。
また、認知機能の低下に伴う症状や日常生活の制限、リハビリテーションによる改善の見込みなども網羅しています。医師が特に伝えるべきだと判断した内容は、特記すべき事項へ記載されます。

介護保険の要介護認定に与える影響

主治医意見書は、主に要介護認定の二次判定で大きな役割を果たします。認定調査員による調査結果と意見書を照らし合わせ、専門家が要介護度を決定します。
特に、認定調査だけでは判断しにくい医学的な管理の必要性を補える点が特徴です。例えば、認知症に伴う周辺症状や、一時的な体調変化による介護負担の増大などは、医師の意見によって正しく評価されやすくなります。

コンピュータによる一次判定の結果が、医師の専門的な知見によって修正されるケースは少なくありません。この書類の内容が、適切なサービスを受けられるかどうかの判断基準を担います。

介護保険|主治医意見書のもらい方と手続きの流れ

介護保険|主治医意見書のもらい方と手続きの流れ
介護保険の申請にあたり、主治医意見書を自分でもらいに行く必要があるのかと悩む方は少なくありません。実際には、この書類は申請者が直接医師に依頼するのではなく、自治体が主体となって手続きを進める仕組みです。
ここでは、具体的なもらい方や手続きのステップを解説します。

主治医意見書の作成依頼は市区町村が行うもの

主治医意見書の作成依頼は、市区町村から直接医療機関に対して行われます。申請者が窓口で主治医の情報を伝えれば、自治体が作成依頼書を郵送します。
自分で書類を取り寄せて病院へ持参する必要がないため、手続きの負担は軽減されます。ただし、医師がスムーズに作成できるよう、事前に「介護保険を申請する予定である」と病院側へ伝えておくと、その後のやり取りが円滑に進みます。受付での連絡だけでなく、診察時に直接医師へ申請の意向を伝えることで、より詳細な情報共有が可能になります。

申請時に必要な準備

申請をスムーズに進めるためには、主治医に関する正確な情報を整理しておきましょう。窓口で記入する申請書には、以下の情報を正しく記載しなければなりません。

  • 主治医の氏名
  • 医療機関名(病院やクリニック名)
  • 診療科目
  • 所在地や電話番号
診察券や領収書を準備しておくと、情報の書き漏れを防げます。複数の診療科にかかっている場合は、ご本人の心身の状態を最もよく把握している医師を主治医として指定してください。受診頻度が高い医師や付き合いが長い医師を選ぶと、より正確な意見書になります。

市区町村が主治医意見書の作成を依頼する流れ

市区町村が主治医意見書の作成を依頼する流れは、おおむね以下のとおりです。

  • 介護保険の利用申請:市区町村の窓口で主治医の情報を記入し、申請書を提出
  • 作成依頼の送付:自治体が医療機関へ意見書の作成依頼を郵送
  • 医師による作成:主治医が診察内容に基づき、専用の様式に記入
  • 市区町村への返送:作成された意見書が、病院から自治体へ直接送付
このように、書類のやり取りは自治体と医療機関の間で完結します。申請者は、窓口で正しい情報を伝えることが役割です。

※現在、多くの自治体では市区町村が医療機関へ直接依頼していますが、一部の自治体(約7.5%)では申請者が事前に主治医へ依頼する方式も採用されています。今後、申請者による事前入手も可能であることが明確化される見込みです(2026年度までに結論予定)。

参照:『要介護認定について』(厚生労働省)

主治医意見書をスムーズに作成してもらうためのポイント

主治医意見書をスムーズに作成してもらうためのポイント
主治医意見書を滞りなく作成してもらうためには、診察室では見えにくい日常生活の様子を医師に正しく伝える工夫が求められます。医師は限られた診察時間で判断を下すため、ご家族からの情報提供が認定結果を左右します。
医師へ正確な情報を共有するために、以下の準備を行いましょう。

  • 日頃の困りごとをまとめたメモの持参
  • 介護保険を申請する旨の事前連絡
転倒の回数や夜間の徘徊、食事の食べ忘れなどの具体的な支障を記したメモを診察時に渡すと、医師は医学的根拠に基づいた意見を書きやすくなります。ご本人が診察の場だけシャンとしてしまう(繕い)傾向がある場合は、その旨もメモで伝えておくことが大切です。
また、市区町村から依頼が届く前に病院へ申請の意向を伝えておくと、事務手続きが迅速に進みます。

主治医意見書の依頼にかかる費用

主治医意見書の依頼にかかる費用
介護保険の申請に際して、費用面の心配を抱える方は多いでしょう。主治医意見書の作成にかかる費用は、原則として申請者が負担する必要はありません。
ここでは、費用の仕組みや例外的に支払いが発生するケースを解説します。

原則として費用の自己負担はない

主治医意見書の作成にかかる費用は、介護保険制度によって賄われます。自治体が医療機関へ直接支払う仕組みとなっているため、病院の窓口で書類作成代を請求される心配はありません。

意見書の作成手数料や自治体からの依頼に基づく書類郵送代などの費用は、介護保険制度の枠組みのなかで処理されます。

作成前に費用がかかるケース

書類の作成費用は無料ですが、作成の前提となる診察や検査は自己負担が発生する場合があります。正確な意見書を執筆するために、直近の受診状況によってはあらためて医師の診察が求められるためです。
費用が発生する主な事例は以下のとおりです。

  • 久しぶりに受診する際の初診料や再診料
  • 状態把握のために必要な検査費用
  • 医療機関までの交通費
例えば、3ヶ月以上受診が空いている場合などは、現在の心身の状態を確認するための診察が欠かせません。この際の診療費には通常の医療保険が適用され、1割から3割の自己負担分を支払います。また、自宅から病院までの往復にかかる交通費も、各自での負担です。

主治医やかかりつけ医がいない場合の対処法

主治医やかかりつけ医がいない場合の対処法
介護保険の申請を検討していても、病院へ行く習慣がない場合や持病がなかった場合は主治医を誰にすべきか迷うものです。結論から述べると、主治医がいない状態でも介護保険の申請は滞りなく進められます。

ここでは、特定の病院にかかっていない場合の具体的な解決策を解説します。

市区町村が指定する医師の診察を受ける

主治医がいない場合は、市区町村から紹介された医師による診察を受けます。具体的には、自治体が指定する以下の場所で受診します。

  • 市区町村が設置する保健センター
  • 自治体が指定する地域の協力医療機関
窓口で「主治医がいない」と相談すれば、受診可能な病院を案内してもらえます。案内された医師が主治医の代わりとして意見書を作成するため、病院との付き合いがなくても心配はいりません。
初めて会う医師(指定医)に、適切な意見書を書いてもらうためには、ご家族による正確な情報提供が何よりも重要です。以下の準備をして受診に臨みましょう。
準備すること 理由・ポイント
お薬手帳を持参する 現在飲んでいる薬から、これまでの病歴や健康状態を医師が推測する大きな手がかりになります。
症状の変化を時系列で整理する いつ頃から、どのようなことができなくなったのか、1枚の紙にまとめておくと説明の漏れを防げます。
家族が必ず付き添う 本人は初めての場所に緊張してと無理をしてしまいがちです。ご家族が付き添い、必要時は日常の本当の困りごとを代弁しましょう。

長年受診していない場合、詳細な血液検査や画像診断が求められるケースもありますが、これも適切な介護サービスを受けるためのステップだととらえて受診しましょう。

最近受診していない場合の注意点

主治医意見書は、過去6ヶ月以内の心身の状態をもとに作成されるのが一般的です。そのため、しばらく受診していない場合(おおむねね3ヶ月以上)は、あらためて受診が必要になる場合があります。

半年以上受診していない場合はあらためて診察を受け、ご本人の普段の様子をご家族が正確に医師へ伝えましょう。しばらく病院へ行っていない状態で申請すると、あらためて検査や診察を求められる場合があります。ご本人の状態を正確に書類へ反映してもらうためにも、申請のタイミングに合わせて一度受診を済ませておくとスムーズです。

まとめ

まとめ
主治医意見書は、適切な要介護認定を受けるために欠かせない書類です。手続きは市区町村から医療機関へ直接依頼されるため、申請者は窓口で正確な医師情報を伝えるだけで進められます。

主治医がいない場合でも、自治体が指定する医師の診察を受けることで作成が可能です。書類作成の費用負担は原則ありませんが、診察料などは別途かかる点に留意してください。
ご本人の普段の様子をメモにまとめて医師へ共有することで、より適切な認定結果につながります。手続きに不安がある際は、早めに相談することで、手続きをスムーズに進められます。お住まいの市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談しましょう。

この記事の監修社会福祉士