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療養介護とは?対象者やサービス内容、入院との違いを解説します

 公開日:2026/02/01
療養介護とは?対象者やサービス内容、入院との違いを解説します

ご家族の介護を続けるなかで、ご本人に医療的ケアが必要になったり、医師の管理が欠かせない状態が長く続いたりすると、在宅や一般的な施設だけでは支えきれない場面が出てきます。そんなときに検討される支援の一つが、障害福祉サービスの療養介護です。

療養介護は、病院で医療の管理を受けながら、日常生活の介助や生活の支援を一体的に受ける制度です。一方で、言葉の印象だけで入院と同じものだと思い込んでしまうと、申し込み先や費用の考え方、必要書類が想像とずれて戸惑う場合があります。

この記事では、介護のご家族が判断しやすいように、療養介護の基本、対象となる条件、受けられる支援、入院との違い、利用開始までの流れと費用の考え方を、順番に整理します。制度は市区町村の判断や運用で細部が変わる場合があるため、最後に相談先の考え方もお伝えします。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

療養介護の基本

療養介護の基本

療養介護がどんな制度で、何を目的に、どのような方が対象になるのかを整理します。

療養介護とは

療養介護は、障害福祉サービスの一つで、病院で医師による医学的な管理を受けながら、機能訓練や療養上の管理、看護、介護、日常生活上の世話を受ける仕組みです。医療が欠かせない状態の方が、医療の枠組みだけでなく、生活面の支援も含めて継続して支えられるように設計されています。

ここで大切なのは、療養介護が医療だけの制度ではなく、生活を成り立たせるための支援を組み合わせた制度だという点です。病院という場所で行われますが、目的は治療そのものに限られず、日常生活を維持するための介助や、状態に応じた支援を行うことも含まれます。

療養介護の目的

療養介護の目的は、医療的ケアが欠かせない方が、医師の管理のもとで必要な医療と看護を受けながら、日常生活の介助や生活上の支援を受け、生活を継続できるようにすることです。医療が中心に見えますが、福祉の視点としては、生活の質を保ち、状態の悪化を防ぐ工夫や、意思決定の支援も含めて支えることが求められます。

療養介護の対象者

療養介護の対象は、医療的ケアが欠かせず、障害支援区分が一定以上であることが基本になります。制度上の代表的な対象としては、障害支援区分が区分6で、気管切開を行っており、人工呼吸器による呼吸管理を受けている方が挙げられます。

障害支援区分は、障害福祉サービスの必要性を判断するための区分で、認定調査などをもとに市区町村が決定します。介護保険の要介護度と似た仕組みですが、障害特性や支援の必要性を踏まえて評価されます。療養介護は、区分5や区分6といった支援ニーズが大きい区分が要件に含まれるため、まずは障害支援区分の認定や見直しが手続きの入口になることが多いです。

また、区分5以上で、重症心身障害や進行性筋萎縮症などの状態に該当し、医療的ケアの判定スコアが一定以上である場合も対象に含まれます。加えて、行動関連項目の点数が一定以上で医療的ケアが必要な場合、遷延性意識障害があり医療的ケアが必要な場合なども対象に含まれます。

最終的に対象かどうかは市区町村が判断するため、ご家族が言葉だけで当てはめて結論を出すのではなく、窓口で状態を説明し、必要な手続きを進めることが現実的です。

療養介護を受けられる施設

療養介護を受けられる施設

療養介護は病院で行われます。療養介護の事業を行う事業所には、人員や設備、運営に関する基準があり、管理者は医師であることが求められます。また、設備として病院として必要な設備に加えて、運営上必要な設備を備えることが求められます。
ご家族の目線では、療養介護はどこの病院でも受けられるわけではなく、受け入れ体制が整い、療養介護の提供ができる病院を探す必要があると理解しておくとよいでしょう。

療養病院の代表的な探し方は下記のとおりです。

  • 市区町村の障害福祉窓口に相談して、利用可能な事業所情報や紹介先を確認する
  • 病院の医療ソーシャルワーカーに相談して受け入れ先や制度手続きを整理する
  • 相談支援専門員に依頼してサービス等利用計画の作成も含めて伴走してもらう

最初の相談先は一つに絞る必要はありません。医療と福祉の両方が絡むため、医療側と福祉側で情報が分かれる場合があります。重複に見えても、同じ説明をそれぞれに伝えることで話が早く進む場合もあります。

療養介護で受けられるサービス内容

療養介護で受けられるサービス内容

介護サービスと医療サービス、生活の支援の3つの視点で受けられる内容を具体的に確認します。

介護サービス

療養介護の介護サービスは、医師の医学的管理の下で行われる点が特徴です。食事、排泄、清潔保持、更衣、体位変換など、日常生活の介助が中心になりますが、医療的ケアが関わることで手技や観察がより丁寧に求められます。

例えば、呼吸状態や痰の状況、誤嚥のリスク、褥瘡の兆候などを踏まえながら介助が行われます。

介助は単に手を貸すことではなく、状態悪化を防ぎ、生活を継続するための支援として行われます。ご家族が在宅で担っていたケアの一部が専門職に移ることで、介護の緊張が軽くなる場合があります。

医療サービス

療養介護は病院で行われるため、診察や処方、検査、看護、医療的ケアの実施など、医療の枠組みのなかで必要な対応が行われます。

人工呼吸器の管理、気管切開の処置、吸引、酸素療法、栄養管理などが必要な方は、日常のケアと医療の管理が切り離せないため、病院で一体的に支援を受けられることが療養介護の大きな特徴です。

医療的ケアは、状態により必要な項目と頻度が大きく変わります。ご家族としては、何がどのくらい必要かを正確に共有し、支援計画や看護計画に反映してもらうことが重要です。

生活の支援

療養介護では、日常生活上の世話がサービス内容に含まれます。清潔保持や衣類の管理、睡眠環境の調整、排泄パターンに合わせた援助、生活リズムの調整など、医療的ケアと並行して生活を整える支援が行われます。

また、療養介護の提供にあたっては、利用する方の心身の状況や環境、ほかの保健医療サービスや福祉サービスの利用状況の把握に努めることが求められます。病院内で完結するのではなく、ご家族や地域とのつながりを重視した運営や連携も求められるため、退院や移行の可能性がある場合でも相談しやすい枠組みになっています。

療養介護と入院の違い

療養介護と入院の違い

入院は医療保険制度の枠組みで、治療や検査、看護など医療提供を中心に行われます。一方、療養介護は障害福祉サービスの枠組みで、病院で医療の管理を受けながら、介護や生活の支援も含めて提供されます。つまり、場所が同じ病院であっても、制度の根拠と手続き、費用の考え方が異なります。

ご家族が混乱しやすいのは、見た目としては病院にいるという点が共通しているからです。しかし、療養介護は市区町村が支給決定を行い、受給者証に基づいてサービスを利用する仕組みです。医師が必要だと言っても自動的に療養介護になるわけではなく、市区町村の手続きが必要になります。

医療の必要性は主治医が判断し、入院が必要な状態かどうかの説明が行われます。一方、療養介護の利用は、市区町村が支給決定を行い、受給者証に基づいていて利用する形になります。現場では病院側の提案と市区町村側の手続きが同時に進むことがあり、ご家族がどちらが決定権を持つのかわからなくなる場合があります。

手続きの節目としては、市区町村の支給決定と受給者証の交付が大きな区切りになります。医療と福祉の両方の説明を受け、書類の流れを確認しながら進めることが重要です。

療養介護の利用開始までの流れと費用の目安

療養介護の利用開始までの流れと費用の目安

相談から申請、支給決定、利用開始までの流れと自己負担の目安を整理します。

療養介護の利用を開始するまでの流れ

療養介護の利用開始までの流れは、市区町村への相談と申請を起点に進みます。まずは市区町村の障害福祉窓口に相談し、療養介護を希望する状況と医療的ケアの内容を伝えます。そのうえで、支給申請を行い、認定調査や医師の意見書などの情報をもとに、支給決定の検討が進みます。

市区町村は支給決定にあたり、障害支援区分や介護者の状況、生活状況、サービス等利用計画案の内容などを踏まえて判断します。決定後は受給者証が交付され、サービス提供事業者と契約し、利用が開始されます。療養介護の場合、障害福祉サービス受給者証に加えて、療養介護医療に関する受給者証も交付される扱いがあり、医療部分の費用に関わる書類が追加されます。

療養介護の費用の目安

障害福祉サービスの自己負担は原則として1割で、世帯の所得区分に応じて月額の負担上限が設定されます。生活保護の世帯や市区町村民税非課税世帯では上限が0円となり、市区町村民税課税世帯でも所得に応じた上限が設定されます。

市区町村民税課税世帯で所得割16万円未満は9,300円、上記以外は37,200円です。なお、入所施設利用者(20歳以上)やグループホーム利用者は、市区町村民税課税世帯の場合は一般2として扱われ、上限は37,200円になります。療養介護を利用する場合は、従前の福祉部分自己負担相当額に医療費と食事療養費を合算して上限額を設定する仕組みがあり、20歳以上の入所者で低所得の場合は少なくとも25,000円が手元に残るように利用者負担額が減免されます。

療養介護の場合は、医療の部分も含むため、福祉部分の負担上限月額だけでなく、医療部分の負担上限月額や食費負担限度額などが関係します。説明を受けるときは、どの費用が上限の対象か、何が自己負担として残るのかを分けて確認すると理解しやすくなります。

経済的な事情がある場合でも、所得区分に応じた負担上限や減免の仕組みが用意されています。医療費や食費を含めた負担の調整が行われる場合もあるため、支払いが無理だと決めつけず、早い段階で市区町村窓口に相談し、利用者負担の説明を受けることが重要です。

また、医療費の高額療養費制度、障害年金、各種手当など、制度が複数重なる場合があります。利用できる支援を整理するには、福祉窓口だけでなく、病院の相談窓口も併用して相談することが役立ちます。

参照:『障害者の利用者負担』(厚生労働省)

療養介護を利用するメリット

療養介護を利用するメリット

ご本人の安全とご家族の負担軽減の観点から利用する利点をまとめます。

介護負担の軽減

療養介護を利用すると、医療的ケアを含む日常の介助の多くを病院の体制のなかで担ってもらえるため、ご家族が24時間緊張を抱え続ける状態から離れられる場合があります。特に、人工呼吸器管理や吸引、体位変換などが続くご家庭では、睡眠不足や疲労が積み重なりやすく、介護を続けるほど体調を崩すリスクも高まります。

負担が軽くなることは、単に楽になるという意味だけではありません。介護を続けるための体力と気力を回復させ、面会の時間をご本人とのコミュニケーションに使えるようになるなど、関係性を保つことにつながる場合があります。ご家族が倒れてしまう前に支援につなぐという視点も大切です。

療養介護を検討すると、ご家族に申し訳なさや罪悪感が生まれることがあります。しかし、医療的ケアが必要な状態では、在宅ですべてを抱えることが現実的ではないことも多く、ご本人の安全とご家族の生活を両立させるには、制度を使うことが合理的な選択になります。

療養介護は、家族が支えられないから利用するものではなく、医療と生活の両方が必要な状態に対して社会が用意している支援です。ご家族が制度を使うことで、結果的にご本人の生活が安定する場合もあります。

質の高いケアの提供

療養介護は病院で行われ、管理者が医師であることや、看護職員、生活支援員、サービス管理責任者などの配置基準が定められているため、医療と生活支援が連動しやすい環境にあります。医療的ケアが多い方は、小さな変化が重い状態悪化につながる場合があるため、観察と対応が途切れにくい体制は大きな利点です。

また、療養介護計画を作成し、利用者さんやご家族への説明と同意、会議での共有などが制度上求められるため、支援が漫然としたものにならないようにする枠組みがあります。ご家族としては、計画や説明の機会を活用し、生活上の希望や不安を具体的に伝えることが、支援の質を高める助けになります。

療養介護の提供にあたっては、地域と家庭との結び付きを重視し、市区町村やほかのサービス提供者との連携に努めることが求められます。また、支援の終了に際しても、利用者さんやご家族への適切な援助と連携が求められます。

実際に退院や移行が可能かどうかは、ご本人の状態や受け皿の有無で変わりますが、相談できる枠組みがあることは重要です。退院を目標にする場合も、長期的な支援が前提の場合も、将来像を共有しながら支援計画に反映していくことが大切です。

まとめ

まとめ

療養介護は、病院で医療の管理を受けながら、介護や生活支援を一体的に受ける障害福祉サービスです。対象となる条件には障害支援区分や医療的ケアの評価が関わり、市区町村が支給決定を行います。入院と似た場面で検討されますが、制度の枠組みや手続き、費用の考え方は同じではありません。

費用は原則1割負担と上限月額の仕組みがあり、療養介護では医療部分や食費負担なども含めて整理する必要があります。制度を言葉だけで理解しようとすると難しいため、市区町村の障害福祉窓口と病院の相談窓口の両方に相談することが、遠回りを減らす方法です。

今日からできることは、まず情報を集めて比較することよりも、相談先を決めて話を始めることです。市区町村の障害福祉窓口に連絡し、療養介護の相談をしたいと伝え、ご本人の医療的ケアの内容と介護の状況を説明してください。病院にかかっている場合は、医療ソーシャルワーカーや地域連携室にも相談し、制度の手続きと受け入れ調整をどう進めるかを確認すると進めやすくなります。

この記事の監修医師