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介護保険でおむつ代は助成される?利用できる支援制度や負担軽減策を解説

 公開日:2026/02/22
介護保険でおむつ代は助成される?利用できる支援制度や負担軽減策を解説

親の介護が始まると、毎日の消耗品であるおむつ代が家計の重荷になることがあります。介護保険が使えるのか、ほかに助成制度があるのかと、不安を感じる方も多いでしょう。実際、おむつ代は積み重なると大きな金額になるため、利用できる支援を正しく把握しておけば、無理のない介護を続ける助けになります。

この記事では、介護保険でのおむつ代の取り扱いや、市区町村が実施する助成制度、また、確定申告で活用できる医療費控除の仕組みや、日々のケアで費用を抑える具体的な工夫も解説します。

経済的な負担を軽減し、心にゆとりを持って介護に向き合えるよう、ぜひ参考にしてください。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護でおむつが必要になる状況とおむつ代の目安

介護でおむつが必要になる状況とおむつ代の目安

おむつを使い始める時期の判断は、ご本人の自尊心を守り、介助者の負担を軽減するために重要です。ここでは、おむつが必要になるサインや、毎月かかる費用の目安を解説します。

おむつが必要になるサイン

排泄(はいせつ)の失敗を自覚し、それを隠そうとする行動が見られたら、おむつを検討する時期です。無理にトイレでの自立にこだわり続けると、失禁による不潔な状態が続き、皮膚炎や褥瘡(じょくそう/床ずれ)を招きかねません。
日常生活のなかで注意深く観察したいサインは以下のとおりです。

  • 汚れた下着を隠している
  • トイレのドアの前で立ち尽くし、入り方などがわからなくなっている
  • 間に合わないことが増え、トイレへ行くのを諦めている
  • 室内や衣類からアンモニアのような臭いがしている

こうした行動は「失敗したくない」というご本人の心理の裏返しでもあります。安心感を得るためのパンツとして、薄型で履くタイプのリハビリパンツから提案するのが、尊厳を守りつつスムーズに導入するコツです。いきなりテープ式のおむつを提案すると、ご本人が強い抵抗感を示す場合があるため、まずは下着に近い形状のものから始めることで、心理的な負担を下げられます。ただし、安易な早期導入は自分でトイレに行く意欲を下げ、身体機能の低下(廃用症候群)を招くリスクもあるため、自立支援とのバランスを考慮することが重要です。

おむつ代の目安

おむつ代は家計の大きな固定費です。要介護度が上がるにつれて、おむつの種類や使用枚数が変化するため、段階的に負担が増えていく傾向にあります。

要介護度別の介護用品費(おむつ代や介護食など)の月額平均を以下の表にまとめました。

要介護度 介護用品費の月額平均
要介護1 6,000円
要介護2 9,000円
要介護3 15,000円
要介護4 18,000円
要介護5 25,000円
全体平均 12,000円

全体平均は12,000円ですが、要介護5では25,000円と大きな開きがあります。介護度が上がるほど自力での排泄が難しくなり、吸収量の多い製品や頻繁な交換が必要になることが主な理由です。おむつ代以外にも、漏れた際の洗濯代や消臭剤などの周辺コストも家計を圧迫する一因となります。家計を圧迫しやすい費用だからこそ、助成制度などを早めに確認しておくことが有効です。

参照:『介護サービス以外の支出(2016年)』(公益財団法人家計経済研究所)

介護保険におけるおむつ代の取り扱い

介護保険におけるおむつ代の取り扱い

介護保険制度では、さまざまなサービスを1割から3割の自己負担で利用できます。しかし、在宅介護で使用する紙おむつなどの消耗品は、原則として介護保険の給付対象には含まれません。

原則としておむつ代は介護保険の対象外

在宅で介護を続ける場合、おむつ代は全額自己負担が一般的です。日常生活用品と位置づけられ、食費と同様に自助で賄うべきものとみなされているためです。ただし、利用するサービスや施設の種類によって、費用負担の仕組みが大きく異なります。

主な施設区分ごとの負担状況を以下にまとめました。

負担者 対象となる主な施設
施設側(0円) 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院
個人(実費) 訪問介護、訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム

特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、おむつ代がサービス料金に含まれているため、別途請求されることはありません。一方で、自宅で利用する訪問介護やデイサービス、また民間が運営する有料老人ホームなどは、個人でおむつを用意する必要があります。入所やサービスの利用を検討する際は、こうした消耗品費が別途発生するかを確認しましょう。

介護保険でおむつ代が助成されない理由

おむつ代が保険の対象にならない理由は、介護保険制度の基本的な考え方にあります。制度がサービス(技術や手間)を補償するものであるのに対し、おむつは日常生活品とみなされているためです。

介護保険は、専門スタッフによる排泄介助や入浴介助といった、人による行為に対して給付される仕組みです。紙おむつや食事代、居住費などは、介護の有無に関わらず発生する日常生活の維持費という扱いです。そのため、おむつ代を保険料でまかなう形にはなっていません。

介護保険でおむつ以外に利用できるトイレ周りのサービス

介護保険でおむつ以外に利用できるトイレ周りのサービス

介護保険はおむつ代は対象外ですが、排泄を助ける機器の購入や介助サービスには適用されます。これらを活用すれば、おむつの使用量を抑えたり介助負担を軽くしたりできます。

ポータブルトイレなどの福祉用具の貸与や購入の補助

自力での排泄を支える用具は、特定福祉用具販売などの対象です。購入時は年間10万円を上限に、自己負担1割から3割で済みます。

ただし、給付を受けるためには都道府県の指定を受けた事業者から購入しなければならない点に注意してください。一般ECサイト、またはホームセンターなどで独自に購入した場合は、介護保険の給付対象外となり、全額自己負担となります。購入前に、担当のケアマネジャーへ指定事業者の確認を行いましょう。
トイレ環境を整える主な用具は以下のとおりです。

  • ポータブルトイレ
  • 腰掛便座
  • 手すり

寝室にポータブルトイレを設置すれば、夜間の転倒を防ぎつつ、自力での排泄を継続できます。消耗品ではないため、一度の導入で長期的な負担軽減につながります。

訪問介護による排泄介助

ホームヘルパーが自宅を訪問する身体介護も保険の対象です。プロの技術でケアを受けることで、漏れによる洗濯を減らせるほか、皮膚のトラブルも早期に発見できます。
訪問介護による主な支援内容は以下のとおりです。

  • 適切なタイミングでのトイレ誘導や見守り
  • 清潔を保つための清拭(せいしき)や交換
  • 身体状況に合わせた介助方法の助言

定期的な訪問があれば失禁による汚れが放置されるのを防げます。また、介助時の様子を報告してもらうことで、体調変化に気付く機会が得られます。夜間の排泄不安がある場合は、24時間対応の定期巡回サービスなどを組み合わせも有効です。

おむつ代の助成が受けられる主な制度

おむつ代の助成が受けられる主な制度

在宅介護で全額自己負担となるおむつ代ですが、公的な支援を活用すれば家計の負担を抑えられます。自治体独自の助成や税金が戻る仕組みなど、主な制度を解説します。

市区町村の紙おむつ助成制度

多くの自治体では、在宅で介護を受ける方を対象に独自の紙おむつ支給や購入費の助成を行っています。おむつは毎日の消耗品のため、地域の制度を優先的に確認しましょう。
主な助成の形態は以下のとおりです。

  • 現物支給型
  • 助成券(クーポン)給付型
  • 償還払い(現金給付)型

自治体によって、おむつそのものが届くケースや、指定店舗で使える券が配布されるケースなどがあります。例えば横浜市では要介護4・5の方を対象に、月額8,000円を上限とする給付基準を設けています。助成額や所得制限などの要件は、居住地により異なります。制度を利用していない方も多いため、まずは市区町村の介護保険課や高齢福祉課、ケアマネジャーに相談し、対象になるかを確認することが大切です。

参照:『高齢者紙おむつ給付事業』(横浜市)

医療費控除

確定申告で医療費控除を利用すれば、支払ったおむつ代の一部が税金の還付や減額として戻ってきます。1年間の医療費総額が10万円(または所得の5%)を超えた場合に適用される制度です。

医療費控除を受けるための要件は以下のとおりです。

  • おおむね6ヶ月以上寝たきりの状態である
  • 医師によるおむつ使用証明書を取得している

申告する際は医師の証明書(発行手数料として1,000円〜3,000円程度が必要)が必要です。介護保険の要介護認定を受けている一定の方は、市町村長などが交付する「おむつ使用の確認書」などで代用できる場合があります。領収書を適切に保管し、家族全体の医療費と合算して申告を行いましょう。

参照:『No.1122 医療費控除の対象となる医療費』(国税庁)

市区町村の紙おむつ助成制度の利用方法

市区町村の紙おむつ助成制度の利用方法
手続きの手順を把握しておけば利用がスムーズです。ここでは、検討から利用開始までの具体的な3つのステップを解説します。

市区町村の窓口や公式サイトで制度の概要を確認する

自治体により助成の対象や内容が異なるため、まずは条件を確認しましょう。制度の有無は、お住まいの地域の財政状況や方針によって決まります。

確認すべき主なポイントは以下のとおりです。

  • 対象となる要介護度や所得制限
  • 給付の形式(現物支給、クーポン配布、現金給付)
  • 申請に必要な書類

おむつが自宅に届くのか、提携店で使える券が配られるのか、運用はさまざまです。自治体ホームページの高齢福祉課などの項目から、ご本人の状況に合う制度を見つけましょう。

申請手続きを行う

制度を利用するには、役所の窓口や郵送などでの申請手続きが必要です。不備があると利用開始が遅れるため、必要書類を漏れなくそろえましょう。
一般的に以下の書類が必要です。

  • 介護保険被保険者証の写し
  • 市区町村指定の申請書
  • ケアプランの写し(必要な場合)

書類を提出すると、審査を経て決定通知書が届きます。わからない点はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、申請のサポートを受けましょう。

利用開始する

決定通知書が届いたら、指定のルールにしたがっておむつの受け取りや購入を開始します。

一度手続きを済ませれば継続的に支援を受けられ、出費の不安が和らぎます。要介護度が変わった際などは変更届が必要になる場合があるため、通知書の内容は大切に保管しましょう。

おむつ代の負担を減らす工夫

おむつ代の負担を減らす工夫

公的な支援を活用すると同時に、日々のケアやおむつの使い方を工夫することも、家計とご本人の生活の質(QOL)を両立させるために欠かせません。製品特性を理解し、効率的な組み合わせを実践することで、無駄な出費と介護の手間を同時に削減できます。

排泄ケアの見直し

使用するおむつやパッドの組み合わせを見直すだけで、月々の出費を抑えられる可能性があります。
効率的に製品を選ぶための工夫は以下のとおりです。

  • アウター(外側のおむつ)とインナー(パッド)の併用
  • 高機能パッドによる交換回数の削減
  • 排尿量に合わせたパッドの使い分け

外側のおむつは単価が高いため、汚れたパッドのみを交換し、外側は再利用するのが経済的な使い方の基本です。夜間は吸収力の高い長時間用パッドを使い、アウターを汚さない工夫をすれば、トータルのコストを抑えられます。排尿状況により適切に組み合わせて使用すれば、外側のおむつの消費量を減らすだけでなく、シーツ交換や洗濯の手間も削減できます。
ただし、コスト削減を優先しすぎて衛生面を損なわないよう注意が必要です。外側のおむつは直接肌に触れることも多く、下着と同じ役割を果たしています。たとえ目に見える汚れがなくても、皮膚の清潔を保ちトラブルを防ぐために、一日に一度は新しいものに交換する清潔なサイクルを心がけましょう。

トイレへの誘導や福祉用具の活用

トイレでの排泄を増やすことが、結果としておむつ代の節約につながります。
おむつに頼り切らないために、以下のような対策が考えられます。

  • ご本人の排泄パターンの把握
  • 寝室へのポータブルトイレ設置
  • 介助用手すりの設置

排泄の間隔を把握し、そのタイミングでトイレやポータブルトイレへ誘導すれば、失禁を減らせます。自力で排泄できる機会を増やすことは、清潔保持と家計の負担軽減、そして何よりご本人の尊厳を守るという大きなメリットをもたらします。

まとめ

まとめ

在宅介護におけるおむつ代は原則として自己負担ですが、市区町村の助成制度や医療費控除の活用により、経済的な負担を軽減できます。まずは役所の窓口やケアマネジャーに相談し、利用できる支援を確認してください。

また、ポータブルトイレなどの福祉用具の導入は、おむつ代の抑制に加え、ご本人の自尊心の維持にもつながります。お金の悩みや介助の疲れを一人で抱え込まず、公的な制度やプロの視点を賢く取り入れましょう。家計と心のゆとりを保つ工夫が、無理のない穏やかな生活を続ける支えとなります。

この記事の監修社会福祉士