要介護1とはどのような状態?認定基準と受けられるサービス、費用の目安、手続きを解説

要介護1は、公的介護保険制度における要介護度のなかでも最も軽度とされる区分です。日常生活の大部分は自分で行えるものの、一部に介助や見守りが必要となる状態を指します。本記事では、要介護1の状態像や認定基準、ほかの要介護度との違いを解説します。その後に、要介護1の方が利用できる介護保険サービスの種類と費用の目安、サービス利用開始までの手続きの流れについても解説します。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
目次 -INDEX-
要介護1とは

要介護1は要支援1・2および要介護1~5まである介護度区分のうち、最も軽度の要介護状態です。まずは要介護1という状態そのものについて、基本的な定義や認定の基準、そして要介護認定者全体に占める要介護1の割合を解説します。
要介護とは
要介護とは、加齢や障害によって日常生活の基本的な動作が困難になり、継続的な介護を必要とする状態のことです。公的介護保険では要介護度1~5の5段階に分類され、数字が大きいほど重度な状態です。要介護に認定された場合は訪問介護やショートステイ、施設入所サービスなど本格的な介護サービスを利用でき、自己負担は原則1割(所得によって2~3割)です。
要介護1の認定基準
要介護1は、5段階ある要介護度の中で最も介護の必要が低い段階です。厚生労働省が定める判定基準によれば、要介護1に認定される基準は要介護認定等基準時間が32分以上50分未満に該当する場合とされています。この基準時間とは、要介護者の身体介助や機能訓練などに1日にどれくらい介護の手間時間がかかるかを推計したものです。この時間はあくまで目安であり、判定にあたっては認知機能の低下の程度や心身の安定性なども考慮されます。
要介護認定は最終的に自治体の介護認定審査会の判断によって決定されるため、基準時間だけですべてが決まるわけではありませんが、一つの重要な指標となっています。
要介護認定者における要介護1の割合
要介護1は軽度とはいえ、要介護認定を受けている方のなかで大きな割合を占めています。厚生労働省の調査によると、2025年9月時点で要支援・要介護認定者は約734万人にのぼり、そのうち約20%(約147万人)が要介護1と認定されています。これは全要介護度のなかで最も人数が多いです。要介護1認定者数は高齢化に伴い年々増加傾向にありますが、それだけ軽度の介護が必要な方が社会に多く存在していることを示しています。
要介護1の方が一人でできること、よくある困りごと

要介護1に認定された方は、基本的な日常生活動作の多くを自分の力で行うことができます。しかし、加齢や心身機能の低下により、いくつかの動作で部分的なサポートが必要になっている状態です。本章では、要介護1の方が自力でできることと、介護生活で直面しがちな困りごとについて解説します。
要介護1の方が一人でできること
要介護1の方は、身の回りの基本的な動作の大半は自分でこなせます。例えば、食事や着替え、排泄といった生活の基本動作はおおむね自立して行える場合が多いです。軽度の身体介助が必要となる場面もありますが、できないのではなく、少し支えがあると安心という状態です。できる限りご本人の力を活かしつつ、安全に配慮して不足部分を支援することで、生活の自立度を保つことが重要です。
要介護1の方によくある困りごと
要介護1の方が直面しやすい困りごととしては、主に身体的な不安と生活環境上の課題が挙げられます。
- 転びやすくなる
- 入浴や階段など一部動作が負担になる
- 軽度の物忘れや判断力低下する
- 介護する家族の負担が徐々に蓄積する
これらの困りごとは、周囲のサポートや福祉用具の導入、介護サービスの利用によって多くは対処可能です。ご本人と家族が遠慮せずに相談し、必要な支援を取り入れていくことがポイントです。
要介護1でも一人暮らしは可能?
結論からいえば、要介護1に認定されても一人暮らしは十分可能です。要介護1は介護度の中で最も軽い状態であり、適切なサービスや地域の支援を利用することで、自宅での生活を継続できます。実際に要介護認定を受けた後も、訪問介護やデイサービスを組み合わせながら自宅で暮らす方はいらっしゃいます。週数回のヘルパー派遣やデイサービス利用によって生活リズムを整え、家族や近隣の見守りをしてもらえば、一人暮らしでも安心して過ごせるでしょう。
要介護1とほかの要介護度の違い

介護認定には要支援1・2、要介護1~5の段階があります。要介護1は要介護状態の中でで一番軽い状態ですが、要支援や要介護2以上とはサービス内容や状態像にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、要介護1と他区分との主な違いについて解説します。
要支援1・2との違い
要支援と要介護1の違いは、必要とされる支援の重さと目的の違いがあります。要支援は自立に近い状態で、一部サポートを加えることで介護状態への悪化を予防する段階です。具体的な違いは以下です。
| 比較項目 | 要支援(主に要支援2) | 要介護1 |
|---|---|---|
| 支援の必要性 | ・基本的な日常動作は自立 ・掃除、買い物など一部の生活支援が中心 ・身体介護は原則不要 |
・基本動作の一部に介助が必要 ・入浴や排泄などで身体介護が必要な場面あり ・見守りや継続的支援が必要 |
| 利用できるサービス | ・介護予防サービスが中心 ・市区町村主体の事業 ・介護予防デイサービス ・介護予防訪問介護など |
・介護保険サービスを本格利用可能 ・訪問介護、デイサービス ・ショートステイ ・福祉用具レンタルなど |
| サービスの幅・量 | ・支援内容は限定的 | ・利用できるサービス種類が多い ・支給限度額も要支援より高い |
要支援と要介護1の違いは介護が予防的支援なのか、日常生活で常時必要な介護なのかという点にあります。
要介護1と要介護2の違い
要介護1と要介護2はいずれも公的介護サービスを利用できる要介護認定ですが、その介護の必要度合いには明確な違いがあります。
| 比較項目 | 要介護1 | 要介護2 |
|---|---|---|
| 日常生活の自立度 | ・食事や排泄など身の回りのことはおおむね自立 ・一部に見守りや軽い介助が必要 ・食事は自力で摂れるケースが多い |
・自力でできない動作が増える ・食事・排泄・移動などで介護が必要 ・食事動作にも見守りや一部介助が必要 |
| 介護者の負担 | ・介護は部分的で短時間 ・家族のみでも対応可能なことが多い |
・声かけや身体介護が頻回に必要 ・日中の多くの時間で介護が必要 ・家族だけでの対応が難しくなり始める |
このように、要介護2は要介護1より介護なしではできないことが目立ってくる段階です。生活全般にわたり介護の手が必要になり、要介護度が上がるほどその傾向が強まります。
なお、要介護3以上ではほぼ身の回りのこと全般に全面的な介護が必要となり、要介護5にもなると意思疎通も困難な状態です。要介護1のうちは自立度をできるだけ維持し、リハビリや生活習慣改善で要介護2へ進まないようにすることが重要といえるでしょう。
要介護1の方が受けられる介護保険サービスと費用の目安

要介護1と認定されると、公的介護保険を利用して在宅サービスや通所サービス、短期宿泊、福祉用具の利用など、さまざまな支援を受けることができます。本章では、要介護1で利用できる主な介護サービスと費用の目安を、種類別に解説します。
自宅で受けられるサービス
自宅で受けられるサービスとして代表的なのは訪問系サービスです。これは介護スタッフなどが利用者の自宅に訪問して提供するサービスの総称で、要介護1の方でも状況に応じて利用可能です。主なものは以下のとおりです。
| サービス種別 | 内容・利用例 | 費用の目安(自己負担1割) |
|---|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプサービス) | ・ヘルパーが自宅を訪問 ・掃除・洗濯・調理・買い物など生活援助 ・入浴・排泄・食事など身体介護 |
・生活援助30分:200円程度 ・身体介護1時間:650円前後 |
| 訪問入浴 | ・看護師・介護職員が自宅で入浴介助 ・専用浴槽を持参し居室内で実施 ・自宅の風呂が使えない場合に利用 |
・1回あたり1400円程度 |
| 訪問看護 | ・看護師による健康チェック ・血圧測定・服薬管理・傷の処置など ・医師の指示に基づき実施 |
・1回あたり500円程度 |
| 訪問リハビリ | ・理学療法士などが自宅で訓練指導 ・歩行訓練・筋力維持・転倒予防 |
・1回あたり300円程度 |
これら訪問系サービスを組み合わせることで、自宅で生活を続けながら不足する部分だけを補うことができます。ケアマネジャーと相談しながら、必要なサービスを上手に利用しましょう。
施設に通って受けられるサービス
施設に通って受けられるサービスとは、デイサービスやデイケアなど日中に施設へ通所して受ける支援のことです。要介護1の方は自宅に閉じこもりがちにならないよう、これら通所サービスを活用している方もいます。
| サービス種別 | 内容・利用例 | 費用の目安(自己負担1割) |
|---|---|---|
| 通所介護(デイサービス) | ・日帰りで施設に通所 ・入浴、食事、レクリエーション、機能訓練 ・送迎付きで平日日中に利用 |
・1回あたり700円程度 |
| 通所リハビリ(デイケア) | ・老健や病院に通ってリハビリ実施 ・理学療法士などによる専門的訓練 ・筋力維持・転倒予防が目的 |
・1回あたり850円前後 |
| 認知症対応型通所介護 | ・軽度認知症の方向けデイサービス ・少人数で落ち着いた環境 ・認知症ケアに特化したプログラム |
・一般デイサービスと同程度 |
通所サービスを利用することで、入浴支援やリハビリの機会を確保できるだけでなく、スタッフやほかの利用者との交流で社会参加や気分転換にもつながります。要介護1の方にとって、通所サービスは心身の維持に役立ち、家族のレスパイト(休息)にもなる貴重な機会です。
宿泊するサービス
宿泊するサービスとしては、短期間施設に泊まって介護を受けるショートステイ(短期入所)があります。要介護1の方でも、家族が不在になるときや一時的に介護が難しいときに利用できます。
ショートステイは特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに連続して数日~数週間宿泊し、その間24時間体制の介護を受けるサービスです。要介護1の方でも利用条件を満たせばショートステイを利用可能です。費用は施設や利用日数によって変わりますが、1日あたりの自己負担額は利用料が650円程度で、そこに食費などが別途かかります。
利用中は入浴・食事・排泄などの介護を受けられるため、介護者の負担軽減や緊急時の預かり先として役立ちます。頻繁に利用する場合は費用もかさみますが、公的補助を活用しつつ無理のない範囲で使うとよいでしょう。
施設に入所・入居するサービス
施設に入所・入居するサービスとは、一定期間以上継続して高齢者施設で生活し介護を受ける形態です。要介護1の方は自宅生活が可能な状態ですが、場合によっては施設入居を検討することもあります。介護保険の枠組みで利用できる主な入所系サービスは下記のとおりです。
| 施設種別 | 要介護1での利用可否・特徴 |
|---|---|
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養) | ・原則要介護3以上が入所条件 ・要介護1は基本的に入所不可 ・やむをえない特例が認められる場合のみ例外あり |
| 介護老人保健施設(老健) | ・要介護1でも利用可能な場合あり ・在宅復帰を目的としたリハビリ施設 ・リハビリが必要な場合に検討される |
| 特定施設入居者生活介護 | ・介護付き有料老人ホームなどが該当 ・要介護1でも入居可能 ・住居費等は自己負担・介護サービス部分に介護保険が適用 |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | ・要支援2以上で認知症診断が必要 ・要介護1で認知症がある方は利用可 ・少人数・家庭的な共同生活 ・認知症ケアに特化 |
費用は施設によりますが、入居一時金が必要な場合や月額利用料が数万円~数十万円発生することもあり、加えて介護サービス利用料分がかかります。自宅生活に比べると費用負担は大きくなりますが、介護度が軽い方向けの施設も充実しているため、住環境や安心感を重視する方は検討するとよいでしょう。
福祉用具のレンタルや購入補助
要介護1の方は、介護保険を利用して福祉用具のレンタルや一部用品の購入補助を受けることもできます。適切な福祉用具を使うことで、自立度の維持や介護負担の軽減につながります。
| 支援内容 | 利用できる内容・ポイント | 費用の目安(自己負担1割) |
|---|---|---|
| 福祉用具貸与(レンタル) | ・歩行器、歩行補助杖(つえ) ・据え置き型/つっぱり型手すり ・段差解消用スロープ ・自動排泄処理装置 |
・月1万円分借りても自己負担約1,000円 |
| 特定福祉用具販売(購入補助) | ・ポータブルトイレ ・腰かけ便座 ・入浴用いす ・床ずれ防止用具 ・徘徊感知機器など |
・年間10万円まで対象 ・自己負担1割(上限1万円) |
| 住宅改修費 | ・手すりの取り付け ・段差解消(スロープ化) ・滑り防止床材への変更 ・浴室・玄関・廊下などが対象 ・転倒予防・生活動線の改善に有効 |
・工事費20万円まで対象 ・自己負担1割(上限2万円) |
福祉用具や住宅改修を活用する際は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、ご本人の状態に合ったものを選ぶことが大切です。レンタル費用も介護保険の支給限度額の範囲内で利用する形になるため、サービス利用と合わせて調整しながら無理なく導入しましょう。
参照:
『介護保険特定福祉用具購入費の支給』(江東区)
『介護保険住宅改修費の支給』(江東区)
要介護1で介護保険サービスを利用するまでの流れ

要介護1の認定を受けたからといって、自動的に介護サービスが開始するわけではありません。実際にサービスを利用するには、介護保険制度の手続きを踏んでいく必要があります。初めて介護保険を使う方は、以下の流れを押さえておきましょう。
- 要介護認定の申請
- 認定調査(訪問調査)
- 一次判定(コンピュータ判定)
- 二次判定(介護認定審査会による判定)
- 結果通知・認定証の受領
- ケアマネジャーの選定・契約
- ケアプラン(介護サービス計画)の作成
- サービス担当者会議・契約
- サービス利用開始
初めは戸惑うかもしれませんが、ケアマネジャーという専門家がつきますので、不明点は遠慮なく聞きながら進めましょう。
まとめ

要介護1では、訪問介護・看護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタル、住宅改修など幅広いサービスを利用できます。必要な部分だけ支援を取り入れ、自立を促すことで状態改善も期待できます。一方で転倒予防や住環境整備にも配慮し、無理のない生活を心がけましょう。ケアマネジャーと相談しながら、ご本人と家族双方が安心できる介護の形を整えていくことが大切です。




