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自宅介護でできる褥瘡(床ずれ)予防法|役立つ介護用品や体位交換のコツ、注意点を解説します

 公開日:2026/02/05
自宅介護でできる褥瘡(床ずれ)予防法|役立つ介護用品や体位交換のコツ、注意点を解説します

褥瘡は、長い時間同じ姿勢が続き、おしりやかかとなど骨が近い部分に圧力がかかり続けることで皮膚やその下の組織の血流が低下し、傷ついてしまう状態を指します。寝たきりや座った姿勢が中心の生活は、皮膚が弱りやすくわずかな刺激でも損傷につながることがあります。褥瘡は一度できると治りにくく、感染や痛みなどの負担が加わり、生活の質に大きく影響します。そのため、早い段階から予防を意識したケアを行うことが大切です。

本記事では、褥瘡の仕組みや原因、自宅で行える予防の工夫や役立つ介護用品について解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

褥瘡(じょくそう)の概要

褥瘡(じょくそう)の概要

褥瘡とは何ですか?

褥瘡とは、皮膚とその下にある組織が、一定の圧力によって血流が滞り、損傷を受けた状態を指します。おしりやかかと、肩甲骨など骨が近い部分は圧力が集中しやすく、血流が阻害されると細胞に酸素が届きにくくなり、組織が傷つきます。さらに、皮膚の抵抗力が弱っている場合には刺激に影響されやすく、損傷が広がることがあります。褥瘡は浅い傷として始まっても、圧力が続くと深部にまで及ぶことがあり、皮膚の変化として赤み、水疱、潰れなど多様な形で現れます。

褥瘡ができる原因を教えてください

褥瘡の主な原因は、身体の同じ部分に圧力が継続して加わることで血流が低下することです。皮膚が骨と接する部位ではわずかな体重でも血管が圧迫されやすく、時間の経過とともに組織障害につながります。また、姿勢がずれる際に働くずれや、皮膚がこすれることで発生する摩擦も組織損傷の一因です。

加えて、汗や尿などによる湿潤は皮膚を軟らかくし、傷つきやすい状態を招きます。栄養状態が不十分で皮膚の回復力が低下している場合や、筋力低下などで自力で体勢を変えにくい状況も、褥瘡の発生を助長します。

褥瘡を放置するとどうなりますか?

褥瘡をそのままにすると、皮膚の表層だけでなく深い層にまで傷が進行することがあります。初期の段階では赤みや軽度の損傷にとどまりますが、圧力が続いた場合には皮膚が破れ、脂肪層や筋肉に達する深い損傷へと進行します。

さらに、組織が壊死することで黒く硬い部分が生じる場合があり、周囲へ傷が広がることがあります。損傷が深くなるほど治癒には時間を要し、細菌が入り込むと感染を起こし、炎症や悪臭、排膿を伴うこともあります。褥瘡は進行度に段階があり、深さや範囲によって状態が大きく異なりますが、放置されればされるほど重症化する可能性を高めます。

自宅介護で褥瘡を予防するコツと注意点

自宅介護で褥瘡を予防するコツと注意点

褥瘡を予防するためにできることを教えてください

褥瘡を防ぐためには、皮膚にかかる圧力を減らし、血流を保つ工夫が欠かせません。同じ姿勢が続くと、おしりやかかとなど骨があたりやすい部分に負担がかかりやすいため、姿勢をこまめに変えましょう。また、皮膚が湿った状態や汚れた状態は傷が生じやすくなるため、排泄後の清潔保持や乾燥と湿潤のバランスを整えたスキンケアも大切です。皮膚にわずかな赤みが出た段階で気付けるよう、日々の観察を習慣にしておくと予防につながります。

体位交換をスムーズに行う方法と適切な頻度を教えてください

体位交換には、圧力を広い面に分散できる30度側臥位などの方法があります。クッションを活用し、広い接触面で安定して姿勢を保てるように整えます。摩擦やずれが生じないよう、ゆっくりと動かし、寝衣のしわを伸ばすなど細かな調整も役立ちます。頻度については、基本的に2時間を超えない範囲で行うことが推奨されています。粘弾性フォームマットレスや二層式エアマットレスなどの体圧分散寝具を使用している場合には、4時間を超えない範囲での調整が可能とされています。統一したケアを行う工夫として、体位変換スケジュールを作成する方法もあります。

体位交換やポジショニングを行う際に介護者の負担を軽減する方法はありますか?

体位交換は2人で行うと安定しやすく、摩擦やずれも減らせます。1人で行う場合は、身体の一部ずつを少しずつ移動させる方法があります。また、スライディングシートなど滑りやすい用具を使用すると、皮膚への摩擦を減らしながら姿勢を整えやすくなり、介護者の身体的負担も軽くできます。無理な姿勢で持ち上げるのではなく、安定した体勢でゆっくり支えることが大切です。

褥瘡を予防するために気を付けることを教えてください

皮膚の清潔保持とスキンケアは重要で、特に排泄部位の湿潤は皮膚を弱くしやすいため、洗浄後に皮膚保護剤を使用することがすすめられています。高齢の方は骨の突出や皮膚の薄さにより摩擦の影響を受けやすいため、予防のためのドレッシング材を活用する方法もあります。姿勢が崩れると圧力が集中しやすくなるため、安定した姿勢で過ごせる環境を整えることが褥瘡予防につながります。

褥瘡の予防に役立つ介護用品

褥瘡の予防に役立つ介護用品

スキンケアに必要なアイテムや保湿剤を教えてください

褥瘡予防は、皮膚を清潔に保ち、乾燥や摩擦から守ることが欠かせません。尿や便が付着した状態が続くと湿潤によって皮膚が弱くなるため、洗浄の際はこすらず、泡立てた石けんでやさしく洗い、十分に洗い流しましょう。洗浄後は皮膚の乾燥を防ぐために保湿を行うことが大切で、ワセリンのように刺激が少なく皮膚を覆って保護できるものを使います。

高齢の方は皮膚が乾きやすいため、このような保護剤を取り入れて日頃から皮膚のやわらかさを保つことが褥瘡予防に役立ちます。摩擦を受けやすい部位には予防目的でドレッシング材を貼る方法もあり、皮膚の負担を軽くします。赤みが続く場合や皮膚の状態が気になるときは、皮膚科などで相談しましょう。

体位交換に役立つ介護用品はありますか?

体位交換は、皮膚への摩擦やずれを減らすことが重要です。1人で姿勢を調整する場合、身体を少しずつ移動する方法に加えて、滑りやすいスライディングシートを用いると皮膚への負担を軽くできます。また、30度側臥位などの姿勢を整える際にはクッション類が役立ち、広い接触面で身体を支えることができます。これらの用具を活用することで、介護者の負担軽減にもつながり、褥瘡を防ぐためのケアが継続しやすくなります。

褥瘡予防に有効な寝具を教えてください

体圧分散寝具は、突出部にかかる圧力を下げる目的で使用されます。沈み込みや包み込みによって身体の接触面を増やすタイプと、接触部位を変えることで圧力を下げるタイプがあり、褥瘡の発生率を低下させることが可能とされています。自力で姿勢を変えることが難しい方には、圧切替型エアマットレスを使用する方法が推奨されています。高齢の方は骨の突出や皮膚のたるみがみられることがあり、二層式など複数の層を備えたエアマットレスが適している場合もあります。

ポジショニングに必要な介護用品はありますか?

ポジショニングは、姿勢が安定しないと圧力が偏りやすくなります。クッション類やドレッシング材など、身体を支えたり摩擦を抑えたりする用具を活用することで、姿勢を安定させながら皮膚への負担を軽くできます。また、体圧分散寝具と組み合わせることで、長時間の圧力集中を避けやすくなります。皮膚の状態や動ける範囲に応じて用具を選ぶことが、褥瘡予防における重要なポイントです。

編集部まとめ

編集部まとめ

褥瘡は、皮膚に加わる圧力や摩擦、ずれなどが重なることで血流が低下し、皮膚や組織が損傷してしまう状態です。皮膚の抵抗力が弱いと小さな刺激でも傷が広がりやすく、放置すると深い損傷へ進むことがあります。予防は、姿勢をこまめに変え、圧力を分散させることが基本です。また、皮膚を清潔に保ち、乾燥や湿り気のバランスを整えることも欠かせません。寝具や体位調整の補助となる用具を活用し、負担が集中しにくい環境を整えることで褥瘡の発生を防ぎやすくなります。日々の観察と積み重ねが予防の土台となるため、小さな変化にも気付きながらケアを続けることが大切です。

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