目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 介護TOP
  3. コラム(介護)
  4. 介護保険を申請できる人は?対象となる年齢や病気、申請の流れを解説

介護保険を申請できる人は?対象となる年齢や病気、申請の流れを解説

 公開日:2026/02/20
介護保険を申請できる人は?対象となる年齢や病気、申請の流れを解説

介護が必要になったとき、介護保険を使えるのかどうか、誰が申請できるのかわからず戸惑う方は少なくありません。介護保険は、高齢の方だけでなく、一定の条件を満たせば40歳から64歳の方も対象となる制度です。ただし、年齢や病気の種類によって利用できるかどうかが決められており、仕組みを正しく理解していないと申請のタイミングを逃してしまうこともあります。また、申請は本人だけでなく、家族や周囲の支援者が行える場合もあり、手続きの流れや相談先を知っておくことが大切です。

本記事では、介護保険を申請できる方の条件や対象となる年齢・病気、申請を行える方の範囲、実際の申請から利用開始までの流れを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

プロフィールをもっと見る
【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

介護保険を申請できる人

介護保険を申請できる人

介護保険は、年齢や病気の条件によって利用できるかどうかが決められています。高齢の方が対象という印象を持たれがちですが、実際には40歳から64歳の方でも、一定の病気が原因で介護が必要になった場合には申請できます。

第1号被保険者(65歳以上)で要介護(要支援)状態の方

65歳以上の方は、第1号被保険者として介護保険の対象になります。この区分では、病気やけがの原因は問われず、日常生活に支援や介護が必要と判断されれば、介護保険の申請が可能です。加齢に伴う筋力の低下や関節の不調、認知機能の低下などにより、入浴や排せつ、食事、移動といった動作が一人で行いにくくなった場合に要介護認定の対象になります。

要介護認定は、介護がどの程度必要かに応じて、要支援1・2、要介護1から5までの区分が設けられています。要支援は、生活の一部に手助けが必要な状態を指し、要介護は、継続的な介護が必要な状態と整理されています。認定結果によって、利用できる介護サービスの内容や量が変わるため、生活のなかで困っていることを整理して申請につなげることが重要です。

第2号被保険者(40~64歳)で特定疾病が原因で要介護(要支援)状態になった方

40歳から64歳の方は、第2号被保険者として位置付けられています。この年齢層は、すべての病気が対象になるわけではなく、国が定めた特定疾病が原因で介護が必要になった場合に限り、介護保険を申請できます。特定疾病とは、加齢に伴って起こりやすく、長期的な支援や介護が必要になりやすい病気です。

具体的には、初老期の認知症や脳血管疾患、関節リウマチ、末期のがん、筋萎縮性側索硬化症などが含まれ、全部で16種類が定められています(表)。

表:特定疾病(全16種類)

がん
(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
【パーキンソン病関連疾患】
関節リウマチ 早老症
筋萎縮性側索硬化症 多系統萎縮症
後縦靱帯骨化症 脊柱管狭窄症
骨折を伴う骨粗鬆症 脳血管疾患
初老期における認知症 閉塞性動脈硬化症
脊髄小脳変性症 慢性閉塞性肺疾患
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

これらの病気により、日常生活を一人で送ることが難しくなった場合、年齢が65歳未満であっても要介護認定の申請が可能です。

介護保険の申請手続きを行える人

介護保険の申請手続きを行える人

介護保険の申請は、介護が必要になった本人だけが行うものと思われがちですが、実際には複数の立場の方が手続きを行えます。体調や認知機能の状態によっては、本人が申請書を準備したり、窓口へ出向いたりすることが難しい場合もあります。そのようなときでも申請が滞らないよう、制度上は代行申請が認められています。

本人

介護保険の申請は、原則として介護が必要な本人が行えます。市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請書を受け取り、必要事項を記入して提出します。申請時には、介護保険被保険者証や本人確認書類、主治医の医療機関名などを求められる場合があります。身体の状態が安定しており、書類の記入や手続きが可能な場合には、本人による申請が基本です。

ただし、介護が必要になる状況では、外出や書類作成そのものが負担になることもあります。申請は一度きりで終わるものではなく、その後の認定調査や結果通知、サービス利用へと続くため、無理のない方法を選ぶことが重要です。本人が申請する場合でも、事前に家族や支援者と流れを共有しておくと、手続きが進めやすくなります。

家族や親族

介護保険の申請は、家族親族が本人に代わって行うことが可能です。配偶者や子、同居していない親族であっても、日常的に支援を行っている場合には申請できます。高齢の方や認知機能の低下がみられる方は、家族が中心となって申請を進めるケースが多い傾向があります。

家族が申請する場合も、本人の状態や生活のなかで困っていることを具体的に整理しておくことが大切です。要介護認定は、日常生活動作や介助の必要性が細かく確認されるため、普段の様子を把握している家族の関わりは欠かせません。申請時点から家族が関与することで、その後のケアプラン作成やサービス選択もスムーズにつながります。

地域包括支援センターの職員など

本人や家族での申請が難しい場合には、地域包括支援センターの職員市区町村の担当者が申請を支援する仕組みがあります。地域包括支援センターは、高齢の方の暮らしや介護に関する総合的な相談窓口として設置されており、介護保険の申請手続きについても相談できます。

職員が申請を支援する場合には、本人や家族の同意を得たうえで、書類作成や提出の手続きを進めます。介護の状況が複雑な場合や、相談先がわからない場合でも、地域包括支援センターに連絡することで、適切な窓口につながります。

介護保険の申請に必要な書類

介護保険の申請に必要な書類

介護保険の申請を行う際には、いくつかの書類を準備します。基本となることは要介護認定申請書で、市区町村の窓口地域包括支援センターで受け取れます。申請書には、本人の氏名や住所、生年月日、連絡先などの基本情報に加え、現在の生活状況や介護が必要と考えられる理由を記載します。あわせて、介護保険被保険者証の提出が求められます。被保険者証が見当たらない場合でも、申請自体は可能なため、窓口で相談するとよいです。

また、主治医意見書の作成に必要となるため、かかりつけ医受診している医療機関名を確認しておくことも大切です。主治医意見書は本人が用意する書類ではなく、市区町村から医師へ直接依頼されます。必要書類や提出方法は自治体によって異なる場合があるため、事前に窓口や地域包括支援センターで確認しておくと、手続きを進めやすくなります。

要介護認定の申請から介護保険の利用開始までの流れ

要介護認定の申請から介護保険の利用開始までの流れ

介護保険は、申請を行えばすぐに利用できる制度ではなく、要介護認定という手続きを経てからサービスが開始されます。申請から利用開始までには、いくつかの段階があります。全体の流れをあらかじめ把握しておくことで、先の見通しを持ちながら準備を進めやすくなります。

要介護認定の申請書類を提出する

最初のステップは、市区町村への要介護認定の申請です。申請書は、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターで提出します。申請は本人のほか、家族や地域包括支援センターの職員などが行えます。申請日が要介護認定の基準日となるため、介護が必要と感じた時点で早めに手続きを進めることが重要です。申請時には、介護保険被保険者証や本人の基本情報、主治医の医療機関名などを確認します。書類がすべて揃っていなくても申請できる場合があるため、不足があるときは窓口で相談するとよいです。

要介護認定の調査を受ける

申請後、市区町村から認定調査員が訪問し、本人の心身の状態や日常生活の様子について調査が行われます。調査は、自宅や入院先、施設など、本人が生活している場所で実施されます。食事や入浴、排せつ、移動といった動作にどの程度支援が必要か、認知機能や理解力の状況などが確認されます。調査当日は、普段の生活に近い状態を伝えることが大切です。調子のよいときだけを基準にせず、介助が必要な場面や困っていることを具体的に伝えることで、実態に即した評価につながります。家族が同席し、補足説明を行うことも可能です。

要介護認定の可否や区分が決められる

訪問調査の結果と、主治医意見書の内容をもとに、介護認定審査会で要介護度が審査されます。ここでは、介護がどの程度必要かが総合的に判断され、要支援1・2、要介護1から5までの区分、または非該当が決定されます。原則として、申請から認定結果が出るまでの期間は30日以内とされていますが、状況によって前後する場合があります。認定結果は書面で通知され、認定の有効期間もあわせて示されます。結果に納得できない場合には、区分変更の申請や不服申立てを行う制度もあります。

ケアプランを作成してもらう

要介護認定を受けた後は、介護サービスを利用するためのケアプランを作成します。要支援と判定された場合は地域包括支援センターが、要介護と判定された場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。ケアプランは、本人の生活状況や希望をもとに、どのような介護サービスを、どのくらいの頻度で利用するかを整理します。自宅での生活を続けたいのか、家族の負担を軽減したいのかなど、考えを共有することが大切です。ケアプランは一度作成して終わりではなく、状態の変化に応じて見直されます。

介護保険の利用開始

ケアプランが完成すると、介護保険サービスの利用が始まります。訪問介護や通所介護、福祉用具の貸与など、認定区分に応じたサービスを組み合わせて利用できます。利用者は原則として自己負担割合分の費用を支払い、残りは介護保険から給付されます。介護保険の利用開始後も、生活状況や身体の状態は変化します。定期的にケアマネジャーや支援機関と相談しながら、必要に応じてサービス内容を調整していくことが、無理のない介護につながります。

介護保険の申請で困ったときの相談窓口

介護保険の申請で困ったときの相談窓口

介護保険の申請は、制度や手続きが複雑に感じられ、どこへ相談すればよいかわからなくなることがあります。書類の準備や申請の流れだけでなく、介護が必要かどうかの判断そのものに迷う場合も少なくありません。そのようなときには、一人で抱え込まず、身近な相談窓口を活用することが大切です。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢の方や家族を支えるための総合相談窓口です。介護保険の申請方法や要介護認定の流れ、現在の生活状況に応じた支援の考え方などについて相談できます。要支援と認定された場合には、ケアプラン作成も担当するため、申請前から利用開始後まで継続した支援が受けられます。どこに相談すればよいかわからないときや、介護が必要かどうか判断に迷う段階でも相談できます。本人だけでなく、家族からの相談も受け付けており、地域の介護サービスや制度について幅広く情報をえられる点が特徴です。

市区町村の窓口

介護保険の制度そのものや申請手続きについては、市区町村の介護保険担当窓口が基本的な相談先です。申請書の入手や提出、必要書類の確認、認定結果に関する問い合わせなど、制度運用に関わる内容を確認できます。自治体ごとに手続きの進め方や書類の様式が異なる場合があるため、不明点があるときは窓口で確認しましょう。電話相談や来庁相談に対応している自治体も多く、状況に合わせて利用できます。

社会福祉協議会

社会福祉協議会は、地域福祉全般を支える団体です。介護保険に限らず、生活全体の困りごとについて相談できる点が特徴です。介護に伴う生活上の不安や、制度の使い方について助言を受けられる場合があります。地域によっては、見守り活動や家族支援の取り組みも行っており、介護保険以外の支援策を含めて相談できる窓口として活用できます。

民生委員

民生委員は、地域に根ざした立場で住民の相談に応じる役割を担っています。高齢の方の暮らしや介護に関する悩みを身近な立場で聞き取り、必要に応じて適切な支援機関につなぎます。制度の詳しい手続き説明を行う立場ではありませんが、相談のきっかけとして利用しやすい存在です。

まとめ

まとめ

介護保険は、65歳以上の方だけでなく、40歳から64歳の方でも特定疾病が原因で介護や支援が必要になった場合に利用できる制度です。申請は本人に限らず、家族や地域包括支援センターなどが行えるため、身体の状態や生活状況に合わせた方法を選べます。申請から利用開始までには、認定調査や審査、ケアプラン作成といった段階があり、全体の流れを知っておくことで準備が進めやすくなります。制度や手続きに迷ったときは、地域包括支援センターや市区町村の窓口など、身近な相談先を活用するようにしましょう。

この記事の監修医師