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地域密着型介護老人福祉施設とは?ほかの介護施設との違いやサービス内容、利用条件を解説します

 公開日:2026/02/16
地域密着型介護老人福祉施設とは?ほかの介護施設との違いやサービス内容、利用条件を解説します

地域密着型介護老人福祉施設は、介護が必要な高齢の方が住み慣れた地域で長く安心して暮らせるように設けられた小規模な介護施設です。最近では小規模特養とも呼ばれ、定員29名以下という少人数制で家庭的なケアが受けられる点が特徴です。本記事では、この地域密着型介護老人福祉施設の概要と役割、ほかの介護施設との違い、提供されるサービス内容、施設の種類、そして利用条件と利用までの流れを解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

地域密着型介護老人福祉施設とは

地域密着型介護老人福祉施設とは

地域密着型介護老人福祉施設という言葉を初めて聞く方もいるかもしれません。本章では、この施設がどのようなものか、その概要と果たす役割について解説します。

地域密着型介護老人福祉施設の概要

地域密着型介護老人福祉施設は、小規模で地域に根ざした特別養護老人ホームです。入所定員が29名以下に制限された小さな特養で、施設が所在する同一市町村の高齢の方のみが入居できます。つまり、住民票がその施設のある自治体にある方だけが利用できる仕組みです。運営主体は社会福祉法人など公的あるいは非営利の団体が多く、公的施設として地域の介護インフラを支える存在です。

小規模ではありますが、提供する設備や介護サービス内容は通常の特養とほぼ同等です。個室とリビングを備えたユニットケア方式を採用している施設もあり、10人前後のユニットごとに家庭的な雰囲気のなかで生活できるよう工夫されています。このように、小さいながらも生活空間やケア体制は充実しており、高齢の方が安心して暮らせる環境が整えられています。

地域密着型介護老人福祉施設の役割

地域密着型介護老人福祉施設の最大の役割は、住み慣れた地域で最期まで生活を続けられるよう支援することです。従来の大規模施設では自宅から遠方に入所せざるをえないケースもありましたが、地域密着型施設であれば地元の近隣エリアで介護サービスを受けながら暮らし続けることが可能です。家族や地域住民との交流も保ちやすく、孤立感の軽減にもつながります。

また、市町村や居宅介護支援事業所、在宅サービス事業者、ほかの医療や福祉機関と密接に連携しながら運営することが求められており、地域全体で高齢の方を支えるネットワークの中核を担っています。入居者一人ひとりの意思と人格を尊重し、自立的な日常生活を営めるようユニットケアを通じて支援することで、可能な限りその人らしい暮らしの継続を目指しています。

さらに、地域密着型特養は家庭での介護が難しくなった方を受け入れることで、介護者である家族の負担軽減や不安解消にも寄与します。施設の生活相談員(ソーシャルワーカー)が中心となって入居者やその家族の相談に応じ、在宅復帰の可能性検討や介護方法の助言なども行い、家族を支える役割も果たしています。このように、地域密着型介護老人福祉施設は地域に根ざした小さな特養として、高齢の方と家族を地域ぐるみで支える重要な役割を担っているのです。

地域密着型介護老人福祉施設とほかの介護施設の違い

地域密着型介護老人福祉施設とほかの介護施設の違い

地域密着型介護老人福祉施設は、定員29名以下で施設所在地の市区町村住民のみが入所できる、小規模かつ地域限定型の特別養護老人ホームです。広域型特養が30名以上の大規模施設で居住地を問わず入所可能なのに対し、地域密着型は少人数で家庭的な環境が特徴で、職員の目が行き届きやすい点がメリットです。一方、定員が少ない分、入所待ちが生じやすい傾向があります。

また、介護老人保健施設(老健)はリハビリを通じた在宅復帰を目的とする施設で、入所期間は短期間です。これに対し、地域密着型特養は終身利用を前提とした長期生活施設で、重度要介護者の生活介護や看取りケアにも対応します。

そして、民間の有料老人ホームは入居地域の制限がなく、設備やサービスが充実している反面、入居一時金や月額費用が高額になりやすい施設です。しかし、地域密着型特養は介護保険施設のため初期費用が不要で、費用負担を抑えながら地元で暮らせる点が特徴です。

さらに、同じ地域密着型サービスであるグループホームは、認知症で要支援2以上の方が対象で、介護ニーズが軽度の方に対応します。これに対し、地域密着型特養は原則要介護3以上の重度者が対象で、認知症の有無を問いません

このように介護施設にはそれぞれ役割や対象者、費用体系に違いがあり、利用者の状態や目的によって適した施設が異なります。

地域密着型介護老人福祉施設で受けられるサービスの内容

地域密着型介護老人福祉施設で受けられるサービスの内容

地域密着型介護老人福祉施設では、入居者が安心かつ快適に生活できるよう、日常生活全般にわたる介護サービスが提供されます。その内容は基本的に通常の特別養護老人ホームと同様で、食事・入浴・排泄などの身体介助から機能訓練、健康管理、療養上の世話まで多岐にわたります。ここでは代表的なサービス項目について解説します。

日常生活の介助

食事・入浴・排泄など日常生活動作の介助が地域密着型特養の中心的なサービスです。入居者それぞれの身体状況に合わせて、介護職員がこれらの基本的な生活動作を丁寧にサポートします。食事介助では嚥下機能に応じた刻み食やミキサー食の提供、見守りや介助による安全な食事摂取を支援します。

入浴介助では機械浴槽なども活用しつつ清潔保持とリラックスを図り、プライバシーに配慮して安全に入浴できるよう介助します。排泄介助ではトイレ誘導やおむつ交換、排泄記録の管理などを通じて利用者の尊厳を守りつつ快適さに努めます。

このほか、着替え、整容、移動・歩行の付き添いといった日常生活上の世話全般も含まれます。少人数制の強みを生かして、利用者一人ひとりの生活リズムや好みに寄り添った個別ケアが提供される点も特徴です。

機能訓練

地域密着型特養では、専門職による機能訓練(リハビリテーション)も受けられます。多くの施設には理学療法士や作業療法士など機能訓練指導員が配置されており、入居者の心身機能の維持向上を図る訓練プログラムを実施しています。具体的には、歩行訓練・筋力向上訓練・関節可動域訓練などの身体的リハビリ、飲み込みをよくする嚥下体操や口腔ケア指導など、多方面から機能低下の防止に取り組みます。訓練は無理のない範囲で継続的に行われ、看護職員や介護職員とも連携しながら日常生活動作の維持改善に努めています。

健康管理

長期にわたり高齢の方が生活する特養では、健康管理と必要な医療対応も重要なサービスの一つです。施設には看護職員が配置され、日々のバイタルチェックや服薬管理、体調不良時の対応などを担っています。医師による定期往診や健康診断も実施され、入居者の健康状態を継続的に把握します。

糖尿病や高血圧など慢性疾患の管理、床ずれの予防・処置、胃ろうや酸素療法といった医療的ケアが必要な方への対応も、施設の受け入れ範囲で行われます。そのほか、インフルエンザ予防接種の集団実施や感染症予防対策など、公衆衛生面での配慮も重視されています。

生活相談・家族支援

地域密着型介護老人福祉施設には、生活相談員が配置されており、入居者や家族からの相談に幅広く対応しています。生活相談員は、入居前後の手続きや調整の窓口となり、生活環境やケアプランについて家族の希望を聞き取るほか、入退所の手続き、苦情や困りごとの対応、ケアマネジャーや関係機関との連絡調整などを担います。

また、入居者の思いや希望をくみ取り、他職種と連携しながらその人らしい生活が送れるよう支援する役割も重要です。家族にとっても身近で相談しやすい存在であり、介護に関する不安や疑問に応じたり、日々の様子を伝えたりすることで安心感につなげます。入居者ご本人だけでなく、家族も含めて支える体制が、地域に根ざした施設としての大きな特徴といえるでしょう。

地域密着型介護老人福祉施設の種類

地域密着型介護老人福祉施設の種類

地域密着型介護老人福祉施設といっても、運営形態にいくつかの種類があります。施設の設置母体や連携形態の違いによって、主に単独型やサテライト型、併設型の3つに分けられます。

単独型

単独型とは、その名のとおり本体となる大規模施設を持たずに単独で運営されている地域密着型特養です。定員29名以下の小規模な施設ではありますが、広域型特養と同等の設備やサービスを自前で提供している点が特徴です。本体施設を持たない分、職員の配置基準や設備を一から整える必要があり運営負担はありますが、その代わりに地域のニーズにきめ細かく応えた独自運営ができます。

また、単独型の施設には、短期入所(ショートステイ)やデイサービス(通所介護)、あるいは小規模多機能型居宅介護などを併設しているところがあります。併設のショートステイを地域住民が一時利用したり、デイサービスを地域の方に提供したりすることで、施設は地域の介護拠点としても機能します。こうした多角的なサービス展開により、入居施設としてだけでなく地域に開かれた福祉センターのような役割を果たす単独型特養もあります。

サテライト型

サテライト型とは、郊外などにある広域型特養や老健など本体施設に付随し、本体と連携しながら別の場所で運営される地域密着型特養です。住み慣れた地域で生活を続けられるよう、小規模施設を地域内に設置する目的で整備されました。

サテライト型は、本体と人員や設備面で密接に連携することを前提に、医師や相談員の配置、厨房設備などについて一部基準が緩和されている点が特徴です。本体の医師や専門職が支援に入ったり、緊急時にスタッフを派遣したりすることで、小規模でも安定したケア体制が維持されます。

本体施設として認められるのは、広域型特養や単独型特養、介護老人保健施設、病院・診療所などに限られます。そのため、サテライト型は本体施設の支援を前提とした運営形態であり、独立性は単独型より低いものの、大規模施設のノウハウや人材を生かしながら地域密着型サービスを展開できる点が大きな利点です。地域の受け皿を広げる仕組みとして、今後も重要な役割を担うといえるでしょう。

併設型

併設型とは、地域密着型介護老人福祉施設がほかの事業所と同一施設内または同一敷地内に併設されている形態を指します。併設型の地域密着型特養は、物理的にほかのサービスと隣接しているため、設備や人員を一部共有したり密接に連携した運営がしやすいという特徴があります。

併設型の場合でも、地域密着型特養としての定員や対象者要件は変わりません。ただし、ほかのサービスとの併設により、地域との接点が増えたり、在宅支援との連携が強まったりすることがあります。一方で、建物規模が大きくなりやすいため、小規模で家庭的というイメージが薄れないよう工夫が必要です。

このように地域密着型特養は単独型やサテライト型、併設型それぞれに特色がありますが、いずれも地域で高齢の方を支えるという理念は共通しています。運営形態の違いはありますが、小規模で地域に根差した介護を提供するという点で目指すところは同じです。

地域密着型介護老人福祉施設の利用条件と利用方法

地域密着型介護老人福祉施設の利用条件と利用方法

さいごに、地域密着型介護老人福祉施設を利用するための利用条件と、実際に入所を開始するまでの手続きの流れについて解説します。

利用対象者

地域密着型介護老人福祉施設を利用できるのは、介護保険で要介護認定を受けた高齢の方で、原則として要介護3以上(要介護3~5)の方が対象です。そのため、要介護1・2の方は原則入所できません。

ただし、認知症による著しい生活困難がある場合や、知的あるいは精神障害を伴い日常生活に大きな支障がある場合などの特別な事情がある場合には、市町村の判断で要介護1・2でも特例的に入所が認められることがあります。

また、地域密着型特養は施設所在地と同じ市町村に住民票があることが条件です。広域型特養とは異なり、住所地特例制度は適用されないため、原則として地元住民のみが入所対象です。

年齢は基本的に65歳以上が対象ですが、40~64歳でも特定疾病により要介護認定を受けている場合は入所可能です。なお、医療的ケアの対応範囲は施設ごとに異なり、重度の医療依存がある場合や感染症がある場合は受け入れが難しいこともあるため、事前の確認が必要です。

利用開始までの流れ

地域密着型介護老人福祉施設を利用するには、入所の申し込みを行い、選考を経てから実際に入居します。大まかな手続きの流れは以下のとおりです。

  • 施設の問い合わせと見学
  • 施設入所申し込みと必要書類の提出
  • 入所の選考(審査)
  • 入所の打診と面談
  • 契約後に入所する

地域や施設によって手順は多少異なる場合があります。申し込みから入所決定まではどうしても時間がかかることもあるため、早め早めの情報収集と準備を心がけることが大切です。また、複数の施設に申し込んでおくと入所の可能性が広がります。地元の地域密着型特養だけでなく、近隣自治体の広域型特養も視野に入れるなど柔軟に検討するとよいでしょう。

まとめ

まとめ

地域密着型特養の利用を検討する際は、まずお住まいの自治体にどのような施設があるか情報収集し、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。施設見学を通じて雰囲気やケア内容を確認し、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで申し込みを行うことが大切です。地域密着型と広域型、さらにはほかの介護施設それぞれの特徴を理解し、ご本人とご家族の希望に合った介護の場を選択しましょう。

この記事の監修社会福祉士