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療養介護の対象者は?サービス内容や手続き方法、費用の目安を解説します

 公開日:2026/02/12
療養介護の対象者は?サービス内容や手続き方法、費用の目安を解説します

療養介護は、重度の障害や長期的な医療的ケアが必要な方のための支援制度です。医療と介護の両面から日常生活を支えることを目的としており、入浴や食事の介助に加え、医療機関との連携による健康管理も行われます。どのような方が対象となるのか、利用までの手続きや費用の目安はどうなっているのかなどの疑問を持つ方も少なくないです。本記事は、療養介護の概要から利用の流れまでをわかりやすく解説します。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

療養介護の基礎知識

療養介護の基礎知識

療養介護とは何ですか?

療養介護とは、重度の肢体不自由や重い知的障害などがあり、長期にわたって医療的ケアと日常生活全般の介護が同時に必要な方を対象とした障害福祉サービスです。医師や看護師による医学的管理のもとで、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアに加えて、食事や入浴、排泄などの介助や生活支援を一体的に行います。

一般的な入院治療が病気を治すことを主な目的とするのに対し、療養介護は、病状が長期にわたり大きな改善が見込みにくい方に対して、その方らしく暮らせる環境を整えることを重視している点が特徴です。よって、医療と介護の両面から生活を支える仕組みが療養介護です。

参照:『介護関係情報』(日本認知症学会)

療養介護と入院の違いを教えてください

療養介護と入院の違いは、目的と生活支援の手厚さにあります。入院は、病気やけがの治療が主な目的で、検査や手術、薬物療法など医療行為が中心です。一方、療養介護は、重度の障害や長期的な医療的ケアが必要な方に対し、医療+介護を組み合わせて、その方らしい生活を長期的に支えることを目的としています。

そのため、医師や看護師による医療的ケアに加えて、食事・排泄・入浴などの日常生活全般の介助や機能訓練、相談支援などが一体的に提供されます。また、入院は病状の改善が見込まれる一定期間の利用が基本ですが、療養介護は長期にわたり継続利用されることが少なくない点も異なります。

参照:『療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫』(厚生労働省)

療養介護ではどのようなサービスが受けられますか?

医療的ケアと日常生活の支援を一体的に受けることができます。具体的には、医師や看護師によるたんの吸引や経管栄養、投薬管理などの医療的ケアに加えて、食事や入浴、排泄、着替えなどの介助が提供されます。また、理学療法士や作業療法士などによる機能訓練やリハビリ、レクリエーションを通じて心身の状態維持・向上を図る支援も受けられます。さらに、生活や療養に関する相談支援、家族への助言・支援なども行われます。重度の障害や長期療養が必要な方が、継続的に生活できるようトータルでサポートしてくれるサービスです。

療養介護の対象者と利用手続き

療養介護の対象者と利用手続き

療養介護を利用できる対象者を教えてください

療養介護を利用できるのは、病院などに長期入院しており、医療的ケアと常時の介護が同時に必要な重度の障害のある方です。具体的には、以下のような方などが対象とされています。
  • 障害支援区分6に該当し、気管切開に伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っている方
  • 障害支援区分5以上に該当している方で以下のいずれかに該当する方
    1)重症心身障害または進行性筋萎縮症患者さん
    2)医療的ケアの判定スコアが16点以上の方
    3)障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目など(12項目)の合計点数が10点以上の方であって、医療的ケアの判定スコアが8点以上の方
    4)遷延性意識障害者であって、医療的ケアの判定スコアが8点以上の方

ご自身やご家族が対象になるかどうかわからない方は、市区町村などの窓口に相談してみましょう。 参照:
『障害福祉サービスの内容』(厚生労働省)
『療養介護障害者福祉』(独立行政法人福祉医療機構)

療養介護に関する相談窓口はありますか?

相談できる窓口はいくつかあります。まず、公的な窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉担当課福祉事務所で、対象となるかどうかや手続き方法、必要な書類などを相談できます。

すでに病院に長期入院している場合は、主治医や病院内の医療ソーシャルワーカーに相談すると、療養介護が適しているかの判断や、具体的な申請先や手続きの流れを教えてもらえます。

さらに、地域の相談支援事業所(障害者相談支援)や、障害福祉サービスに詳しい事業所に問い合わせることで、利用できるサービスや事業所選び、家族としての関わり方なども含め、総合的なアドバイスを受けることができます。

参照:『障害のある人に対する相談支援について』(厚生労働省)

療養介護を利用するための手続きを教えてください

基本的に障害福祉サービス受給者証の取得が必要で、市区町村への申請から始まります。お住まいの市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に相談し、療養介護を利用したい意思を伝えます。次に市区町村窓口障害福祉サービス利用の申請を行い、医師の診断書や意見書、障害者手帳などを提出します。そして、障害支援区分資格のための調査や審査会の判定が行われ、区分5〜6など一定以上と認定されると、療養介護を含むサービスの支給決定が行われます。 支給決定後、障害福祉サービス受給者証(療養介護医療受給者証など)が交付されるので、希望する療養介護対応の病院や事業所と契約し、入院・利用ができます。 参照:『療養介護の利用について』(独立行政法人国立病院機構とくしま医療センター)
『障害福祉サービスの内容』(厚生労働省)

療養介護の費用目安と負担を軽減する方法

療養介護の費用目安と負担を軽減する方法

療養介護にかかる費用の目安を教えてください

費用の目安はサービス利用料の自己負担と食費・日用品などの実費の合計です。サービス利用料は障害福祉サービスとして公費負担があり、原則1割負担ですが、世帯の所得に応じて月ごとの負担上限月額が設定され、それ以上は支払わなくてよい仕組みです。費用の目安は、生活保護世帯0円、低所得世帯1万5,000~2万4,600円、一般世帯3万7,200円です。

これとは別に、入院中の食費や日用品費は実費負担となり、例えば食費は減額認定がない場合で月4万5,000円前後、減額認定を受けると1万6,000円台まで下がるケースもあります。こうした制度を踏まえると、自己負担は上限月額と食費・日用品などの実費を合計した金額が大まかな目安です。

参照:
『障害者の利用者負担』(厚生労働省)
『療養介護の利用について』(独立行政法人国立病院機構とくしま医療センター)

療養介護の利用料の支払いが難しい場合はどうすればよいですか?

いくつかの公的制度の活用で負担を軽減できる可能性があります。まず、障害福祉サービスには世帯の所得に応じた利用者負担上限月額が設けられており、生活保護世帯や住民税非課税世帯では自己負担が0円になる場合もあります。

また、療養介護には医療費と食費を含めて個別に負担限度額を引き下げる医療型の個別減免制度があり、低所得の方は、月々の負担額を抑え、一定額以上がかからないように調整されます。さらに、重度心身障害者医療費助成など、医療費の自己負担分を助成する自治体独自の制度もあります。支払いが心配な場合は、市区町村の障害福祉課や福祉事務所に早めに相談するとよいでしょう。

参照:『障害者の利用者負担』(厚生労働省)

療養介護の利用料は医療費控除の対象になりますか?

国税庁の取扱いでは、障害福祉サービスのうち療養介護は医療費控除の対象サービスに含まれており、自己負担した利用料の全額が医療費控除の対象となると整理されています。これは、療養介護が医師などの医学的管理のもとで行われる医療的ケアと療養上の世話を一体的に提供するサービスであり、治療または療養に必要な費用と位置付けられているためです。

実際に医療費控除を受けるには、その年の1月1日〜12月31日に支払った医療費(療養介護の自己負担分を含む)の合計が一定額を超えた場合に、確定申告で申請する必要があります。なお、税制や個別の適用判断は状況により異なるため、国税庁の新しい情報や税務署、税理士に確認するようにしましょう。

参照:
『No.1122医療費控除の対象となる医療費』(国税庁)
『No.1125医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価』(国税庁)

編集部まとめ

編集部まとめ
療養介護は、重度の障害があり長期的な医療的ケアと常時の介護が同時に必要な原則として18歳以上の方を対象とした入院型の障害福祉サービスです。医師や看護師による医療的ケアと、食事や入浴、排泄などの日常生活援助、機能訓練やリハビリ、相談支援などを一体的に受けられます。

療養介護サービスを利用するためには、市区町村の障害福祉担当窓口への申請と障害福祉サービス受給者証の取得が必要です。障害支援区分の認定を経て支給決定が行われます。費用は原則1割負担ですが、所得に応じた月額上限や各種助成制度により負担軽減も可能です。

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