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介護者が知っておきたい車椅子の使い方|シーン別に介助方法と注意点を解説します

 公開日:2026/02/08
介護者が知っておきたい車椅子の使い方|シーン別に介助方法と注意点を解説します

介護の現場で車椅子を使う機会は多いですが、正しく扱えているか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。車椅子は移動をサポートする心強い道具ですが、使い方を誤れば利用者の安全を脅かす事故につながることもあります。本記事では、介護で使う車椅子の基礎知識から基本的な介助方法、そして事故を防ぐ注意点まで、シーン別に分けて解説します。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

介護で使う車椅子の基礎知識と使用前の準備

介護で使う車椅子の基礎知識と使用前の準備

介護用車椅子の主な部位の名前と機能を教えてください

車椅子は多くの部品から構成され、それぞれが利用者の安全と快適性を支える重要な役割を担っています。 例えば、後方には介助者が押すための手押しハンドルがあり、その下部には自転車のブレーキのように握って操作できる介助ブレーキが付いています。利用者が座る座シートと寄りかかる背もたれ、両側のアームサポート(肘かけ)は腕の支えや立ち上がり時の手すりの代わりになります。また、衣服の巻き込みを防ぐサイドガード、足を乗せるフットサポートと脚を支えるレッグサポート、方向転換に使う前輪のキャスターと移動を支える後輪など、各部位が安全で快適な走行のために設計されています。

介護で車椅子を使い始める前に点検をする必要がありますか?

はい、使用前には車椅子の状態を点検しましょう。特に、ブレーキが正常に作動するか、フレームやタイヤに破損や緩みがないかなど各パーツの動作確認が重要です。事前に不具合を見つけて対処しておけば、走行中の部品故障による事故を防ぐことができます。車椅子は日常的に使われるものなので、定期的な点検整備を行い、介助に臨むようにしましょう。

介護用車椅子を使用する際に必要なアイテムはありますか?

利用者の状態に応じて、車椅子用の付属品を活用すると安全性と快適性が向上します。例えば、長時間座っているときの体圧分散クッションは床ずれ防止に有効ですし、体幹が不安定な方にはシートベルトを追加して転落やずり落ちを防止できます。そのほかにも、杖を使う方なら杖立て、車椅子が後方に転倒しにくくなる転倒防止バー、頭部を支えるヘッドサポート、介助者がブレーキを延長操作できるブレーキ延長レバー、手で漕ぐとき滑りにくいコーティングハンドリムなどがあります。これらの付属品は介護保険のレンタルにも含まれるため、必要に応じて活用し、利用者に合った車椅子環境を整えましょう。

介護者向け|車椅子の基本的な使い方

介護者向け|車椅子の基本的な使い方

車椅子の押し方を教えてください

車椅子を押す際は基本姿勢と速度管理が大切です。介助者は車椅子の後ろに真っ直ぐ立ち、両手でハンドグリップ(手押しハンドル)をしっかり握ります。まず利用者に「動かしますね」など声をかけ、ゆっくりと押し始めましょう。進行方向や左右を確認し、特に足元のフットレストが段差や障害物に引っかからないよう注意します。歩く速度は利用者が怖がらない速度を心がけ、地面の凸凹や傾きで車椅子が傾かないよう慎重に進みます。急な方向転換や急停止は避け、滑らかに操作することで利用者の安心感にもつながります。

車椅子でブレーキをかけることはできますか?

はい、車椅子にはブレーキ機能があります。手元の介助ブレーキ付きの車椅子なら自転車のようにレバーを握って減速できますし、標準的な車椅子にも駐車ブレーキ(ロックブレーキ)が左右の車輪に備わっています。駐車ブレーキはレバーを倒して後輪を固定するもので、利用者が乗り降りする際や停止時には左右ともかけましょう。特に、少しの停止でも手を離すときは両輪をロックします。勾配のある場所ではブレーキを怠ると車椅子が動き出して大事故につながるおそれがあります。正しい使い方としては、停止時に駐車ブレーキでしっかり固定し、再出発時に解除します。なお、下り坂でスピードを抑えたい場合も、介助ブレーキやタイヤへの手押しによる減速操作で調整しましょう。

車椅子で坂道を上り下りする際はどうすればよいですか?

坂道の介助は、上り坂と下り坂で方法が異なります。

上り坂では、介助者はハンドルをしっかり握り、身体をやや前傾させ、一歩ずつゆっくり押し上げます。無理せず、手に負えないと感じたら一度停止し、後退時は介助ブレーキで速度を調節しながら安全に下ります。体格差が大きい場合は特に注意が必要です。

一方で、下り坂は、基本的に後ろ向きで降ります。介助ブレーキを握り、速度を抑えながらゆっくり後退しましょう。勾配が緩やかな場合は前向きでも可能ですが、車椅子が走り出ないように少し引くような姿勢で進みます。利用者が前につんのめらないよう、必要に応じて角度を保ちます。特に下り坂は転倒および転落のリスクがあるため、安全を最優先し、必要であればほかの介助者に協力を求めましょう。

車椅子で階段を昇降する方法を教えてください

階段での車椅子移動はとても危険で、基本的にはスロープやエレベーターの利用を検討すべきです。それでもどうしても階段を昇降しなければならない場合は、一人で介助しないでください。最低でも3~4人の介助者で車椅子の前後左右を支え、安全を確保しながら行います。具体的には、昇る際は前輪を持ち上げて段差に乗せ、後輪を後方から複数人で押し上げます。降りる際は車椅子を後ろ向きにし、後方の介助者が角度を保ちながらゆっくり後退して降ろします。このとき利用者は後ろ向きで降りる形になるため大きな不安を感じます。声がけを行い、「ゆっくり降りますね、大丈夫ですよ」と安心させながら段差を下りましょう。

車椅子介助の注意点

車椅子介助の注意点

車椅子を使った介護で発生しやすい事故を教えてください

車椅子介助中に起こりやすい事故には、主に転倒転落が挙げられます。典型的な事例としては、ブレーキをかけ忘れたまま利用者が立ち上がってしまい車椅子が動いて転倒する事故、段差に前輪が引っかかって前方に車椅子ごとつんのめる事故などがあります。 また、意外と見逃されがちなのがフットレスト周りの事故です。利用者の足がフットサポートから外れて地面に引きずられたり、衣服やカバンのひもが車輪に巻き込まれたりするケースもあります。移乗動作中にバランスを崩して転倒するケースもあり、高齢の方は骨折のリスクも高いです。

車椅子介助による事故を防ぐための注意点はありますか?

はい、いくつかのポイントを押さえることで事故のリスクを減らせます。車椅子使用時の事故防止には、以下の点が重要です。
  • ブレーキ操作の徹底
  • 段差、傾斜、障害物の事前確認
  • 利用者への声がけと姿勢確認
  • 定期的な車椅子の点検と整備
  • 後部に重い荷物をかけすぎないよう注意

これらの点に気を付けることで、車椅子介助による事故を未然に防ぐことができます。

使い方によって車椅子が壊れることはありますか?

適切に使えば簡単に壊れるものではありませんが、誤った使用やメンテナンス不足によって故障や破損が生じる可能性はあります。

例えば、段差越えの際に無理にガタガタと衝撃を与えたり、自動車への積み下ろし時に車椅子を落としてしまったりするとフレームに亀裂が入ることがあります。また、長年の使用でボルトやナットが緩んだまま放置されると、その部分から部品が外れて走行中に破損するケースもあります。

こうした事態を防ぐためにも、日頃からネジの緩みを締め直したり、ブレーキやタイヤの状態をチェックしたりと、点検整備を怠らないことが大切です。適切な使い方とこまめな手入れさえしていれば、車椅子は長期間にわたって安全にお使いいただけます。

編集部まとめ

編集部まとめ

車椅子は介護の現場で利用者の行動範囲を広げてくれる大切な道具です。最初は操作に不安を感じるかもしれませんが、正しい知識とコツを身につければ安全に扱えるようになります。ぜひ本記事で解説した内容を参考にして、日々の介護に役立ててください。車椅子介助では利用者の安心と安全が何よりも重要です。常に利用者の表情や反応に気を配り、無理のない速度や方法で介助しましょう。車椅子を上手に使いこなせれば、介助者にとっても移動や介護の負担が軽減され、利用者にとっても快適で自由な移動が可能です。安全第一で車椅子を活用し、介護する方とされる方双方にとってよりよい生活を送っていきましょう。

この記事の監修社会福祉士